「日本人を冒険するあいまいさのミステリー」呉 善花
2006/04/27公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(84点)
●長年、日本で生活してきた韓国人である著者によれば、
外から見た日本と、内側から見た日本に微妙な、
かつ本質的なギャップがあるといいます。
それは自己主張の方法、
つまりコミュニケーションの手法です。
・日本人の場合、口ではなくほかの方法で自己主張をし、
それを感じ取って相手を理解する、
というコミュニケーション文化が確かにあるようです。・・・
自己主張のあり方が独特なだけの話です。
この点で、私たち外国人は日本人を大きく誤解し、
それだけ見くびってしまいがちです。(p74)
●著者の分析によれば、
それは以心伝心のできる、
信頼が構築された社会(日本)と、
他人が信頼できない社会との差であるとしています。
・韓国人や中国人は逆に、血縁以外の他者は
容易に信じられない相手です。
だからこそ、「けっして裏切らない」ことを見せ合うために、
内面の悩みを話すなどして、
より強い結びつきをつくろうとします。(p59)
●とはいえ、ここまで日本が経済大国化すると、
外交においては、コミュニケーションや文化の差が、
お互いの不信と誤解を大きくしてしまう可能性があります。
著者の意見としては、武力を用いない、
経済力を利用した
日本なりの外交があるはずであるとしています。
・あちらのケンカ腰に対して、こちらもケンカ腰で向かったら、
それこそどうしようもない対立となる、
というように日本人は考えていると思います。
しかし、それはまったくの間違いです。
相手が厳然たる態度をとらなければ、
とらないだけより強固な押し込みがこちらから
可能だと考えるのが、
一般的な「夷」の世界です。(p191)
●竹島問題、靖国問題などでは、友好を前提に考え、
冷静な対応をとっていくことになるでしょうが、
日本になら、どのような要求をしても、
大丈夫という誤解だけは避けなくてはならないでしょう。
個人的には、中国と韓国の株式を含んだ
アジア株式の投資信託を、
4割程度の値上がりしていることもありましたが、
これを機会に売却しました。
・欧米諸国は、一国の国益をあたかも
世界益であるかのように
普遍化して主張してきます。・・・
これが現在の世界での
ホンネとタテマエの国際標準だと言えますが、
日本はどうもそういうことができないようです。(p201)
●「彼を知り己れを知れば、百戦してあやうからず」
という言葉がありますが、
まさに中国人・韓国人を知り、
己を知ることができる一冊です。
★4つとしました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・とにかく相手しだい、相手に合わせる、
というのが、どうやら日本人の場合の
第一前提のようです・・・ようするに、
相手に面倒をかけるようになることを
極力避けようとして、結局
「なんでもいいです」となってしまう。(p37)
・欧米人・中国人・韓国人のほうが外国人に対して
オープンだ、温かい、親しもうとすると言っても、
いざとなると冷たい態度をとることが多いものです。
そういうタイプとして言えば、
日本人はその逆の人が多い。(p178)
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【私の評価】★★★★☆(84点)
■著者経歴・・・呉 善花
1956年韓国・済州等生まれ。韓国女子軍事体験をもつ。
1983年来日し、大東文化大学入学。東京外国語大学大学院修士課程修了。
現在、拓殖大学日本文化研究所客員教授。著書多数。
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