「スカートの風―日本永住をめざす韓国の女たち」呉 善花
2006/02/21公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
●1990年、日本のバブル景気中に書かれた本ですが、
日本に学びにきた著者の悩み、
心の動きから、韓国文化だけではなく
日本の特有の文化を再認識させてくれる一冊です。
著者が伝えたいのは、
韓国における女性の立場の弱さです。
多くの韓国人女性が日本の夜の街で働いているのは、
日本だけに原因があるのではなく、
韓国社会にも大きな原因があり、
また、韓国においてセックス産業が盛んであることも、
根は同じであるとしています。
・韓国では自国に都合のよい報道しか行われない。そのため、
私も韓国にいたときには、日本の男たちはみんな、女遊び
にしか興味のないセックスアニマルで、韓国にまでその害
を及ぼすとんでもない男たちだ・・・と思っていた。ところが、
日本に来てそれがまるで反対だということを知らされた。(p113)
●その原因は、結婚相手には
処女を求めるという排他的な風潮。
そして、離婚した女性が
非常に弱い立場にあるということです。
そうした韓国社会から差別を受け、
選択肢のない女性が、
日本を目指すことになるというのです。
・離婚して実家に戻った女たちは、生涯にわたって
「女の道を踏み外した失格者」のレッテルを貼られ、
家族や親戚縁者からの冷たい眼差しと
差別的な待遇を受けて
生きていかなくてはならない。(p87)
●私は韓国で生活したことはありませんので、
成否は評価できませんが、
この著作に対しては、韓国人は恫喝・脅迫ともいえる
抗議があったということですから、
事実に近かったのでしょう。
●続編が読みたくなりました。
韓国が日本をどう見るのか、
また韓国文化、日本文化を
再発見できる名著として★5つとしました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・太平洋戦争の話をすれば、
日本人からは反省の言葉がまず口を
ついて出る。韓国人はそれを聞きながら、
当然とばかりにうなずくのだが、
自らの側の反省をいっこうにしようとはしない。
すべてが日本の責任であり、自分たちは
被害者だというお決まりのパターンなのだ。(p192)
・1970年代の半ば、・・・
韓国での反日感情は現在よりもケタ違いに強く、
日本に関する情報はほとんど
国内に伝えられることがなかった。
しかも、歴史の教科書で教えられた
日本は「鬼畜の国」であった。・・・
しかし、実際に知った日本は決して
「鬼畜の国」ではなかった。
それどころか、紳士的であり、友好的ですらあった。(p48)
・私の祖国韓国では、日本人には夢がなく、
人生の目的がはっきりしていないとよく言うのだが、
韓国人は一般に、はっきりとした
夢や人生の目的を持つものだ。・・・
ひとつは経済力・・・
もうひとつは、権力である。(p12)
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買いですが・・・。
美化と矛盾だらけ
読みやすい日韓文化比較論です。
よくぞ、ここまで書いてくれた。
【私の評価】★★★★★(90点)
●著者経歴・・・呉 善花(お そんふぁ)
1956年韓国済州島生まれ。1983年に来日し大東文化大学を
卒業。東京外国語大学大学院修士課程修了。ビジネス通訳、翻訳を
通じて日韓ビジネスの現場を体験。
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