【書評】「私はいかにして「日本信徒」となったか」呉 善花
2006/11/20公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(77点)
要約と感想レビュー
韓国と日本の差
私は、仕事の関係で、カザフスタン人、韓国人、台湾人、ロシア人と仕事をすることがあります。海外の人と仕事をするならば、やはりその文化について事前に学ぶ必要があるでしょう。
著者が最初に感じたのは、日本では「親しき仲にも礼儀あり」を重んじるが、韓国では逆に「親しき仲には礼儀なし」を重んじるということです。
この本を読むと、韓国から日本に留学した呉 善花さんが、最初は日本の良さに気づき、そして日本人の冷たさに傷つき、そしてより両国の文化の違いを学んだ経緯がわかります。
韓国で聞かされていた日本のイメージが好転するのが一年目。日本とぶつかり合うのがニ、三年目。日本のよさも悪さも、韓国のよさも悪さも、客観的に見えてくるのが五年目。(p76)
消化には時間が必要
たとえば、韓国では、仲良くなると女性同士で手をつなぐことがあるようですが、日本では普通ではありません。(カザフスタンでも腕を組んでいるのをよく見ます!)
そうしたちょっとした文化の差が、相互理解を妨げるのです。そうした誤解や悩みは、やはり文化の違う国であれば、しかたがないことではありますが、文化の違いを消化するためには時間が必要なようです。
私はずっと不安な気持ちを抱えていた。たとえば、韓国では仲のよい友人とは腕を組んだり手をつないだりして歩くことが多いものだが、私がそうしようとすると、スッと逃げられてしまう。(p44)
文化の差を学ぶ
韓国人と仕事をしようという人には、両国の文化の差を学ぶのに最適の本だと思います。
今後も日本と韓国の相互理解が進むことを祈念して、★3つとしました。
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この本で私が共感した名言
・日帝時代を頑迷に反省しない日本人-それは許さないという反日意識を強くもっていた私は、どこへ行っても優しく親切な日本人、どこへ行っても整然としてきれいな日本の街並みに触れて、何か肩透かしをくわされた感じがした。(p16)
・韓国では、物をつくる人、物を売る人を一段下に見て蔑視する風潮がある。また、つくる人や売る人のほうにも、いい加減なものを平気でつくったり売ったりする傾向が強い。(p36)
・一般的な韓国知識人にとっての日本に対する姿勢は、本当は反日というよりは、優劣の問題なのである。ようするに自民族優位主義(エスノセントリズム)が韓国知識人の支柱なのである。(p169)
▼引用は、この本からです。
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
目次
プロローグ はじめて知った日本
第1章 不思議な国の住人たち ──東京下町の生活
第2章 どこまでも深い日韓の谷間 ──アイデンティティの喪失
第3章 転機のための『スカートの風』 ──生きられる場所の手応え
第4章 済州島の女たち ──その逞しき生活力の秘密
第5章 島から半島へ ──軍人・学生として生きた日々
エピローグ 定住すること
著者経歴
呉 善花(お そんふぁ)・・・1956年生まれ。韓国女子軍隊経験を持つ。1883年に来日、大東文化大学英語学専攻。東京外国語大学大学院修士課程修了。現在、拓殖大学日本文化研究所客員教授。
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