「目標を突破する実践プロジェクトマネジメント」岸良 裕司
2006/01/10公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(92点)
要約と感想レビュー
仕事を受注する、家を建てる、プログラムを組む、大学受験する、ビアパーティを企画する。人生の出来事は、すべてがプロジェクトのように思えます。私はこの5年間、プロジェクトの工期短縮方法を考えて続けてきました。日本の場合、工期が守られるのが普通ですから、そうであれば、もっと工期を短くできるのではないか・・・それが私のテーマでした。
驚いたことに、工期短縮のひとつの解決方法が、本書にわかりやすく書かれてあるのです。まず、工程表を作りますが、これはどこでも同じです。次に、各工程の余裕(サバ)を削って、仕事の最後にまとめて余裕(バッファ)を確保します。
・次はサバ取りを行う。たとえば10日の工程について、その担当者が出した「10日」という見積もりには、今までの過去の痛い目にあった経験から、約束した工期を守るためのサバが入っているはずだ。(p62)
普通は、このサバを削る段階で挫折する場合が多いのです。責任感の強い担当者に対して、共有のバッファがあるから大丈夫だよ!と納得させて、実際にサバを削れるかが「勝負の分かれ目」になります。
・「隠れサバよみ虫」は、責任感がきわめて強いので、他人のサバは食べず、自分のサバだけを食べ、他人と共有した親方バッファを食べるのを好まない習性を持っている。(p45)
そして、実行段階では、各工程の進捗状況を確認しながら、共有バッファの量だけを管理していきます。
・作業担当者に「あと何日?」と質問するのだ。(p90)
こうした手法は、ゴールドラット博士の「クリティカルチェーン」に書かれてあるものです。こうした考え方は決して新しいものではなく、これまで日本の辣腕現場監督が実行していたものを、普通の人にわかりやすく一般化したものなのでしょう。
・ギリギリの工期で要求すると現場はその納期で終わらせるためには、なにをすればよいかを必死になって考える。それがむしろミスがない、安全な仕事を生むことになる。(p52)
このクリティカルチェーンの工事短縮方法は、今後のプロジェクト管理の主流になっていくでしょう。必読です。さらに、この本は、その内容を非常にわかりやすく解説していることから★5つとしました。ちなみに、私は、さらに2冊買い増しして、社内の関係者に配布しています。
この本で私が共感した名言
・余計にお金を掛けてでも短期間に工期を終わらせたほうが最終的には儲かる(p126)
・「プロジェクト完了までの間に問題があるとしたら何がある?」と質問するのである。(p95)
・プロジェクトが行われる大義名分を、目的、成果物、成功基準として明確に示す(p106)
・複数のプロジェクトを実行している場合でも、1つのタスクに集中する(p149)
中経出版
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【私の評価】★★★★☆(92点)
目次
1 プロジェクトが遅れるわけ
2 科学的サバ取り段取りと親方バッファ
3 「あと何日」の進捗管理
4 実践編 実践的工程表の引き方「科学的段取り八分」
5 マルチプロジェクトマネジメントの極意は「経営」そのもの
6 TOCを使えば「当たり前のこと」ができるようになる
7 事例紹介
著者経歴
岸良 裕司(きしら ゆうじ)・・・ゴールドラット・コンサルティング・ディレクター。日本TOC推進協議会理事。1959年生まれ。大学卒業後、京セラに入社。半導体の営業に取り組む。2003年、土木積算ソフトでトップシェアの(株)ビーイングヘッドハンティングされる。
クリティカルチェーンプロジェクトマネジメントCCPM関連書籍
「進む! 助け合える! WA(和)のプロジェクトマネジメント―プロマネとメンバーのためのCCPM理論」宮田 一雄
「目標を突破する実践プロジェクトマネジメント」岸良 裕司
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