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「進む! 助け合える! WA(和)のプロジェクトマネジメント―プロマネとメンバーのためのCCPM理論」宮田 一雄

本のソムリエ 2022/02/21メルマガ登録
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「進む! 助け合える! WA(和)のプロジェクトマネジメント―プロマネとメンバーのためのCCPM理論」


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

 クリティカルチェーンプロジェクトマネジメントCCPMの実例について教えてくれる一冊です。これはエリヤフ・ゴールドラット博士が確立したTOC(制約理論)に基づくプロジェクトのマネジメント方法です。


 具体的には、
 1.マルチタスクを排除する。
 2.必要な準備が整うまで作業を始めない
 3.クリティカルチェーンを把握する
 4.個々のタスクの工期を半分にして余裕を取り出し、最後に全体の余裕(バッファ)を置いて余裕(バッファ)消費を管理するというのが、CCPM理論です。


 この本では大和ハウス工業の基幹システム更新を富士通関西システムズが請け負うプロジェクトにCCPMを導入しています。設計フェーズで必要予算が2倍となり、2ヶ月のプロジェクト凍結期間を経て危機的状況にあったものが、CCPMを採用した結果として、現実化・テスト・移行フェーズで25%の工期短縮を実現し予定どおり完工することができました。


 それまではスケジュールを見ても、どの部分がどの程度遅れているか実態がつかめなかったのに、CCPMを導入することで、全体の進捗が見え、さらに遅れても責められることがなく、遅れのある部分を助け合うという雰囲気の中で25%もの工期短縮を実現したのです。


・個々のタスクの遅れを責めない・・・バッファを多く消費しているタスクに対し、他のタスクから支援(p37)


 CCPMはこれまでのプロジェクトマネジメントと考え方が大きく変わるため、最初に発注者と業者(ベンダー)の責任者がワークショップを含めた2週間もの研修を受けています。それも参加した責任者たちは、CCPMのお手並み拝見、「こんなツール使えない」と言って帰ってこようと思いながら参加しているのです。しかし、CCPM理論をワークショップをしながら実践してみると、いかにマルチタスクが効率を低下させるのか、なぜ工期を機械的に50%短縮することで余裕を全体で確保し、全工程が工期短縮に向けて頑張ることの効果を実感し、導入を決意するのです。


 このメンバーが中心となって、プロジェクト参加者に同じワークショップを開催して、教育し、進行中の一部の仕事にCCPM理論を試験導入してみました。その結果、3ヶ月の仕事を2週間前倒しで完了できたのです。この結果で自信を持ち、CCPMをプロジェクト全体に導入することになったのです。


・確実に完了できる余裕を持たせて工期を申告してくることが多い・・・(p19)


 面白いのは実際のプロジェクトの内容なので、最初のうちは20日と申告した担当者が、10日に工程を削減されて、面白くないのか途中で「あと何日でできますか」と聞かれて、「最初のとおり20日です」と答えているところです。「うまくいけば10日でできる」と言えないのが、責任感のある日本人の典型なのです。実際、その工程は20日かったそうです。


 しかしCCPMの仕組みでプロジェクトを進めていくうちに「うまくいけば10日でできる」と言う人が増えてきたことがグラフからわかります。これは、遅れても責められるわけでもなく、逆に助けに来ることになるので、助けてもらわなくても自力で短くしてみようという考えに変わっていっているということなのです。つまり、CCPMとは各部門がちょっと無理をしながら、より厳しいところに余裕のあるところから手助けしていくという仕組みであることがわかります。


 実際にはやってみないとわからないところが多いと思いますが、CCPMが画期的な仕組みであることをよく伝えてくれる一冊だと思いました。CCPM理論がより広く活用されるよう思って★4としました。宮田さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・学生症候群・・・期限に余裕のある宿題に、なかなか取り掛かろうとしない学生たちの姿になぞらえた、人間の行動特性(p21)


・三つの作業を同時にさせると、個々の作業に集中できなかったり、タスクを切り替えるために時間を要したりと、非効率な進捗となってしまう・・・まずマルチタスクの排除に取り組む(p28)


・必要な万全の準備(=フルキット)が整うまで、スタートさせない(p33)


・次の三つの質問を行う。それは、「あと何日でできますか」、「困っていることはないですか」、「何か支援できることはありますか」(p35)


・25%の工期短縮が実現した場合、ベンダーはその半分の12.5%をインセンティブとして受け取る。残りの12.5%をユーザーのもの・・・成果連動型(p175)


▼引用は、この本からです
「進む! 助け合える! WA(和)のプロジェクトマネジメント―プロマネとメンバーのためのCCPM理論」宮田 一雄
宮田 一雄 、ダイヤモンド社


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

第1章 ITプロジェクトの問題と、CCPM理論
第2章 CCPM成功事例二五%の工期短縮はこうして実現した
第3章 「和」のプロジェクトマネジメント理論
第4章 さまざまなプロジェクトに貢献するCCPM理論
第5章 CCPM理論の副産物~前代未聞の成功を受けて



著者紹介

 宮田一雄(みやた かずお)・・・1954年山口県生まれ。大阪大学基礎工学部機械工学科卒業後、1977年に富士通に入社。現場でのエンジニア経験を経て2004年より経営陣の一人となる。プロマネとして苦労した経験から、プロジェクトマネジメントの本質を模索しCCPM理論にたどり着く


クリティカルチェーンプロジェクトマネジメントCCPM関連書籍

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目標を突破する実践プロジェクトマネジメント」岸良 裕司


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