【書評】「これであなたも中国通」邱 永漢
2005/08/25公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(75点)
要約と感想レビュー
中国人が断らない理由
私は中国の西、カザフスタンに駐在していることもあり、カザフスタン人同様、中国について興味を持っています。中国を知るために、最も効率的なのは自分で中国に足を延ばすことでしょうが、それができないのであれば、本でも読むしかありません。
中国人は、明らかに損になる商談でもその場ですぐに断らずに、一応引き受けてそれから何とか損にならない方法はないかと思案するという。その場で断ってしまったら、折角つないだ関係が途切れてしまう怖れがあるからです。
この本で紹介されている面白い中国人のエピソードでは、中国人が日本から冷凍海老の注文を受けました。どう考えても逆ザヤになるのです。そこで、エビは冷凍で送りますので、氷の量を増やして水増しして、黒字にしたのです。何とか形だけでも整えたのです。
本にサインをして人に贈る時に、「中国の過去を知りたかったら西安へ、未来を知りたかったら上海へ、官僚制度の効率の悪さを知りたかったら北京へ」と書いてさしあげることにしている(p82)
邱永漢さんの経験談
こうした本による情報のなかでも、私が信頼するのは、現地で実際に商売をしている人のものです。そういう意味で、中国を飛び回る邱 永漢さんの中国を見る目は第一級のものでしょう。
中国を過大視するわけでも、過小評価するわけでもなく、あそこに行ったらこうでした。これをしてみたら、こんな目に合いました。こんなことをやっている人がいますと、具体的です。
ご馳走か、お金で片づかないことはほとんどない。・・・中国の悪弊だと言えば確かにその通りだが、袖の下がきくおかげで世の中がうまくおさまっている面もあるのである。(p90)
中国について学ぶ
中国は製造業で機械とお金と経験を手に入れて、世界に復讐しようとしているように見えます。
中国に行く前に、邱 永漢さんの中国本を一式読んでしまうのがお勧めです。中国を知るための良書ということで、★3つとしました。
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この本で私が共感した名言
・中国政府は世界中で最も金持ちの政府の一つであろう。あの広大な土地がすべて政府のもの・・・私たち外国からの進出企業は、上海や北京でビルを建てる場合でも、政府の土地を借りて・・・何百万ドルという代金を現実に支払っているのだから(p161)
・私はどこに行っても、先ず頭に浮かべるのはその土地の食べ物のことである。料理が美味しければ、文化水準の高い国だと思っている(p24)
【私の評価】★★★☆☆(75点)
目次
1 理解に苦しむ中国人を理解するために
2 食とお金が支配する中国人気質
3 驚異的な経済発展に死角はあるか
4 先入観にとらわれて中国人を見誤るな
著者経歴
邱 永漢(きゅう えいかん)・・・実業家。1924年生まれ。東京大学経済学部卒業。台湾より香港へ亡命し、直木賞受賞作家となる。その後、株の神様、お金の神様といわれながら、事業活動を行い、現在も年間120回飛行機に乗って、東京、台北、上海を飛び回る。著作は約400冊にのぼる。
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