「お金だけが知っている」邱永漢
2005/06/27公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
要約と感想レビュー
邱永漢氏の本にしてはまじめな内容というと失礼ですが、本格的に経済、社会をどう読むのか、どう理解するのかについて書いた一冊です。
とくに圧巻なのは、2年前平成15年4月の時点で、原油の50ドル突破の可能性を指摘しているということでしょう。私も勉強のためにドル・ユーロを定期的に買っていますが、実際に国際的にビジネスを手がけ、世界を飛び回っている邱永漢氏の経済を見る視点は鋭いものがあります。
・二十一世紀は喧嘩外交の世紀になると私は見ているが、口数が多ければ勝負に強いということでもない。為替レートがいちばん正確なバロメーターになるから、為替レートを正しく判断できる人が時代の優れた予言者であるということになる。(p237)
邱永漢氏が政治家として大成していれば、日本の現在も違ったものになっていたかもしれないと思うのは私だけでしょうか。
この本で私が共感した名言
・私はODAやOECDの財政資金が年々増えつづけるのを見て、日本が発展途上国に援助することには反対ではないが、はたしてこれらの資金が有効に使われているかどうかチェックする必要があると書いたことがある(p104)
・よく日本は外交下手だから、中東から石油が手に入らなくなるのではないかと心配する声を聞く。日本の外交下手は事実だとしても、お金さえあれば、石油が手に入らなくなる心配はまったくないだろう。(p41)
・グローバル化とともに資源は武力で確保するものから、お金で買えるものに変わってしまった。お金さえあれば欲しい物は何でも買える。(p145)
・まず第一にいえるおとは、戦争は仕掛ける側にとっても、仕掛けられる側にとっても、お金のかかる引き合わない事業になりつつあることである。・・・戦争のやり方も変わったが、戦争はいよいよ引き合わない社会制度の一つということになってしまった。これも人間が少しは利口になった証拠だろうか。(p200)
・言葉を覚える早道はそういう環境に身を置くことだから、学校を出たら、そのまま外国の大学へ勉強に行く道を選ぶ。(p76)
・どこがこの次の経済大国になるかは、ヒトよりカネのほうがよく知っている。カネはどこに行けばお金が儲かるかを本能的に知っているからだ。(p172)
▼引用は下記の書籍からです。
【私の評価】★★★☆☆(77点)
著者経歴
邱 永漢(きゅう えいかん)・・・実業家。1924年生まれ。東京大学経済学部卒業。台湾より香港へ亡命し、直木賞受賞作家となる。その後、株の神様、お金の神様といわれながら、事業活動を行い、現在も年間120回飛行機に乗って、東京、台北、上海を飛び回る。著作は約400冊にのぼる。
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