【書評】「騙してもまだまだ騙せる日本人―君は中国人を知らなさすぎる」邱 永漢
2005/01/31公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
日本人と中国人はちがう
日中の輸出入貿易額(香港を含む)が、日米貿易額を抜いたといいます。政治はともかく、経済では日中はより密接になってきています。しかし、日本人と中国人は見た目は似ていても、中身はまったく違うというのです。つまり、中国人は自己中心的であり、日本人は他者中心的なのです。
中国の常識は、「人を見たら泥棒と思え」「騙された人が悪い」です。ですから、信賞必罰のシステムがなければ、正常な仕事をすることは無理だという。逆に、信賞必罰のシステムがあれば、規律と効率を生むというのです。
一般に中国人は上から下まで自己中心に徹していて、自分や自分の家族のためにしか物を考えない習慣が強い。(p89)
中国人とうまくやる方法
現実には、中国に進出して、うまくいっている企業もあれば、うまくいっていない企業もあるようです。うまくやる秘訣は、日本人と中国人の間に、調整役の中国人を間にかませることです。
うまくいっていない企業でも、事前にもっと中国というものを研究していれば、失敗を小さくできたり、事業の失敗を防げたかもしれません。「郷に入れば、郷に従え」で中国人というものを知る努力をする必要があるのでしょう。
中国では何をやるのにも、どこの部門にもそうしたロビーストがいるものである。自分でやると二ヵ月かかってもできないことが、そいつにかかると一週間でできてしまう(p242)
弱い相手には高飛車な中国人
著者の観察では、中国人はフランスやアメリカとの外交交渉ではちゃんと常識的な対応をします。しかし、中国人が日本を相手にする場合に限って上から目線なのは、日本人のご機嫌をうかがうような態度から来ると推定しています。
台湾で子どもの頃から、日本人と中国人を見てきた邱 永漢だからこそ書ける一冊であり、いつになく力が入っている一冊でした。
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この本で私が共感した名言
・通常の取引は「人を見たら泥棒と思え」というのが真相に近い(p155)
・信賞必罰のシステムが規律を効率を生む(p105)
・台湾のような近代工業の発達したところでも、自動車メーカーや電機メーカーの仕入れ担当を三年もやれば、蔵が建つと言われている(p247)
【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
知ってはじめて中国人を知らなかったことを知る
日本人の中国観は三転して今度が四回目
中国に夫婦茶碗のような男女の区別はない
中国は家族主義の上に築かれた社会である
銭には細かいが血も涙もある国民性
なぜ中国人は個人の交際を優先させるか
中国人の会社は日本の会社とこれだけ違う
中国人の会社勤めはタダの腰掛け
訓練と規則とお金の払い方が大切
日系企業に現地人幹部が育たないわけ
著者経歴
邱 永漢(きゅう えいかん)・・・実業家。1924年生まれ。東京大学経済学部卒業。台湾より香港へ亡命し、直木賞受賞作家となる。その後、株の神様、お金の神様といわれながら、事業活動を行い、現在も年間120回飛行機に乗って、東京、台北、上海を飛び回る。著作は約400冊にのぼる。
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