祥伝社 (2005/01)
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日中関係に於ける日本側の問題点
これからの300年も古くならない、ああ、山本七平氏【私の評価】★★★★☆
■著者紹介・・・山本 七平
1921年生まれ。青山学院高商学部卒。戦時中は、砲兵少尉として
フィリピン戦線を転戦。戦後、山本書店を設立し、聖書、ユダヤ系の
翻訳出版に携わる。著書多数。
●日本人は信用できない、理解できないという外国人が多いようです。
私は、日本人ほどお人好しで、正直な国民はいないと思うのですが、
これはどこから来るのでしょうか。
それにはまず歴史をさかのぼる必要があるでしょう。
●この本は、1972年に書かれたもので、
この年に、日中国交正常化が行われています。
そしてその陰で、日本と台湾の間で締結されていた日華平和条約は
一方的に破棄されました。
ここで著者は、日中国交正常化は、
日本人の特性を理解した中国の上手な世論操作と、
原則よりも空気に流される日本人の特性が出ているとしています。
・では一体秀吉はなぜ朝鮮に攻め込んだのか?・・・
日本がなぜ中国に進攻し、どういう理由で南京攻略をやったのか?
なぜ真珠湾を攻撃したのか?なぜ田中首相と新聞記者の大群が北京へ
飛んだのか?・・・外相の一片の声明で日華平和条約を破棄しても
一言の反論も疑問の提示も起こらぬのか?(p171)
●こうした日本人の特性は、歴史において
多くの理解不能の出来事を引き起こしているのですが、
その一つに、虐殺の真偽について話題の多い、
日中戦争における南京攻撃があります。
●著者は、南京攻撃の本質の問題として、
日本が中国に提案した無条件降伏ともいえる提案について、
中国が受諾することを12月8日に確認したのに、
12月10日に南京城総攻撃を開始したことが理解不能としています。
・南京事件に関する「虚報」と、事件の本質との関係・・・
「ポツダム宣言に等しきものを提示しておいて、相手がそれを
受諾すると通告したら、提示した本人がいきなり総攻撃を
開始した」というこの問題の「核」ともいうべき事実(p48)
●つまり、強盗に「金を出せ」と言われたから金を渡したら、
殺されてしまった、というようなわけです。
そして、南京陥落を称える当時の新聞の論調などから
南京攻撃は当時の国民感情からきたものであると分析しています。
・近衛公の手記に「とかく我国の外交論には感情論が多い」という
嘆息がある。・・・「評論家」であるべきはずの新聞が、逆に
「感情」の代言者となった。それは南京陥落を報ずる新聞の狂態
ぶりによく表れている。(p45)
●こうした日本人の原則のなさは、「人の命は地球より重い」
(実際は地球のほうが重いのですが・・・)
といった理由で、法律を曲げてでもハイジャック犯の言いなりに
なってしまうという事例にも表れていると思います。
●やや難しい本ですので、二度読み返しましたが、
日本人の特徴である、感情が原則よりも優先してしまうという欠点を
十分にかみ締めることのできる一冊だと思います。
★4つとしました。
PS:山本 七平氏を本のソムリエ認定優良作家に追加しました。
優良作家⇒ http://www.1book-day.com/books-writer.htm
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・琉球は「両属の国」である。しかし日本は廃藩置県と同時に、
これを一方的にまず鹿児島県へ編入した。・・・[1880年]
に出来上がった協定は「沖縄分割案」で、それでは宮古・八重山
両群島は中国領であって日本領ではない。日本側はこれを承認し、
中国側は拒否した。・・・こういう問題を、何らかの機会に法的に
決着をつけておかないのは、日本の「悪しき伝統」の一つかも
しれない。(p263)
・理念としての「中国」と現実に中国大陸を支配している「中国」
との二重映像が、絶えず日本人を躓かせるのであって、明治以降の
日中交渉史は、実にこの躓きの歴史である。日本人は絶えず
「中国に裏切られた」と感ずる。(p103)
▼引用は、この本からです。
「日本人と中国人」山本 七平、祥伝社社(2005/1)¥1,000
【私の評価】★★★★☆
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