【書評】「駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか? 「しぶとく生き残るあの店」にはワケがある」 坂口孝則
2026/11/05公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(85点)
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要約と感想レビュー
人とのつながり戦略
「駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか?」とは、出版社が狙ったタイトルだなと思いながら読みました。
この本では経営コンサルタントの著者が、駄菓子屋、スナック、畳屋、文具店など、昔ながらのお店が生き残っている秘密を教えてくれます。
さて、駄菓子屋はなぜ潰れないのでしょうか。
著者によれば、駄菓子屋は自宅を店舗にしている場合が多く、家賃などの固定費を抑えやすい。駄菓子の賞味期限が比較的長いことも、潰れにくい理由です。
また、学校の近くや商店街だけでなく、介護施設や認知症グループホームなどに隣接しており、人と交流したり、昔を懐かしんだりする場所になっているのです。
こうした人との交流で生き残っているのが、スナックです。お客はママなど特定の人物に会うためにやってくるのです。
地方で生き残っている青果店では、常連客がどんな野菜や果物を買うのか記憶していて、次の来店時には、その人に合わせた商品を提案するという。
調剤薬局・・・お客の様子を瞬時に察知し、適度な長さで説明したり、こまめに挨拶をしたりすると、なんと薬剤師の指名が入る・・人とのつながりが重要な判断基準となっている(p37)
しぶとく生き残る
次に面白かったのは、昔ながらのお店が、時代に合わせて商売を変えていることです。
例えば、畳屋では、畳を作るだけでなく、畳縁を使ったカードケースや文具を販売しています。「鬼滅の刃」のキャラクターフィギュアを飾るためのミニ畳を作ったところ、注文が殺到したというのです。
文具店ではカフェを併設したり、手芸店では手芸教室だけでなく、フラワーアレンジメントや書道教室を開催したりしています。
また、お祭りの屋台を営む的屋も、祭りのない時期には建設現場などで働く人がいるほか、キッチンカーを購入して各地を回る人もいるというのです。
ちんどん屋で収入を得ている人たちは、老人ホームでの演奏などで生計を立ています・・・地方の行事での需要があります(p136)
ニッチな商品やサービス
さらに、著者が紹介しているのが、ニッチな商品やサービスに特化する戦略です。
例えば、警備員の靴の修理を得意とする靴屋や、足に障害のある人のための整形靴を販売する靴屋があります。
また、ハンドメイドの帽子を2万円で販売する専門店なら、1日に2~3人のお客が買ってくれるだけでも、年間1500万円程度の売上になるという試算が紹介されています。
地方の生花店が、アイドルの「推し活」に使う花に特化した事例もあります。お客が購入した花をSNSで発信することで、お店の知名度が高まったというのです。
また、新潟には花の自動販売機があり、日替わりのブーケなどを販売しているという。「突然、花が必要になる」という需要をつかんでいるわけです。
文具店でも、全国からペンケースだけを集めて展示することで、話題になったお店があるというのです。
何でも売ろうとするのではなく、小さな市場で一番になることが、専門店の生き残る道なのだと思いました。
文具店・・・ワークショップやイベントを積極的に仕掛ける店もあります(p66)
ニッチな専門店が生き残る
著者のコンサルティング会社では、ニッチな商品を仕入れて販売する専門店を支援しています。なるほど、それでネタが多いわけです。著者自らが、ニッチな専門店を支援するニッチなコンサルタントなのです。
ニッチな専門店を始めるときの著者のアドバイスは、低コストで小さなテストを繰り返すことを勧めています。そして、うまくいかなかったときには撤退できるように、あらかじめ撤退戦略も考えておくというのです。
そして、生き残るために、お客との長期的な関係を作ること。結局、長く生き残る商売には、人とのつながりを大切にするという共通点があるように感じました。
坂口さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・コロッケ店は、他の飲食店よりも初期投資が少ない・・焼き肉店であれば他の1.3倍・・コロッケ店はむしろ低く、他の5分の1ほど・・・5分の1というのはおおむね1000万円(p27)
・占い師・・・相場は30分で5000円、1時間で1万円といったところ・・・私は仕事上のつながりで紹介された占い師・・1時間で4万8000円でした(p117)
・無料体験期間が30日間あるソーシャルゲーム・・一般的には全ユーザーの2~5%程度が有料ユーザーといわれています(p164)
・焼き芋屋・・必要なのはイモと燃料費、後は売り手の人件費だけ。初期費用もリヤカーならば100万円くらい。軽トラックならば200万円から(p79)
・「小説の新人賞に、小説の販売数以上の応募があった」という笑い話・・・みんな、基本的には他人の作品を読むことはない(p144)
▼引用は、この本からです

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坂口孝則、SBクリエイティブ
【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
第1章 あの駄菓子屋は、儲けが0円なのになぜ潰れないのか?
第2章 あの商店街の傘屋はなぜ30年続くのか?
第3章 地方都市のあの個人経営店は、シャッター街の中でどうやって生き残っているのか?
第4章 街中をうろつくあの軽トラは、どうやって儲けているのか?
第5章 期間限定のあのビジネスは、シーズン以外の時期に何をしているのか?
第6章 メイン通りの一本裏手にあるあの店は、本当に儲かっているのか?
第7章 気になるあの人たちは、どうやって食っているのか?
第8章 お客に嬉しいあの格安サービスで、店は儲かっているのか?
第9章 タイパ時代に、ゆっくりなのにボロ儲けできるあのビジネスの秘密とは?
著者経歴
坂口孝則(さかぐち たかのり)・・・経営コンサルタント、講演家。セミナー会社経営。大阪大学卒業後、電機・自動車でのサプライチェーン・調達業務に従事。現在、未来調達研究所株式会社に所属。無料教材を提供中。コンサルティングにくわえて、企業講演、各メディアでの出演・執筆を行う。
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