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【書評】「「できる人材」が定着する会社のつくり方」 西川 雄太

2026/06/26公開 更新
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「「できる人材」が定着する会社のつくり方」 西川 雄太


【私の評価】★★★★☆(87点)


要約と感想レビュー


創業時は離職するメンバーも多かった

沖縄県でデイサービスや訪問看護などの介護事業を行う著者の会社は、2年連続離職ゼロを実現し、現在も低い離職率を維持しています。しかし、社員数が100人程度になる前は、法律や就業規則を十分に守れておらず、離職するメンバーも多かったそうです。


創業期は著者は同業界で活躍する経営者や会社を調べ、徹底的にパクって「いけいけ」の勢いで突き進み、メンバーに無理をさせていたのです。当時の創業メンバーは1人も残っておらず、著者自身「創業メンバーに甘えていた」と振り返っています。


実際、「こいつだけは付いてきてくれる」と信頼していた社員から訴訟を起こされ、裁判で負けてしまうケースも実際にあるそうです。また、新入社員からの相談に「あなたしかいないので任せます」と丸投げするような対応を続けていると、せっかく採用した優秀な人材もすぐに辞めてしまうという。


会社を大きくしているときは勢いだけで突き進み、その反省から地に足のついた経営に転換していった過程があるわけです。


会社をスタートさせたとき、私が考えたのは、まずは、「どの会社をベンチマークとしようか」ということでした(p206)

まずは基本的な法律や契約を守ること

著者は、人手不足解消への取り組みの第一歩は「定着」であり、その次に「採用」と説明しています。


「定着」の土台になるのが、労働関係法令と雇用契約の遵守です。著者の経験では、サービス業の場合、社員数100人程度の規模になってようやく、法律や契約をきちんと守れる社内体制をつくれるようになると説明しています。


具体的には、社労士と顧問契約を結んで労務管理を定期的にチェックしてもらうこと、雇用契約書に選考過程で口頭合意した特別な条件まで明記しておくことなどが勧められています。


大企業では当たり前かもしれませんが、労働関係法令と雇用契約を守ることで、中小企業に特有のモチベーションダウンによる離職が減るのです。当たり前のような内容ですが、それが成長中の中小企業の実態なのでしょう。


防ぐべき社員の離職とは、職場において法律や契約が守られていなかったり、軽視されていたりすることによるモチベーション・ダウンでの離職です(p39)

会社説明会では会社のリアルを伝える

人材が「定着」してきたら、次は「採用」です。著者の会社では、採用の際にいきなり面接をするのではなく、大企業と同じように会社説明会を行い、その上で面接、職場体験を経て入社してもらう流れを取っています。


会社説明会で大切なのは「会社のリアル」を伝えることだといいます。前半は会社説明、後半は質疑応答という構成ですが、良いことばかりを並べるのではなく、入社前後のギャップを極力なくすことを目的にしているのです。


職場体験では、配属予定のデイサービス店舗で2~3時間、現場の見学と簡単な仕事の体験をしてもらいます。実際の現場を見てもらうことで、入社後の「思っていたのと違った」というミスマッチを未然に防いでいるのです。


会社説明会では「会社のリアル」を伝える・・・入社前後のギャップを極力なくすこと(p65)

マインドセット11か条

社員が定着して、採用や制度面が安定してきたら、社員の教育が重要となってきます。著者はそれを「マインドセット11か条」として明文化し、社員を褒める・叱るの基準にしているという。


仕事の目的を忘れない、納期を守る、相手の「期待水準」を確認するといった基本的な項目に加え、「自分なりの仮説を立てて相談する」「情報は自分が動いて取りに行く」など、レベルの高い内容もあります。


特に印象的なのが「価値観の合わない人には共感せずに理解する」という項目です。価値観が合わない人の言動に共感する必要はなく、なぜそうした言動をするのかを冷静に考えればよいということです。


また、「チームの決定事項には全力で臨む」は、意見が割れた場合はリーダーの決定に従うことで当たり前のようですが、介護事業ではいろいろな人材がいますので、価値観が合わない、決定に従わない人が課題だとわかります。


大企業並みの労働環境を提供したうえで、社員一人ひとりにこうしたマインドセットを持つように育成していく。結果として合わない人は辞め、合う人だけが定着していくことで、定着率を高くしているのではないか、と感じました。


西川さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・マインドセット11か条
 1 仕事の目的を忘れない
 2 チームの決定事項には全力で臨む
 3 納期を守る
 4 相手の「期待水準」を確認して仕事をする
 5 「あいまいワード」の使用を避ける
 6 自分なりの仮説を立てて相談する
 7 情報は自分が動いて取りに行く
 8 価値観の合わない人には共感せずに「理解」する
 9 職場の信頼関係は「仕事ぶり」でのみ構築される
 10 謝罪よりも「自分にできること」を考えて引き受ける
 11 大切なのは顧客満足度よりも「顧客の成功」(p161)


・「今日、こういうクレームがありました。自分はこうするべきだと思いますが、どうでしょうか?」これが正しい相談の仕方です(p177)


・誰もがやむを得ない事情で周りに迷惑をかけることがあります・・・謝罪し続けるよりも、迷惑をかけた分、代わりに「自分でできること」を考えて引き受けることで、気持ちよくチームで仕事ができます(p189)


▼引用は、この本からです
「「できる人材」が定着する会社のつくり方」 西川 雄太
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西川 雄太 (著)、合同フォレスト


【私の評価】★★★★☆(87点)


目次


第1章  人材不足に正しく向き合う
第2章 入社後の定着率を上げる採用のステップ
第3章 社員の離職を防ぐ社内体制の整備
第4章 社員が定着する職場のつくり方
第5章 職場定着が実現する仕事のマインドセット
第6章 地域ナンバーワンを目指す経営理念


著者経歴


西川 雄太(にしかわ ゆうた)・・・株式会社ベストライフ 代表取締役。1984年、大阪府吹田市生まれ。関西大学経済学部卒業。2008年、株式会社ベンチャー・リンクに入社し上京。その後、新事業を立ち上げ全社トップセールスとなる。2013年、沖縄へ単身移住。28歳で株式会社ベストライフを創業し、介護業界に参入。現在、リハビリ特化型デイサービス「リハビックス」、訪問看護ステーション「クラセル」、沖縄脳卒中リハビリセンター「ホコトレ」など、23拠点を運営。設立10年で、沖縄県において介護事業所数最多となる。2021年、訪問看護ステーションに「週休3日制」制度を導入。2年連続離職ゼロを実現。現在でも低い離職率を維持。


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