【書評】「儲かる方向性の決め方」牟田太陽
2026/08/05公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(87点)
要約と感想レビュー
事業発展計画書の作成
創業60年、延べ10万社の経営者を支援してきた日本経営合理化協会では、どのような指導をしているのだろうと手にした一冊です。
この本を読んでわかるのは、儲かる方向性は10年後を見据えた「事業発展計画書」の作成で決まるということです。
事業発展計画書の構成は、「理念・思想」、「戦略・方向性」、「戦術・戦い方」、「目標・数値化」という4つの階層で成り立っています。「遠くに旗を立て続けよ」と著者が語るように、10年後の理想から逆算して、今何をすべきかを考えるのです。
利益を出し続けて内部保留を厚くし、取引先を10社、50社、100社と増やして、一社や二社に買い叩かれても断れるだけの体力をつけることが、永続する道なのです。
新しい顧客の開拓に腐心し、新しい事業の柱を作り、商品を絶えず改良し、追加していかなければ、残念ながら儲かることは永くは続かない(p23)
成長拡大のための戦術
事業発展計画書の中で、成長拡大の戦術として示されているのが、「五本の柱」をつくることです。しかも、受注してから生産する「受注」型の事業と、見込みで生産する「見込み」型の事業を組み合わせることが重要だといいます。
「受注」は不況に強く安定した利益が見込める一方、「見込み」は好況時には大きな利益を生むものの不況に弱い。この二つを組み合わせることで、経営の安定性を高めるという発想です。例えば、注文住宅(受注)と建売住宅・高級家具販売(見込み)を組み合わせている会社があります。
また、新規顧客の獲得では、「どういう取引先が欲しいのか」、「その顧客はどこにいるのか」を明確にし、具体的な計画に落とし込むことが重要です。例えば、虎昭産業はコンビニに初めて「おでん」を納入し、売上を爆発的に伸ばしました。
「五本の柱を作りなさい」とは、私の社長塾でずっと言い続けてきたことだ(p2)
事業を安定させるための戦術
事業を安定させるためには、繰り返し売るシステムを構築し、商品を磨き、お客様第一主義を実践することが重要です。例えば、ヤクルトの月極め日配システムや通勤定期券のように、サブスク化や前払いを増やしていくことが安定を経営化させるのに有効だという。
お客様第一主義の実践例として、CoCo壱番屋の創業者・宗次徳二氏が毎朝3時55分に起床し、誰もいない社長室でお客様アンケートを一人で読むことを日課にしていたことが紹介されています。
また、チルド洋菓子製造のモンテールでは、毎月70名以上の社員全員で全商品を試食し、アンケートを取っています。顧客の声を聞き、商品を磨くことの重要性がわかりました。
「売りっぱなしではいけない。見込み客をプールして、こちらが主導権を持って、繰り返しの購入を仕掛けなさい」「お客様の名簿を作りなさい」(p266)
経営者自ら学び未来を創造する
著者が強調するのが、経営者自身が常に学び続けることです。
例えば、量販店のベイシア・グループはアメリカのウォルマートを定点観測して自社経営に活かしています。こうした「源流管理」の発想は、ベンチマークとなる企業や業態を継続的に観察し、自社の事業の方向性を修正していくというものです。
また、流行っているレストランや映画、漫画、新しい商業施設に足を運ぶことも、経営者としての感度を磨くことにつながるのでしょう。
この本を読んで、中小企業の経営者は10年後の旗を立てるために、日本経営合理化協会に入会しているのだとわかりました。牟田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・創業期は規模が小さいうちは、社長のワンマン組織がよい・・・それぐらいカリスマがなければ、今の成長発展はなかったはずだ(p218)
・環境整備によって赤字の事業が生まれ変わったという会社が何社もある(p364)
・売り方の複合化戦略としては、店舗を構えて信頼性を高めるのが効果的だ。展示販売を専門にしている会社でも、店舗を一つでも構えただけで信頼性が断然高まる(p149)
・30代以上の社員が辞めていく状況は、どこかに問題があるはずだ。離職率が年間10%という会社は赤信号だ(p228)
▼引用は、この本からです

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牟田太陽 (著)、日本経営合理化協会出版局
【私の評価】★★★★☆(87点)
目次
一章 事業を意図して繁栄させるには「戦略の三つの基本」を押さえよ
二章 将来のビジョンと事業デザインの描き方
三章 《成長拡大戦略1》顧客を増やす戦略
四章 《成長拡大戦略2》値決めと粗利益増大の戦略
五章 《成長拡大戦略3》強い経営体勢への戦略
六章 《事業の安定を築く戦略1》繰り返し売れる戦略
七章 《事業の安定を築く戦略2》「売りモノを磨く」差別化の戦略
八章 《事業の安定を築く戦略3》お客様第一主義の戦略
終章 幾代もの繁栄を築く事業承継の鉄則
著者経歴
牟田 太陽(むた たいよう)・・・創業六十年、のべ十万社の経営者が学び、集う日本経営合理化協会の理事長。大学卒業後、単身、アイルランドで、和食レストランを立ち上げる。帰国後、父・牟田學が興した日本経営合理化協会に入協。牟田學よりオーナー社長業の哲学と実務を一子相伝で伝授。2017年、理事長職を後継、現在に至る。1972年、東京生まれ。日本経営合理化協会 コラムサイト「JMCAwebプラス」にて毎週水曜日に『牟田太陽の社長業ネクスト』を配信中。
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