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【書評】「幾代もの繁栄を築く 後継社長の実務と戦略」牟田 太陽

2026/04/02公開 更新
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「幾代もの繁栄を築く 後継社長の実務と戦略」牟田 太陽


【私の評価】★★★★★(95点)


要約と感想レビュー


後継問題の本質

日本経営合理化協会の「後継社長塾」で教えられている内容です。実は、著者も28歳で父が創業した日本経営合理化協会に入会しており、二代目として苦労しているはずです。


著者は後継問題の多くが、創業者と後継者のコミュニケーション不足に起因していると説明しています。そして現実問題としては、父親が長年付き合ってきた取引先、父親を支えてきた役員たちの処遇、父親の経営方針をどうするかということでしょう。


著者の答えは、先代の否定は禁物。「自分の色」は徐々に発揮していけばいいというものです。


父親を支えてきた役員たちとも敬意を持って接し、できれば信頼を勝ち取れればベストとしています。それでも仮に、役員が横暴なことをするなら、配置転換すればよいのです。


後継社長・・・古参社員からの信頼を勝ち取ることが、会社全体をスムーズに統括する近道と思ってほしい(p216)

事業発展計画書の作成

日本経営合理化協会では、事業発展計画書の作成を重要視しています。事業発展計画書は、経営環境を捉え、経営の方向性と戦略を示すのものです。そして事業発展計画書は、全ては社員とその家族の幸福のために作成しているのです。


人生を預けてくれている社員のために、会社の将来の姿を描き、社員に夢を与えるのが、事業発展計画書の目的なのです。


もちろん組織が大きくなれば、事業発展計画書を社長一人で実行することは不可能です。だからこそ、事業発展計画書で社長の思いを明確化し、社員に社長の代行として仕事をしてもらうのです。


そういえば、一倉定先生も「経営計画」や「環境整備」の重要性を強調していました。一倉定先生をプロデュースしたのが、日本経営合理化協会を設立した24歳の牟田學だったのです。


事業発展計画書・・・社員への浸透のさせ方も、会社によって様々だ。毎朝、朝礼で読み合わせをしている会社、賞与の前日までに清書をしてこないと賞与を払わないよという会社(p63)

「受注事業」と「見込み事業」

「受注事業」と「見込み事業」という事業形態の分け方も面白いと思いました。


「受注事業」とは、受注してから生産するもの。例えば、下請けは受注事業が多いのではないでしょうか。「受注事業」は受注してから生産するので、在庫リスクはないものの、利益幅は小さくなりがちになります。


受注事業は儲かりにくいので、自社ブランドや完成品にチャレンジしていく必要があるのです。


一方の「見込み事業」は、見込み生産して売っていきます。市場で売られているものは、ほとんどが「見込み事業」ということになります。


「見込み事業」は売れるかどうかわからないので、できるだけ在庫を減らし、顧客リストへのアプローチなど固定客を増やす仕組みを作っていく必要があるのです。
 

見込み事業でありながら、まだ「自社に顧客名簿がない」・・そういう会社は一刻も早くつくってほしい(p98)

事業の五本の柱をつくる

数千社の中小企業とお付き合いしていれば、事業が大きくなっていく中で、どんな問題が起こるのか、だいたい予想がつくのでしょう。だからこそ、「五本の柱をつくるようにしてほしい」「自分の片腕+三人の幹部を育ててほしい」とお願いしているという。


そして、組織が大きくなれば、上で決めた数字を一方的に部下に押し付けてはいけません。やらされ感では人は動かないのです。


当たり前のような内容ですが、さすが本質を押さえている印象でした。文句なく★5とします。牟田さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・鋳物などはどんどんコストの安い中国に仕事がシフトしているが、この会社が中国に負けずに受注を取り続けているのは、短納期の仕事に徹したからだ。早さを売りにすることで、生き残ったのである(p84)


・展示会・・・そこは色々な会社の競争の場である。お客様を獲得するのは難しい・・・自社で展示会を開催することにチャレンジした・・・参加の返事を出してきたお客様全員に、新幹線のチケットを送った(p146)


・ある会社では、鹿児島にある「知覧特攻平和会館」に新入社員を必ず連れて行く。そこには、国のために若くして命をかけた若者たちの遺書や遺影が残っている・・知覧で新入社員研修をするようになってから、入社から三年の離職率がゼロになったという(p235)


▼引用は、この本からです
「幾代もの繁栄を築く 後継社長の実務と戦略」牟田 太陽
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牟田 太陽 (著)、PHP研究所


【私の評価】★★★★★(95点)


目次


第1章「会社を伸ばす後継社長」になるための絶対条件
第2章 受注と見込み、「儲かる事業体質への転換」
第3章 「成長拡大戦略」と「安定戦略」
第4章 後継社長がつくるべき強い組織と配置
第5章 自分を磨き、「社長の器」を広げる
〈巻末付録〉後継社長が心に刻むべき62のこと


著者経歴


牟田 太陽(むた たいよう)・・・日本経営合理化協会専務理事。1972年生まれ。大学卒業後、アイルランドで和食レストランを創業。2000年に創業者牟田學のニ代目として日本経営合理化協会に入協。企画部長、事務局長を経て2010年より現職。社長専門の勉強会「実学の門」「無門塾」「後継社長塾」を2千社を超す経営者に提供している。


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