【書評】「日本人の給料はなぜこんなに安いのか ~生活の中にある「コスト」と「リターン」の経済学」 坂口孝則
2026/11/03公開 更新
Tweet
【私の評価】★★★★☆(87点)
Amazon.co.jpで詳細を見る
要約と感想レビュー
コストとリターンで考える
2019年に出版された本です。当時は、アベノミクスによる金融緩和や円安を背景に、企業の利益が増えていました。低金利の住宅ローンを利用して家を購入した人も、多かったのではないでしょうか。
企業の利益が増える一方で、給料が上がらないことを批判する人もいました。また、「老後2000万円問題」が話題となり、老後30年間で約2,000万円の資金が不足するという試算も報道されていました。
著者の主張は、サブタイトルにあるように「生涯コスト」と「生涯リターン」で考えよう!というものです。
当時は低金利だったので、家賃並みの返済額で家が買えると言われていました。30年後、ローンを支払い終われば家は自分のもの、賃貸は他人ものですから、持ち家のリターンが大きかったのです。
また、「老後2000万円問題」を受けて「公的年金は不十分だ!」という意見もありました。しかし著者は、公的年金には保険料の支払額以上のリターンがあり、民間保険を上回ると説明しています。
つまり、コストとリターンで考えるなら、公的年金を批判する前に、自分が加入している民間保険にムダがないかを見直すのが先、というわけです。
2000万円を元利均等返済方式で・・35年ローンを組むと支払総額は・・金利3%の場合(3232万7416円)・・金利1%の場合(2371万1999円)・・なんと1000万円の差がつく(p161)
日本人の給料はなぜこんなに安いのか
タイトルの「日本人の給料はなぜこんなに安いのか」の答えは、ネタバレになるので書きませんが、著者が指摘する点を確認しておきましょう。
まず、日本では終身雇用を前提とした企業が多いということ。また、給料を上げることはできても、一度上げた給料を下げるのは難しいとということです。
一度上げた給料を下げるのが難しいとしたら、あなたが経営者ならどうするでしょうか。それが、たぶん答えなのです。
雑誌を定期購読する際、「一度契約したら、38年間は購読してください。そのかわり1冊の値段は500円です」という契約と、「1冊1000円ですが、つまらなかったらこの1冊でやめてもらってかまいません」という契約があったとしたらどうでしょう(p32)
投資を勧める側の事情
では、どうすれば収入を増やすことができるのでしょうか。現在は、メディアやSNSで、収入を補うためにNISAを利用した投資や、FX、不動産、仮想通貨などへの投資を勧める人が多いように感じます。
著者が指摘するのは、投資を勧める側には、手数料を稼ぐ目的があるということです。確実に儲かるのなら、誰にも勧めずに、自分で出せる資金をすべて投資するはずだからです。
もちろん、投資で成功している人もいます。ただ、プロが運用するアクティブ型の投資信託でも、市場平均のリターンを上回ることは難しいのです。だから、投資信託運用者は自分のお金を投資せずに、人の金を集めて手数料を取っているのです。
ワンルームマンション投資であれ何であれ、確実に儲かるなら、参加者が増えると困りますから銀行自身がやっているはずです(p98)
確実に収入を増やす方法
結局、確実に収入を増やすために著者がお勧めするのは、「働き続ける」ことです。働くとは、誰かを幸せにすることであり、その喜びを自分も感じられるというわけです。
また、著者によれば、給料は「業種・業態」によって、ある程度決まります。給料を上げたければ、「平均給与が高い業界」への転職も一つの方法です。
簡単に儲かる抜け道はないのだと、私は思いました。
坂口さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・なぜ人はピタリと給料を使い切るのか・・・ちょうど生活できるギリギリに設定されている(p22)
・「持ち家」購入は出口についても考える・・必要がなくなったとき賃貸に出せる場所を考慮するようにしてください(p175)
・日本の企業は、KPIとKGIの設定が欠如しています・・・日本の企業で、個々の人の成果が正しく評価され、できる人の給料を上げることは、はっきり言えば絶望的でしょう。というか無理(p43)
・中古車の市場は「レモン市場」と呼ばれます・・・不良品(すっぱいレモン)ばかりが流通するという意味です(p159)
▼引用は、この本からです

Amazon.co.jpで詳細を見る
坂口孝則、SBクリエイティブ
【私の評価】★★★★☆(87点)
目次
第1章 日本人の給料はなぜこんなに安いのか
第2章 年金は払い損にならないのか?
第3章 消費税増税! もう大物買いはソンなのか?
第4章 空き家大国日本、やっぱり家は買ってはいけない!?
著者経歴
坂口孝則(さかぐち たかのり)・・・調達・購買コンサルタント。未来調達研究所株式会社取締役。講演家。2001年、大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門の業務に従事。2012年、未来調達研究所株式会社取締役就任。製造業を中心としたコンサルティングを行う。
この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
![]()





























コメントする