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【書評】「大前研一入門 「初の半自叙伝」 世界的戦略コンサルタントはいかに生まれたか」 大前研一

2026/07/16公開 更新
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「大前研一入門 「初の半自叙伝」 世界的戦略コンサルタントはいかに生まれたか」 大前研一


【私の評価】★★★★☆(86点)
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要約と感想レビュー


大前研一はどうやって作られたのか

この本は、経営コンサルタントである大前研一氏が、自らの半生を語った半自叙伝です。大前さんの本としては、珍しい内容だと思って読みました。


マサチューセッツ工科大学で出会った名物教授ロバート・オグルビー教授は「図書館に答えはない」と、まず自分で考え抜くことを求めたといいます。そして、「誰が言ったかではなく、何を言ったか」で判断せよという姿勢を徹底的に叩き込まれたというのです。


マッキンゼーに入ってからも、情報を集め、自分で考えることを学びました。


新人として東京事業所に赴任したときには、事業所に置かれていた過去10年分くらいのレポートを読んで、手帳にメモとしてまとめていたという。これが、後に「企業参謀」という書籍として出版されることになるのです。


また、仕事では特定のテーマについて調べまくり、情報を全部集めてみると「これか」と見えてくることがわかったという。すべての情報を集めた者が勝つのです。


勉強して得た知識よりも、足を使って集めた情報のほうがはるかに役立つ。情報を集めた者勝ちなのだ(p59)

撤退寸前から「企業参謀」の出版で大逆転

著者がマッキンゼー東京事務所に着任した当時、月額2500万円というコンサルティング料の価値が理解されず、東京事業所の業績は振るわず撤退寸前まで追い込まれていたといいます。


実際に発注してもらえば、将来会社を背負う有望な若手社員とマッキンゼーの人間を組ませ、マッキンゼーが持つ社外の常識と分析手法に、若手の持つ社内の内情と業界の動向を組み合わせ、成果を上げながら、人材育成もできたという。


しかし、外資系企業とはいえ、30歳そこそこの若者に月2500万円を支払う企業は少なかったのです。


転機となったのが「企業参謀」の出版でした。この本がものすごい勢いで売れ始めると、大前研一ご指名で企業からの問い合わせが殺到し、1億円や1億5000万円の提案書が簡単に採用してもらえるようになったといいます。


やがて世界中でもっとも新規顧客を獲得している事務所として東京事務所が評価されるまでになり、大前氏は最年少パートナーになったのです。


大前氏はマッキンゼーのパートナーとして「世界化」を進めました。その真の目的は、マッキンゼーのアメリカ本社中心、アメリカ人優先、WASP支配から、マッキンゼーを実力主義の会社に変えることであり、それを実現したという。


「企業参謀」が出版されてものすごい勢いで売れ始めると・・・企業からの問い合わせがマッキンゼー東京事務所に殺到(p76)

大経営者との思い出

この本には、著者が接してきた名経営者たちとのエピソードが数多く紹介されています。


腰が引けた反応を見せた経営者には「僕が連れて行きますよ」と世界旅行に誘い、訪問先の世界企業トップから「これからは日本の時代です」と握手を求められる。こうした出会いを演出して、日本企業の経営者たちのグローバル化を後押ししていったという。


立石電機(現オムロン)の創業者・立石一真氏は、赤字で倒産寸前のとき、マッキンゼーにコンサルティングをお願いしていたというのです。その後、立石氏は50歳を過ぎてから従業員を100倍、売上を1000倍にして、町工場を世界企業へと飛躍させました。


またヤマハ発動機の創業者・川上源一氏は、マッキンゼーと企業参謀チームを作るプロジェクトを提案されて、「経営のことを聞きたければ経営の神様、オレのところに来い!」と言い放ったという。


実際、川上氏は、ヤマハ音楽教室に子どもを通わせ、ピアノ貯金でお金を積み立てるという仕組みを作ったり、錆びにくい船外モーターを開発するなど、個性的かつ実力派の経営者だったのです。


松下幸之助氏が技術と組織を学んだフィリップス社との関係を「絶対に切るな」と守り続けたエピソードも、義理と人情の重要性を改めて感じさせます。


立石一真さんは、50歳を過ぎてから従業員を100倍、売上を1000倍にして、倒産寸前まで追い込まれていた町工場を世界企業へと飛躍させた(p122)

55歳からは人材育成に注力

著者は55歳を境に、コンサルティングから人材育成へと軸足を移しています。政策提言の「一新塾」、起業家養成の「アタッカーズ・ビジネス・スクール」、ビジネスを学ぶBBT(ビジネス・ブレークスルー)大学の設立など、次世代の人材を育てることに注力してきたのです。


一方で、AIやITで遅れが目立つ日本の教育に対しては、厳しい目を向けています。文科省が10年に一度しか指導要領を書き換えないのに対し、北欧には3か月に一度書き換えている国もあると指摘し、日本には危機感が足りないというのです。


ただし著者は、文科省には期待していないようです。文科省が指導しない分野、アニメ、ゲーム、スポーツ、料理などでは日本人が世界のトップに立っているとし、文科省の権限が及ぶ範囲が少なくなれば、日本は発展すると言いたいようです。


若き日の大前研一氏の経験談に、読み応えのある一冊でした。大前さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・「どうすればこの企業はよくなるのか」「この国はどうすれば成長できるのか」という問いに向き合い、その思考のプロセスを記録し、読者と共有してきた(p2)


・英語はイエス、ノーがハッキリしている」などとしたり顔で言うのは、ハイソサエティの英会話に接したことのない人の言い草だ。マッキンゼーのような会社で簡単に「イエス」「ノー」を言ったら、次の日にはクビになっていないまでも嫌われ者になっているだろう(p107)


・資産税1%課税を導入したカリフォルニア・・・消費税と資産課税だけ、というのが世界的に進行している「税の簡素化」から見ても納得する人が多いのではないだろうか(p176)


・アメリカは1億2000万円を銀行に積めば永住権がもらえる。カナダ1億3000万円、オーストラリアは2億5000万円、ニュージーランドは4億5000万円だ(p188)


▼引用は、この本からです
「大前研一入門 「初の半自叙伝」 世界的戦略コンサルタントはいかに生まれたか」 大前研一
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大前研一 (著)、プレジデント社


【私の評価】★★★★☆(86点)


目次


巻頭言 わが知的アウトプットとそれを生み出した思考法
第1章 名著『企業参謀』はこのようにして生まれた
第2章 マッキンゼー思考の本質
第3章 名経営者の思考と行動法
第4章 現実世界を読み解く思考
第5章 対談・これからの人材づくり


著者経歴


大前 研一(おおまえ けんいち)・・・早稲田大学卒業後、東京工業大学で修士号を、マサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号を取得。日立製作所、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長。趣味は、スキューバダイビング、ジェットスキー、オフロードバイク、スノーモービル、クラリネット。ジャネット夫人との間に二男。


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