一流の思考プロセス「ザ・ゴール2 コミック版 It's Not Luck」エリヤフ・ゴールドラット
2022/06/28公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(83点)
要約と感想レビュー
昨日の「ザ・ゴール」コミック版に続き今日もまた、ゴールドラット博士の「ザ・ゴール2 思考プロセス」コミック版をご紹介します。この「思考プロセス」とは、あちらを立てればこちらが立たずという矛盾する状況を打開するための考え方となっています。
例えば、子どもが夜遊びに行きたいと言ったとき、親としては子どもが心配だから反対することが多いのではないでしょうか。この本の思考プロセスで、この矛盾した状況を分析してみましょう。
ライブに行くのは、子どもが友達と仲良くなるためです。一方、ライブに行かせたくないのは子どもの安全を守るため。すると、それぞれの理由から、幸せな家族を作るという共通の目的があったこととわかります。では、幸せな家族を作るという目的のためにライブに行く、行かないという矛盾をどう解決すればよいのでしょうか。
一例としては、子どもの安全のためにライブが終わった頃に車で子どもたちを迎えに行ってもいいでしょう。昼のライブに行ってもいいのかもしれません。根本の理由を明らかにすることで、衆知を集めて、矛盾した状況を打破する解決策を考えるのです。
・こうやってクラウド(対立構造を図にしたもの)を描き、つなげてみた方が、どんな問題も考えやすくなり、解決しやすくなる(p52)
また問題が複雑な場合は、「好ましくない現象(UDE:Undesirable Effects)」の因果関係を図にした現状問題構造ツリーを作ります。目に見える問題の背景には、目に見えない真の問題があることがあります。いくつもの問題があったとしても、実はたった1つの問題から派生していることもあるのです。問題の因果関係をつなぐことで、真の問題が見えてくることがあるのです。
現状問題構造ツリーは図に書き出してみることで、メンバーと問題を共有できるし、メンバーの知恵を借りることもできるので、一石二鳥のツールです。もちろんコアの問題がわかったとしてもその問題を解決できるとは限りません。ただ、根本の問題がはっきりすれば、効果的な打ち手を考えることができる可能性が高まるのでしょう。
・まずは「根本(コア)」の問題をはっきりさせることが重要です(p108)
この本で紹介している思考プロセスとは、トヨタで言われている「なぜを5回繰り返せ」と共通のものであると思いました。「なぜを5回」とは、なぜ、なぜ、なぜ、とその理由をさかのぼっていくことで、真の原因を明らかにするのです。もちろん真の原因が解決できないものである可能性もあるでしょう。真の原因が法律上の問題かもしれないし、社長自身が原因であるかもしれないのです。それでも考えないよりは考えたほうがよい。表面的な理解よりは、深い理解があったほうが、何らかの解決策が見えてくる一助となるのです。
欧米では思考プロセスをこう教えるのだな、と興味深く読めました。本を読むのが苦手な人はコミック版からはじめてみてはどうでしょうか。ゴールドラットさん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・大きな問題を「小さな変化」で解決しよう!(p156)
・工場に「流通センター」を兼ねさせ在庫を一括管理させたんです。母集団の数が多い方が統計的集約効果が増しますしね・・(p77)
・大量注文したがるのは、大量注文の方が安くすむと思っているから・・・少量注文した方が、他社より安く済むのなら・・(p87)
・委託販売を行えば、リスクなしで品揃えが増やせますから、販売店は喜ぶ(p182)
・ほとんどのマネジャーは製品コストを下回る価格で販売することは損失につながると信じている(p120)
▼引用は、この本からです
エリヤフ・ゴールドラット、ダイヤモンド社
【私の評価】★★★★☆(83点)
目次
プロローグ 緊急動議──傘下の3社を売却せよ!
第1章 思考プロセス──対立する雲を消せ
第2章 一筋の光明──Win-Winの解決策を探れ
第3章 犠牲(いけにえ)の3社──私の心は数字でしか動かない
第4章 根本(コア)の問題──「小さな変化」で明るい未来をつかめ
第5章 現在から未来へ──ネガティブ・ブランチを断ち切れ
第6章 最後の解決策──競合他社が真似できないことは何か
エピローグ 3つの目標──企業が繁栄し続けるために
著者経歴
エリヤフ・ゴールドラット(Eliyahu M. Goldratt)・・・(1947-2011) もともとはイスラエルの物理学者だったが、世界的な経営コンサルタントとして活躍。1984年に出版された『ザ・ゴール』は、革新的な内容に加え、異色の経歴もあいまって全世界で1000万人以上が読んだ大ベストセラーとなった。その中で説明した生産管理の手法をTOC(Theory of Constraints:制約理論)と名づけ、その研究や教育を推進する研究所を設立した。その後、TOCを単なる生産管理の理論から、新しい会計方法(スループット会計)や一般的な問題解決の手法(思考プロセス)へと発展させ、生産管理やサプライチェーン・マネジメントに大きな影響を与えた。
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