ボトルネックを探せ「ザ・ゴール コミック版」エリヤフ・ゴールドラット , ジェフ・コックス
2022/06/27公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
20周年記念の読書会の課題本「ザ・ゴール」のコミック版があることに気づいて購入しました。大きな流れは「ザ・ゴール」と同じで、内容を理解するためならこれで十分です。会社が儲かるためには、コストと在庫を減らし、売上を増やせばよいのです。そして売上を増やすためには、需要を増やす必要がありますが、工場では需要を直接コントロールできません。
工場がコントロールできるのは、いかに製造装置を最大限に活用して発注から短期間で納入すること、生産量を増やすことです。工場での製造は流れ作業ですから、どこかにボトルネックがあります。工場の生産能力がボトルネックで決まっているということです。だから、ボトルネックを探し出し、全員でボトルネックが効率よく作業できるように協力し、能力を最大限活用できるようにするべきなのです。
・ボトルネックの能力が十分に活用されているかどうか確かめてみようか(p138)
こうした本に「ボトルネックを最大限に活用する」と書いてあったときに、そんな当たり前のことに気づかず、問題が放置されていることが本当にあるんだろうか?と思う人がいるかもしれません。私の経験からすると、会社はいろいろな能力や性格の人で構成されており、正しいことが簡単に通用するところではないということを知ってほしいと思います。
会社とは自分の仕事だけを一生懸命やっている人の集団なのです。かつ、新しいことをやって失敗したくないし、周囲から面倒くさいヤツと思われたくないと考えている人が多いと考えるべきなのです。だから本来はボトルネックの能力を最大限活用できるように全社で協力すべきなのですが、ボトルネック工程なのに日曜日に休んでいたり、ボトルネックでないところにロボットを導入して、在庫をどんどん作り、ボトルネック前に在庫が溜まってボトルネックが混乱していたりするのです。
・ロボットを導入した部署で生産性が向上した結果、製品がより多く売れるようになったのかい?(p21)
部分最適よりも全体最適と言われていますが、こんな簡単なことが解決できない現場が多いというのが、組織のジレンマというものの存在を証明しているのかもしれません。本当のボトルネックを探し出し、そのボトルネックを解決すると、他のボトルネックが出てきます。こうして改善は続くのです。実はメンバーの頭の中がボトルネックである場合があるようです。
コミック版ということで30分くらいで読み切りました。ポイントだけ読んで理解しているようなもので、速読に似ていると思いました。ビジネス目的なら、これで十分なのです。ゴールドラットさん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・ボトルネックは悪ではない。単なる『現実』なんだ(p132)
・工場全体の総費用をボトルネックの総運転時間で割った金額が本当のコストになるのだよ(p142)
・何がどう変われば工場が儲かるのかがわかればみんなもがんばると思うんです(p42)
・明日の朝、オムレツの卵はいくついるのか・・・その時々で変わる(p73)
▼引用は、この本からです
エリヤフ・ゴールドラット ,
ジェフ・コックス 、ダイヤモンド社
【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
第1章 工場閉鎖の危機―残された時間はわずか3か月
第2章 会社の目標とは―新たな3つの指標
第3章 「理想的工場」の幻想―効率を高めれば目標から遠ざかる
第4章 久々の休日―ハイキングと工場で起きていること
第5章 窮余の一策―サイコロゲームが教えてくれたもの
第6章 「瓶の首」を探せ―何が工場の能力を決めているのか?
第7章 子どもたちのヒント―ドラム、バッファー、ロープ
第8章 1本の鎖と全体最適―継続的に利益を上げるために
著者経歴
エリヤフ・ゴールドラット(Eliyahu M. Goldratt)・・・1947‐2011。もともとはイスラエルの物理学者だったが、世界的な経営コンサルタントとして活躍。1984年に出版された『ザ・ゴール』は、革新的な内容に加え、異色の経歴もあいまって全世界で1000万人以上が読んだ大ベストセラーとなった。その中で説明した生産管理の手法をTOC(Theory of Constraints:制約理論)と名づけ、その研究や教育を推進する研究所を設立した。その後、TOCを単なる生産管理の理論から、新しい会計方法(スループット会計)や一般的な問題解決の手法(思考プロセス)へと発展させ、生産管理やサプライチェーン・マネジメントに大きな影響を与えた
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