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「コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法」名和 高司

2022/06/29公開 更新
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「コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法」名和 高司


【私の評価】★★★★★(91点)


要約と感想レビュー

マッキンゼーとボストンコンサルティングの違い

コンサル業界の雄であるマッキンゼーで20年、ボストンコンサルティングで6年間仕事をしてきた著者のコンサル業界の解説が面白い一冊です。まず、マッキンゼーでは3ヶ月で調査・分析・戦略を立てて、報告・終了というパターン。これが世界標準です。一方、ボストンコンサルティングでは、3年間クライアントと一緒に調査・分析を行い、クライアントが自ら気づいたかのように導いたり、戦略提案もクライアントが受け入れやすい表現で報告するという。これは日本のみで通用するスタイルで、著者はガラパゴスと表現しています。


日本でマッキンゼー流の結論ファーストで戦略を提案すると、クライアントが激怒することがあるという。いきなり若造が、「御社はこのままでは10年後、存在しません」と断言したら、カチンときますよね。クライアントが納得し、行動しなければ成果は出ないのです。成果が出ないのであれば、コンサル会社に発注する意味がないということになります。だからボストンコンサルティングでは、クライアントが自ら気づくように時間をかけて、導くのです。コーチング的なコンサルといえるのでしょう。


・「わかったよ!ボスコン君、答えはこれだ!」と相手に言わせたら勝ち・・・誘導しているのはボスコンの側であっても、驚いてみせる(p294)


社長に言いにくいことを言ってもらう

実はクライアントはバカではないのですから、ほどんどの場合、クライアントは解決策をわかっているというのです。ところが、職場ではその解決策に取り組む人がいないのです。なぜ、やるべきことができていないのか。なぜ、やれることができていないのか。実は、そこに問題の本質があるのです。


例えば、法律的には問題ないのに、業界の慣行が制約となっている場合。よくあるのは、社長の好き嫌いを忖度している場合もあるあるです。実は社員からは社長に言いにくいので、高い金を支払ってコンサルから社長に言いにくいことを言ってもらうというのが、コンサルタントを雇う理由の本質なのかもしれません。


・実はそんなことは、はじめからわかっていることが多い。むしろわかっていてもできないことが問題なのである(p68)


重要なのは、当事者に信じさせ実行させること

マッキンゼー流に「ここが問題で、こうすれば成果が出ます!」という提案を受け入れられない日本企業の闇が見えたような気がしました。もし、その提案どおりやって、成果が出たら、それまで担当していた私達の立場はどうなるんだ!などと考えているのかもしれません。逆に言えば、そうした問題の多い会社というのは、成長のチャンスの多い会社であると見ることもできるのです。それまで、誰もやってこなかったのだから、ちょっとやっただけで成果が出るのです。


重要なのは、もっとも正しい答えを出すことではなくて、答えを当事者たちに信じさせること、そして、実行させることだという著者の言葉が、現場の現実なのだと思いました。コンサル業界の実態をわかりやすく理解することのできる良書だと思います。コンサル業界に興味のある人はぜひ読んでみてください。本の評価としては、★5とします。名和さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・ボスコンは、「あなたは本当はこういうことがやりたかったんでしょう」と使命感に火をつける(p307)


・全体を見せているようでいて、じつは、一部だけを切り取って見せているだけ、というのがフレームワークの特徴だ(p366)


・通説を疑う・・・業界の常識は世の中の非常識なのだ(p81)


・あなたの志は何ですか?・・吉田松陰の口癖だったという。いま、答えがなくてもいい。重要なのは考え続けることだ(p506)


▼引用は、この本からです
「コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法」名和 高司
名和 高司 、ディスカヴァー・トゥエンティワン


【私の評価】★★★★★(91点)


目次

第1部 コンサルの基本技
第2部 超一流コンサルのスゴ技
第3部 コンサルを目指す コンサルを超える



著者経歴

名和高司(なわ たかし) ・・・一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。1957年生まれ。1980年東京大学法学部卒業後、ハーバード・ビジネススクールにてMBA取。三菱商事の機械グループに約10年間務めたのち、マッキンゼーのディレクターとして約20年間、コンサルティングに従事。2011~2016年は、ボストン コンサルティング グループのシニアアドバイザーも務める。2010年6月より現職。また、ファーストリテイリング、デンソー、味の素、 NECキャピタルソリューションズの社外取締役、ダイキン、日立、花王、三菱ケミカル、ピジョン、インターブランドなどのシニアアドバイザーを兼任。


外資系コンサル関係書籍

「コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法」名和 高司
「外資系コンサルの仕事を片づける技術」吉澤 準特
「外資系コンサルが教える「勝ち方」の教科書」笛木 克純
「コンサルティングとは何か」堀 紘一
「コンサル・コード―プロフェッショナルの行動規範48」中村健太郎


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