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「「働き方」の教科書:「無敵の50代」になるための仕事と人生の基本」出口治明

2018/11/29公開 更新
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「働き方」の教科書:「無敵の50代」になるための仕事と人生の基本


【私の評価】★★★★★(93点)


要約と感想レビュー

日本生命で国際業務部長などを歴任し、ライフネット生命保険を創業した出口さんの一冊です。出口さんの認識では、50代は無敵だという。仕事のやり方もわかるし業界の裏表もわかっている。ちょっと体力が足りないだけで、そこら辺の何も知らない若者に簡単に負けるはずはないというのです。自分がよく知った分野で独立・起業すれば、何もわからない経験もない若者よりよっぽど成功する確率が高いのですから、実際に出口さんはライフネット生命を創業したのです。


もちろん独立・起業には、失敗のリスクが伴います。しかし、やりたいことをやって成功する人は100人中1人ぐらいしかいないことを知ってさえいれば、仮に失敗したとしてもショックを受けることは少ないというのが著者の考えなのです。失敗するかもしれないけれど、そのリスクをわかったうえで後悔ない人生を生きるというのが、著者の生き方なのです。


・僕が「悔いなし、遺産なし」という考え方を選んだ理由は、人生が楽しいかどうかの判断基準は、「喜怒哀楽の総量」にあると思っているからです(p24)


会社員生活については、人生の時間の三割でしかないことに注目しています。自分の人生のメインは残りの7割にある。会社の外には、家族がいて、友だちもいるのだから自分の心に正直に仕事に取り組めばいいじゃないかということです。多少上司に嫌われても、少しぐらい人間関係が壊れても、自分の意見を主張し行動すれば悔いは残らないだろう、ということです。


そもそも世の中の人の多くは、みな変な人間で、まともな人は少ないのが実態です。そして、人はみんななまけものであるというのが著者の経験からの結論なのです。この事実を理解していないから、期待のほうが大きすぎてパワハラをしてしまうのです。ろくでもない人と一緒に仕事をするのが、会社員生活なのです。


・うつ病になったり仕事にやる気が起きなくなったりする原因は、人間関係がうまくいかない場合が大半です。「仕事が人生のすべて」だと錯覚しているから、人間関係に悩むのです(p71)


50代は人生の折返し地点ですから、出口さんは次の世代のために「遺書を書け」と主張しています。遺書とは仕事の本質を書いた書籍であり、自分が仕事の中で学んだことを次世代に残すのです。実際に出口さんは生命保険とは何か、誰がどのようにして始めたのか、生命保険の本質は何かについて「生命保険入門」を書いています。著者は、ほかの動物と同じように、人間は次世代のためにこそ生きるべきなのでしょう。


出口さんは人生の悩みに対し、ばっさりと答えを出しています。例えば若者には、仕事の訓練も何も受けていない段階で、自己実現できる職場や仕事が見つけられるはずがないのですから、今いる場所でとにかく試行錯誤しながら、一生をかけて自己実現できる職場や仕事を見つけていく。そういう「ゆるい」考えでいいのではないかと提案しています。


最後に、著者は旅に出たときは「迷ったら行く」「迷ったら買う」というマイルールをつくっていたという。つまりチャンスはそうやって来ない。だから迷ったら行く。チャレンジはだいたい失敗する。だからめげる必要はない。出口さんは本質的に優秀な方であり、自分の人生で自分の考えの正しさを実証しているのだと思いました。出口さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・人生を無駄にする3つの行動・・・「済んだことに愚痴を言う」「人を羨ましいと思う」「人によく思われたいと思う」(p45)


・大手生保が嫌がる製造原価を公開したことで、嫌がらせを受けませんでしたか・・・池に石を投げ入れれば、必ず波紋が生じます。石を投げ入れておいて、波紋が起こるのを恐れるのは筋違いというものです・・・波紋が起こるのが嫌なら、石を投げ入れなければいいのです(p58)


・暇になるとろくなことを考えません。せいぜい上司の悪口を言うか、仕事をしないで遊ぶのが関の山です。すべてのメンバーが相対的に幸福になるためには、勤務時間中に余計なことを考える暇がない程度の仕事量があることがいちばんです。その加減を見極め、うまく差配するのが上司の役割なのです(p137)


・特攻隊を組織したのは、確か日本と連合王国(UK)だけです。日本は大学生などの若者を指名しましたが、連合王国は犯罪者で特攻隊を構成したといいます(p177)


・連合王国(UK)では、野山に出て、ひたすら下半身を鍛えるといいます。人間は二足歩行の動物なので裸足で土を踏むべきだ、それが健全な心身の成長につながるという考え方です(p76)


「働き方」の教科書:「無敵の50代」になるための仕事と人生の基本
出口治明
新潮社
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【私の評価】★★★★★(93点)


目次

序章 人生は「悔いなし、遺産なし」
第1章 人間と人生をどう考えるか
第2章 仕事と人生の関係
第3章 二〇代の人に伝えたいこと
第4章 三〇代、四〇代のうちにやっておくべきこと
第5章 五〇代になったら何をするか
第6章 あなたが生きるこれから三〇年の世界
終章 世界経営計画のサブシステムを生きる



著者経歴

出口 治明(でぐち はるあき)・・・1948年、三重県生まれ。ライフネット生命保険株式会社代表取締役会長。京都大学法学部を卒業後、1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。ロンドン現地法人社長、国際業務部長等を経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師等を務める。2006年ネットライフ企画株式会社設立、代表取締役社長に就任。2008年にライフネット生命を開業、2012年東証マザーズ上場。2013年より現職


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