「権力の秘密」飯島 勲
2018/07/26公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(78点)
要約と感想レビュー
10名の秘書が首相の日程を調整
小泉純一郎元総理の首席秘書官が明かす官邸での事務のコツと、秘書ならではの雑学です。官邸スタッフは著者と4人の事務秘書官、5人の内閣参事官で合計10名。この10名で小泉首相の日程を調整していました。各スタッフが飯島秘書官の机の上にある首相の予定表に鉛筆で書き込んでいく。そして1週間の予定だけがフィックスされるのです。
企業の役員も同じだと思いますが、基本は秘書が首相の全スケジュールをコントロールします。小泉元総理は任期中、一切携帯電話を持たず使わなかったという。官邸内の四人の事務秘書官、五人の内閣参事官、そして著者の10人が一体となって首相の情報の共有を図っていたのです。
総理の日程をどう組むか・・・10人共通の公開型にしました。ただし、道具は鉛筆です・・・決定版としてボールペンで書くのは翌週の日程だけ(p38)
日程に余裕を入れる
政治家として大切なのは、ブレないこと。トップがブレてしまうと、末端にまで修正するのに時間がかかって、悪い結果をもたらす可能性が高いのです。予定もブレないように「秘書官打ち合わせ」という余裕を入れています。どのような外乱があっても対応できる心構えが秘書には必要なのですね。
同じようにパーティや冠婚葬祭の仕切りでは、各テーブルに「保留席」を設けていたという。皇族や大臣等が急に利用する場合に備えるための航空会社やJRの「保留台帳」と同じです。
トップが一分でも急に予定をずらすと、全体がずれ込み、機能不全・士気低下を招くこともあるのです・・・日程に空白時間をつくるのです。私は小泉首相の日程に「飯島秘書官打ち合わせ」という項目を30分~1時間程度の幅で、必ず入れるようにしていました(p39)
日程に余裕を入れる
あとは雑多なノウハウ、世の中の仕組みの紹介となっていました。面白いのは、企業の献金や10万、20万単位で少額の献金やパーティ券を買う理由でしょう。その理由は、政治家からのクレームや批判を受けるのを避けるためで、具体的には2009年に鳩山邦夫元総務大臣が「かんぽの宿」や「中央郵便局」にクレームを出して、日本郵政グループの業務が混乱したことを挙げています。
元主席秘書官として言えることが限られるので、このくらいが限度なのでしょう。飯島さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・履歴書のウソの見抜き方・・・社会保険事務所に行って、年金記録台帳のコピーをもらってきてください・・・記録を見れば、過去の職歴は一目瞭然です(p11)
・消費者金融の儲けの鉄則に「台所のきれいなオンナには金を貸すな」という言葉があります・・・企業に当てはめると、当然、台所の汚い人間は歓迎できない(p16)
・マスコミが残念だったのは、安全保障関連法案反対のデモの参加者は主催者発表が12万人で警視庁の発表が3万人とずいぶん違ったこと。なぜ、マスコミは主催者発表を垂れ流すのでしょうか(p183)
・上司の秘密には「知った人間は不幸になる」という根本原理があります・・・上司のほうにしてみれば、「俺の恥部や弱点を知ったヤツは、なるべく抹殺してしまいたい」と考えるのが普通だからです(p23)
・ガサ入れにも意外な盲点があります。家宅捜索令状に対するいわゆる「不同意」と呼ばれるものです・・・たとえば営業部が容疑の舞台となったとしましょう・・・事件と直接関係ない社長室や工場、部員の自宅等については、捜索に「不同意」とすることが法律上可能です(p76)
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【私の評価】★★★☆☆(78点)
目次
第1章 仕事編「リーダーの掟」
第2章 生活編「子育て、医療、住まい選び」の落とし穴
第3章 政治編「永田町でつかむ権力の真髄」
特別対談 飯島勲vs花田紀凱編集長「新聞が真実を書かない理由」
著者経歴
飯島 勲(いいじま いさお)・・・1945年生まれ。小泉純一郎の初当選から議員秘書。小泉の内閣総理大臣在任中は、内閣総理大臣秘書官。
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