「リーダーの掟 ― プーチン絶賛の仕事術」飯島 勲
2016/04/18公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
小泉首相の主席首相秘書官を務めた飯島さんの仕事術です。飯島さんの仕事は、主にマスコミ対策であったことがわかります。
新聞、雑誌が発行される前に情報を入手し、報道内容を想定し、対策を準備していたらしい。なぜならマスコミこそが、国民に情報を提供し、世論を操作できるからです。
・連日朝刊の締め切りである午前一時ごろまで各社の記者の動向を翌朝の報道の内容を想定して事務秘書官に指示を出してから、ようやく官邸を出た。朝は、前夜がどんなに遅くても四時か五時には起きた。各誌の朝刊だけでなく、都内には出回らない早刷りまで取り寄せてチェックする。さらに、曜日ごとの週刊誌の点検。独自ルートで入手した広告のゲラを確認した(p42)
飯島さんの主観によりば、最も国益を毀損したのは、役所であれば外務省。政治家であれば菅直人元首相らしい。外務省は、靖国問題を利用して、国内分子とマスコミを利用して、保守政治家を攻撃した。そして、菅直人首相は、福島第一原発のベント作業を中断させ、再生可能エネルギー買取制度と原子力を停止させることで、日本のエネルギー政策を混乱させたのです。
・当時の首相菅直人が「この顔が見たくないなら、法案を成立させろ」と粘るだけ粘り、どさくさに紛れて成立させてしまった「再生エネルギー特措法」・・・菅を「自然エネルギー普及」で煽った孫正義・ソフトバンク代表取締役の動きに、私は危惧の念を抱いている・・太陽光発電などによる電気は、不安定で品質が低いと評価されている・・地熱や小水力発電を利用すべきだ(p28)
本質を問うという視点で、一本筋が通っていると思いました。飯島さんの夢は、日本の鉄道をシベリア経由でヨーロッパまでつなげることだという。これも良いアイデアですね。
飯島さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・自分だけ働き続けるというのは、とても大変なことだ。しかし、とんでもない嵐が来たときに初めて、今まで苦労した経験が、大きな武器となることを知る。経験から得た強い自信をもって、押し寄せる問題を解決しよう。その時に、君は男になるんだ(p14)
・外務省は、傑出した外交手腕を持つ政治家を追い落とし、手柄を強奪、反対に失敗したら人のせいにすることを繰り返してきた(p46)
・「靖国政局」・・親中派の政治家と外務省チャイナスクールが結託し、マスメディアを通して、日本の保守政治家を徹底的に傷つけてきた。中国が怒っています・・と煽るだけ煽る。しかし、そこで保守政治家が持論を曲げ、妥協したところで、かえって事態は悪くなる。そこで外務官僚はいうのだ。「私たちのいうことを聞いたおかげでこの程度で事態が収まった」と。(p49)
・小泉総理就任一年目の靖国参拝のときである。極秘とされていた八月一五日の参拝後に発表予定だった「総理談話」を、この秘書官は「機転を利かせて」、確実に外務省に漏れるとわかっている人物に手渡した。この漏洩した「談話」をもとに、外務省が中国を煽動、中国が反発を表明して、マスコミも大騒ぎし、靖国参拝は8月15日から13日に前倒し・・途中で交代したのは彼一人である(p139)
・地震発生の翌日の12日早朝、菅は突然現場を視察したいと言い出して、自衛隊のヘリコプターを使って、福島第一原発に出かけた・・「もう少し早く注水を始めていたら」と語った通り、ベントの遅れが、事故の大規模化の最大の原因であったのは明らかだ。現場の作業を中断させた菅の責任は万死に値する(p166)
・ノンキャリアの人事には、大臣も事務次官も官房長も口を出せない慣習になっていて、その裁量はノンキャリアの"ボス"に任されている・・ノンキャリアをバカにするような態度を取れば、仕事ができない部下を集められ、出世レースから脱落してしまうのだ(p128)
・出世のためには、「五年以上年齢の離れた先輩と五年下の後輩を大事にすべし」という、霞が関に伝わる格言がある(p196)
▼引用は、この本からです。
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【私の評価】★★★★★(90点)
目次
第1章 夜11時を夕方5時と思え
第2章 「月見草」対談vs野村克也
第3章 なぜ短命政権が続くのか
著者経歴
飯島 勲(いいじま いさお)・・・1945年生まれ。小泉純一郎の初当選から議員秘書。小泉の内閣総理大臣在任中は、内閣総理大臣秘書官。
読んでいただきありがとうございました!
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