「秘密ノート~交渉、スキャンダル消し、橋下対策」飯島 勲
2015/09/24公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
小泉内閣で主席総理秘書官を務め、現在、内閣参与(特命担当)の飯島さんの一冊です。
秘密は書けないのでしょうが、対北朝鮮への考え方、官邸での危機管理と情報収集等が、興味深い。特にマスコミについては、かなり研究されているようです。
例えば、午後2時以降だと夕刊に記事が間に合わないとか、記事ネタが少なくなる土日に情報提供すると新聞に掲載されやすくなるなど、マスコミをうまくコントロールするコツがあるようなのです。
・なにか事件が起きたときに、本社の中で記者会見を開くと、記者はそれ以後も社内に常駐してしまう危険がある・・ホテルで記者会見を開くべきだったのだ(p17)
政策については、さすが本質を研究されていると思いました。この本で、懸念されているのは、再エネ導入と脱原発の動き、生活保護の増加です。再エネは確実に儲かる高値で買い取る制度ができてしまい、再エネ業者は儲かり、国民は電気料金が高くなって苦しむことが予想されます。
また、人としては橋下徹氏、孫正義氏を評価していないこともわかりました。表面的には良いことを言っているようですが、裏に何かがあるのでしょうか。
・国民年金を40年間きちんと払った人に対する月々の支給額は月額6万5741円・・・しかし、生活保護の基準額は大阪市のあるケースで、生活扶助7万9530円と住宅扶助4万2000円の計12万1530円に加えて、医療扶助で医療費は無料だ(p149)
政治家の主席秘書官が、どのような見方、考え方をしているのか興味深く読みました。言えないことばかりだと思いますが、官邸での仕事の様子をもっと知りたいものです。飯島さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・日本経済新聞社編集局産業部長が「企業広報に望むこと」として、「発表のリリースなどの配布のタイミングで最も困るタイミングは、午後一時半ぐらいのリリースだ。夕刊に入らないこともないが、扱いが小さくなる」と、語っている(p74)
・休日の出来事を伝える日曜と月曜の紙面は情報が少なく、新聞各社は紙面を埋めるために四苦八苦している。・・民間企業もそれにならって土日に発表するといい(p76)
・脱原発を唱える人々は、風力や太陽光などのいわゆる自然エネルギーをもって安価で安定的な電力供給が可能だと誤解しているのではないだろうか。そして、この誤解を助長したのが、ソフトバンクの孫正義社長によるメガソーラー構想だろう(p88)
・週刊誌や月刊誌の政局記事をプロの観点から分析すると・・だいたい10に三つぐらいしか実際には起きたことはない・・結局、部数を稼ぎたい一心で話題の人物を取り上げ、的外れな権力批判を行うというのが週刊誌の伝統だ(p130)
・新聞社の社長は各社持ち回りで勲章を受ける慣習になっているが、裁判係争中の案件があると順番を飛ばされてしまう。一度飛ばされると次の叙勲まで10年以上かかってしまうのだ。・・社長を相手取って裁判を起こすだけで、どんな大手新聞社でもほとんどのケースで腰砕けになってしまう(p132)
・全国で最も生活保護受給者が多い町として知られている大阪の状況はひどい。保護率は、大阪府全体で3.36%。全国平均が1.62%だから二倍以上だ。さらに大阪市だけだと5.71%に跳ね上がる(p148)
・就職活動・・いまは零細企業だとしても10年、20年経ったときに大きく成長している組織で、自分が重要な位置を占めることができるかを見極めるのが大事だろう(p82)
・広島県尾道市の小学校に銀行副支店長から転身した校長は、運動会での国旗国歌の取り扱いをめぐり、教育委員会と教員(組合)の板挟みになって、悩んだ挙げ句に自殺に追い込まれた(p134)
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【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
アベノミクスと秘密の部屋
橋下対策「対阪」インテリジェンスの全貌
著者経歴
飯島 勲(いいじま いさお)・・・1945年生まれ。小泉純一郎の初当選から議員秘書。小泉の内閣総理大臣在任中は、内閣総理大臣秘書官。
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