「007(ダブルオーセブン)に学ぶ仕事術: ジェームズ・ボンド流出世・上司・部下対策に悩む組織人のために」尾藤 克之
2017/10/03公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★★★☆(87点)
要約と感想レビュー
007(ダブルオーセブン)といえば、殺しのライセンスを持つイギリスMI6の工作員です。毎回、007は文句も言わず、困難な任務を全うします。007も会社員である私たちと同じように、Mという上司から指示を受けて仕事をする公務員(サラリーマン)なのです。
上司の指令に対しては、だいたい「はい、わかりました」と答えるのが組織人の常識でしょう。007も上司の指示に従って、使命を果たすという点でサラリーマンと同じなのです。
・「今日、残業いいかな?」「いまから一杯行こうか?」と言われたら、よほどの用事がない限り「はい、わかりました!」と言う関係でなければ、都合の良い部下として見てはもらえないのだ(p230)
どうして007は、かっこいいのでしょうか。それは困難なプロジェクトに不平も言わずに、持てる力をすべて出して完遂しようとするからです。
もちろんうまくいかない時もある。組織のしがらみもある。裏切りに合うこともある。そうした困難にもボンドはクールに対応していくのです。ですから、著者のお勧めは、難しいプロジェクトに手を挙げて、自分のできるだけのことをすることです。失敗したとしても、そのプロジェクトが困難であることは誰でも知っているのです。それで上司の評価は上がることでしょう。
・潰れそうなプロジェクトがあったとしよう。これまで様々な策を講じたけど改善されない状態だ。そういう案件があったら、「僕にやらせてください。やれるだけのことはやってみます」と受けることが得策だ・・少しがんばればすぐ結果が出て、"火事場の処理がうまい人"という印象になる(p205)
単なる仕事術ではなく、007(ダブルオーセブン)の事例と比較するのがうまい!と思いました。ボンド君も我々と同じように人間関係に気をつかい、使命を全うしているのですね。
尾藤さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・サラリーマンにとって最も重要なスキルはなんだろうか?・・明確に言えることは、上司を喜ばすスキルを持っている人で出世しない人はいない・・(p123)
・「ワールド・イズ・ノット・イナフ」において、ボンドは、シンプルかつ速やかに問題を解決するために、事態をある程度改善した段階でMに状況報告している。相手を説得し、自分の意図する方向に誘導するには、先手を打って状況改善の目途を付けてから伝える。その必要性がわかる・・(p179)
・上司から仕事のやり方を指示されたとき、「それよりも、こうしたほうがよいのではないでしょうか」と別のアイデアを提案する人がいる。もちろん、本人にやる気があってのことだが、上司には上司なりの考えがある・・よかれと思って自分の提案を押し通そうとすると関係性が悪化し、上司には「扱いづらい」と評価されて「ブラックリスト」に載ってしまうこともある(p33)
・部下がまずやらなければいけないこと。それは上司の性格を理解することにある・・何故あの上司は評価が高いのか、または評価が低いのかなどの詳細についても把握しなければいけない(p105)
・昇進昇格が早い上司・・営業「課長、A社から受注をとりました」課長「よくやった!でも君の実力ならこんなものではないと思うが」部下を称えつつも高い目標というプレッシャーを与えている(p107)
・社内にはライバル陥れるためのトラップがいくつも用意されている・・どのような人がトラップを踏みやすいか・・仕事ができて有能だが唯我独尊タイプ、相手のポストを脅かす人物・・陰口や悪口の多い人である(p220)
・大きな仕事を受注してきた時など、周囲からの賞賛にかまけて「私の力で受注してきた」・・・という自己主張の強い社員はどこの会社にもいる。そのような時こそ謙虚になって、手柄を上司に譲ってしまえば「ソツがない=気が利く」
と思わないだろうか?(p146)
・仕事の極意は根回しで味方をつくっておくこと・・日露戦争の時に伊藤博文ば、アメリカのルーズベルトのもとに同級生を向かわせて、アメリカに講和の仲介をしてもらえるように「根回し」をさせた話は有名である(p114)
同友館
売り上げランキング: 2,652
【私の評価】★★★★☆(87点)
目次
第1章 ジェームズ・ボンドへの道は、入社5年目の怒りから始まった。
第2章 異動した花形部署には、新たな敵が待ち構えていた。
第3章 敗戦処理、裏切り。ブラックな上司との死闘の果てに。
著者経歴
尾藤克之(びとう かつゆき)・・・コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員。東京都出身。学歴は埼玉大学大学院博士課程前期修了。経営学修士、経済学修士。衆議院議員秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。社会貢献事業(アスカ王国)を運営。