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「波風を立てない仕事のルール 「逆説」の働き方指南」尾藤 克之

本のソムリエ 2019/08/15メルマガ登録
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波風を立てない仕事のルール ~「逆説」の働き方指南


【私の評価】★★★★★(92点)


要約と感想レビュー

 軽いタイトルのイメージとは違って、本書の内容は企業の中の人間関係で苦労した人なら、よくわかるであろう大きな組織での処世術です。大きな組織では、その中の人との人間関係で波風立てない技術や根回しや嫉妬や妬みへの心配りが必要となるのです。


 著者は大手コンサルタント会社でピアノ販促プロジェクトを担当し、上司の方針に基づき報告書をまとめようとしていました。しかし、上司の方針はいつもどおりであり、普通の結果しか期待できません。そこで著者は、自分で新しい販売方法を考え出したのです。


 画期的な販売方法のおかげでピアノの販売は順調に進みなしたが、著者はプロジェクトから外されてしまいました。その後、プロジェクトがうまくいかなくなると、著者がプロジェクトを投げ出したという理由で処罰されてしまったのです。上司の指示に従わず、勝手に販売方法を変えて仕事を進めたために、手柄を自分のものにしたように上司に思われてしまったのです。


 つまり、自分の販売方法の工夫で手柄を立てても、その手柄を独占したように見えたので、上司から切られてしまったのです。手柄を少しでも上司に分けてあげれば、こういった問題は起こらなかったはずです。こうした性格の悪い上司がいるのが現実であり、だからこそ悪い評判がおきないように気配り、心配り対応が必要なのです。


・戦国時代に、豊臣秀吉は毛利家の備中高松城を攻撃した際、ほぼ勝利は目に見えているにもかかわらず、織田信長に援軍を依頼したとされています(p106)


 また、別の事例としては著者が職場の不満を課長に伝え、課長から部長に相談してもらったことがありました。ところが、部長からは「成果も出さず不満ばかり言っている」という主旨で逆に叱られてしまいました。では、著者はどうすればよかったのでしょうか。


 著者は、部長に伝えてもらう前に、課長に対して「大丈夫でしょうか、やめておきますか」と予防線を張るべきだった、と反省して言います。つまり、課長が自らの判断で部長に相談したという形にしておけば、こちらに火の粉はかかりにくかったであろう、ということです。録音するまでは必要ないと思いますが、言い方や立ち位置しだいで結果や評判が大きく変わることもあるのです。


・根回しだと感じさせない根回し・・・ただし注意点としては、その場で自分の言質を取られてはいけないということです・・・何かを約束させられそうになっても、それを肯定してはいけません(p120)


 大きな組織においては、自分だけが責任を取らないような立ち位置を確保することも大事なのでしょう。そして実際に、そうした立ち振舞がうまい人が、批判されにくく評判も良いことが多いのです。


 ですから、自分が責任を取らされる可能性があれば仕事に手をつけない、第三者に相談するという道も知っておいていい。世の中は理不尽なものと分かってしまえば、対応策はあるのです。尾藤さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・頼まれていた仕事をつい忘れてしまったりしたとき、どうしていますか。ここで「忘れていました」というのはバカまじめすぎます(p40)


・怒っている相手からは逃げる・・・いちばんいいのは「近づかない」ことです(p59)


・できない仕事に手をつけてはいけない理由・・・仕事を進めるということは、どれだけ無茶な指示であっても、それに納得して仕事をしているという既成事実を作ることになります・・・かなり情勢は不利になります。そのため、言質を取るまで何もやらないことが予防線になります(p45)


・集団のなかで警戒心、敵対心、嫉妬心などを持たれないことが重要です・・大きな条件は「口が堅い」ことです・・・飲み会の席で他人の噂話をしたりするようなことは一切ありません(p73)


・陰口、悪口は死んでも言わない・・たとえ親しい間柄であっても、陰口や悪口は絶対に口にしてはいけないものなのです(p67)


・慰労会とは上司が自らの権威や存在を示し、再確認する場です。上司は部下たちの様子を見ながら、「こいつは忠誠心がないから異動」・・「こいつは見どころがあるから昇進させよう」など、さまざまな思惑を巡らせています(p76)


・「無礼講」と言われたら、むしろ普段より慎重な対応が求められます・・・私はこのような席でお酒を勧められても「今日は風邪気味で、風邪薬を飲んでいるので飲めません」と一滴も飲みませんでした(p80)


・上司と飲みに行き、お酒が原因で評価を下げる人は少なくありません。筆者は、社内の人とお酒を飲むことは基本的にお勧めしません。飲むのは会社以外の人とにした方が無難だと申し上げておきます(p80)


・人間関係構築力を磨くことです・・・「上司から頼まれたちょっとした仕事は絶対にその日中に終わらせる」「上司よりも必ず先に出社する」などでもいいのです(p115)


・評価を上げる社員は、苦労話やアピールはしません。労(ねぎら)いの言葉があったら・・・時間をかけてしまったことをお詫びいたします」このように思慮深く謙遜するはずです(p103)


・事実とは異なるでっち上げや、人格に関わるような悪評を流されたら、どうすれば良いのでしょうか・・・あなたが直接抗議してはいけません。あなたの味方である上司や実力者の権威を借りて抗議し、やめてもらえば良いのです・・一番良いのは、気にしないことなのです(p48)


・言いがかりをつけてくる強い立場の相手・・基本的な戦法として、こちらから解決策を提示してはいけません。常に相手に提示させ、その提示に矛盾があれば逆手にとって対処するのです・・・感情的なクレームの場合、役員や社長同士の対応にする、というひと言が効きます・・クレームを言ってきた人物のメンツを立ててあげることも考えておかなければいけません(p135)


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【私の評価】★★★★★(92点)



目次

この理不尽な社会で生きていくあなたへ
はじめに 穏やかな毎日を望む人に本当に必要なもの
第1章 事を荒立てない謝罪の鉄則
第2章 危険を冒さずリスクをかわす
第3章 上司に気に入られる仕事術
第4章 ご機嫌を取ってうまいことやる
第5章 文章で下手を打たないために


著者紹介

 尾藤克之(びとう かつゆき)・・・コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員。東京都出身。学歴は埼玉大学大学院博士課程前期修了。経営学修士、経済学修士。衆議院議員秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。社会貢献事業(アスカ王国)を運営。



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