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「本当は中国で勝っている日本企業 なぜこの会社は成功できたのか?」谷崎 光

2017/10/04公開 更新
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本当は中国で勝っている日本企業 なぜこの会社は成功できたのか?


【私の評価】★★★☆☆(74点)


要約と感想レビュー

 多くの企業が中国から撤退する中、ガッツリ儲けている企業もあります。この本では、三菱電機、富士電機、伊勢半、キユーピー、良品計画、ユニ・チャーム などをインタビューした一冊です。日本と違い、中国は何でもありの世界です。現地の商習慣に合わせ、現地人とともに稼いでいく必要があるのでしょう。


 何も信じられない中国では、価格だけが判断材料であり、余裕のある消費者は値段さえ高ければそれを本物のいいものだと思うのだとう。現実は、値段が高くても本物とは限らない点が怖いところです。著者は1個1000円ぐらいの石けんも買ってみたが、日本の1個100円以下の牛乳石鹸を超える使い心地のものはなかったという。


・変化の激しい市場。安定しないオーダー・・投資、思惑。裏切り、コピー商品。ローカルメーカーの台頭。競争。中国の市場は本当に読めない(p86)


 中国は、人口が多いものの、地方によって発展の度合いが違います。日本よりも物価が高い地域もあれば、発展途上国レベルの地域もある。偽物が当たり前に流通し、油断すれば不正が行われ、コネが効く社会です。だからルールを逸脱させないために、権限移譲をはっきりさせ、全部文書化してシステムで相互監視し、逸脱したら必罰するのがコツだという。


 このようにして中国市場で生き残ることができれば、大きな利益が期待でき、もちろんリスクもあるのでしょう。実は中国でうまくいっている会社はあまり情報を発信しません。その原因は税金の話と、儲かっていると知られると納入先から値下げを要求される場合もあるからです。


・ユニ・チャームはGDPが一人当たり1000ドルを突破すると市場の生理用品が使われはじめ、3000ドルを突破するとそれがベビーの紙おむつの使用開始になり、1万ドルを超えると大人用紙おむつ、ペットケア用品、が使われはじめると考えている(p202)


 成功のポイントは、優秀な中国人を金に糸目を付けず採用することです。なぜなら、相応の給料を払わないと、不正をしてお金を稼いでしまうからです。実は日本以外の国では社長が一番悪事をする可能性があると考えます。外資の社長の給与が何億円もするのは、それぐらい払わないと悪いことをするだろうという考え方なのです。日本の常識は、中国だけでなく世界の非常識なのです。


 谷崎さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・「中国人て、何でもするからね。私は中が見えないものは外国製品しか信用しないの」と言うのは、ある若い裕福な中国人ママである(p206)


・ヒロインメイクシリーズは、台湾、韓国も代理店がSNSやブロガーを積極的に使ってアピールしました・・商品発表会も・・今は1日目は雑誌社、2日目はブロガー向けと分けてやっている(p109)


・無印良品の中国の出店チェック表・・・エリアの人口数、外国人は買い物にくるかどうか、富裕層はどうか、カラオケ店はあるかどうか・・もうひとつの基準は、出店エリアに有名店、すなわち無印良品、ユニクロ、H&M、ZARA、ワトソンズ(ドラッグストア)があるかどうか(p192)


・日本のように"察して"はもらえない。なんでも全部、具体的に明確に指示を出さないと動いてはもらえない(p158)


・イベントや事業に協賛金を出すのは、日中欧米企業を問わず、どこの会社も日本を含めて世界中でやっている。中国の場合は、それがしばしば向こう側で私物化される、ということである(p231)


本当は中国で勝っている日本企業 なぜこの会社は成功できたのか?
谷崎 光
集英社
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【私の評価】★★★☆☆(74点)


目次

第1章 三菱電機―中国企業にファクトリーオートメーションを売れ!
第2章 富士電機―スマホ支払い自動販売機で中国大陸を制覇する
第3章 伊勢半―アジア全域の口コミパワーが爆売れを呼んだ
第4章 キユーピー―中国人の舌と胃袋をとりこにした「味」の秘密
第5章 良品計画 ユニ・チャーム 名創―中国人を離さない、品質の良さ×デザイン性×マーケティング
最終章 中国で本当に勝つ方法―匿名でしか語れない本音のホンネ


著者経歴

 谷崎光(たにざき ひかり)・・・1964年生まれ。作家。京都市生まれ、大阪市育ち。武庫川女子大学から、京都芸術短期大学(現・京都芸術大学)造形芸術学部染織科へ転学。卒業時は藍染絣織り着物の制作で学長賞を受賞。1987年卒業後、ダイエーと中国の合弁の貿易商社(大阪の旧ダイエー本社内)にて総合職として5年間勤務。1992年に貿易商社退職後、執筆活動を開始。2001年、北京に渡り、北京大学(経済学院)留学を経て、北京在住で作家活動を続けている。


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