「本当は中国で勝っている日本企業 なぜこの会社は成功できたのか?」谷崎 光


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【私の評価】★★★☆☆(74点)
■多くの企業が中国から撤退する中、
ガッツリ儲けている企業もあります。
この本では、三菱電機、富士電機、
伊勢半、キユーピー、良品計画、
ユニ・チャーム などを
インタビューした一冊です。
中国は日本と違い、
何でもありの世界。
現地の商習慣に合わせ、
現地人とともに稼いでいく
必要があるのでしょう。
・変化の激しい市場。
安定しないオーダー・・
投資、思惑。
裏切り、コピー商品。
ローカルメーカーの台頭。
競争。
中国の市場は本当に読めない(p86)
■中国は、人口が多いものの、
地方によって発展の度合いが違います。
日本よりも物価が高い地域もあれば、
発展途上国レベルの地域もある。
偽物が当たり前に流通し、
油断すれば不正が行われ、
コネが効く社会です。
そうした市場で生き残ることが
できれば、大きな利益が期待でき、
もちろんリスクもあるのでしょう。
・ユニ・チャームはGDPが一人当たり
1000ドルを突破すると市場の生理用品が
使われはじめ、3000ドルを突破すると
それがベビーの紙おむつの使用開始になり、
1万ドルを超えると大人用紙おむつ、
ペットケア用品、が使われはじめると
考えている(p202)
■成功のポイントは、
優秀な中国人を金に糸目を付けず
採用することらしい。
なぜなら、相応の給料を払わないと、
不正をしてお金を稼いでしまうからです。
日本の常識は、
中国の非常識ですね。
谷崎さん
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・三菱電機ならではの、
FAの統合ソリューション・・
取り替えだけではなく、
まずそれぞれの情報を見える化する・・
何が問題かを見つけだす。
そこからオペレーションを変えていき、
全体を改善効率化する(p23)
・どの自販機にも、お金をスマホでチャッと
払える液晶パネルが装備されている・・
ニセ札をつかまされることがない(p63)
・何も信じられない中国では、
価格だけが判断材料であり、
余裕のある消費者は値段さえ
高ければそれを本物の、いいものだと思う・・
現実は、値段が高くても本物とは限らない(p126)
・「中国人て、何でもするからね。
私は中が見えないものは外国製品しか
信用しないの」と言うのは、
ある若い裕福な中国人ママである(p206)
・1個1000円ぐらいの石けんも買ってみたが、
日本の1個100円以下の牛乳石鹸を超える
使い心地のものはなかった(p199)
・ヒロインメイクシリーズは、台湾、韓国も
代理店がSNSやブロガーを積極的に使って
アピールしました・・
商品発表会も・・今は1日目は雑誌社、
2日目はブロガー向けと分けてやっている(p109)
・無印良品の中国の出店チェック表・・・
エリアの人口数、外国人は買い物にくるかどうか、
富裕層はどうか、カラオケ店はあるかどうか・・
もうひとつの基準は、出店エリアに有名店、
すなわち無印良品、ユニクロ、H&M、ZARA、
ワトソンズ(ドラッグストア)が
あるかどうか(p192)
・勝っているのにあまり言わないのはなぜだろう。
「ひとつは税金だね・・あと業種によっては、
儲かっていると言ったら、納入先から値下げを
要求されるところもある(p222)
・中国で勝つ方法・・
お金を積んでも、優秀な中国人を採ること・・
たとえばウチなら中国人の専務クラスに
本社の頭取に近いお金を払っている。
見返りは大きい(p224)
・欧米だと、国籍にかかわらずそもそも社長が
一番悪事をする、という考え方です。
外資の社長の給与が何億なのも、それぐらい
払わないと悪いことをするだろう
という考えがある(p227)
・ルールを逸脱させないためには、
権限移譲をはっきりさせ、
全部文書化する。
システムで相互監視する。
逸脱したら必罰です(p228)
・日本のように"察して"はもらえない。
なんでも全部、具体的に明確に指示を
出さないと動いてはもらえない(p158)
・イベントや事業に協賛金を出すのは、
日中欧米企業を問わず、どこの会社も
日本を含めて世界中でやっている。
中国の場合は、それがしばしば向こう側で
私物化される、ということである(p231)
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【私の評価】★★★☆☆(74点)
■目次
第1章 三菱電機―中国企業にファクトリーオートメーションを売れ!
第2章 富士電機―スマホ支払い自動販売機で中国大陸を制覇する
第3章 伊勢半―アジア全域の口コミパワーが爆売れを呼んだ
第4章 キユーピー―中国人の舌と胃袋をとりこにした「味」の秘密
第5章 良品計画 ユニ・チャーム 名創―中国人を離さない、品質の良さ×デザイン性×マーケティング
最終章 中国で本当に勝つ方法―匿名でしか語れない本音のホンネ