「渋滞学」西成 活裕
2017/10/02公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(80点)
■「渋滞学」という
学問があるらしい。
渋滞学が取り扱うのは、
車の渋滞、群衆の動き、
インターネットのデータ転送、
火災の延焼などと幅広い。
面白いところは
モデル化できるところと、
人の心理が関係するものがある
ところでしょうか。
・臨界密度付近では、一番左の走行車線を走る車が
一番少ない、というのも分かっている。
これらの結果から、とにかく我々は
「速く行こう=右へ」という無意識に近い
判断をして運転していると思われる(p65)
■興味深かったのは、
避難口の付近に障害物を置くと
避難時間が短くなるケースがあること。
障害物がないと、
群衆が一カ所に向かって
アーチ状に固まってしまうらしいのです。
障害物という制約があったほうが、
アーチ状の固まりが作られず
スムーズに動けるらしい。
・通路の中央に柱を配置するのも
レーンを形成を促すのに有効だ。
まるで道路の中央分離帯のような
効果があるのだろう(p112)
■粒子が動く、人が動くということは、
なかなか計算できないという。
固まりは簡単ですが、
粒子になると異なる動きを
するわけです。
物質や力の根源が
まだ完全にわかっていないのには
こうした原因があるのかもしれません。
西成さん
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・渋滞への相転移・・臨界密度は・・
1車線で1kmあたり約25台・・
車間距離でいえば大体40m以下に
なったときが渋滞(p48)
・密度が低いうちは、交通法規にしたがって
ほぼすべての車は走行車線を走っている・・
だんだん混んでくると・・追い越し車線を
走る車の数が走行車線よりも多くなる・・
車間距離でいえばおよそ200mだ・・(p65)
・渋滞原因の第1位である「サグ部」とは・・
sagとは、棚などの真ん中の部分が
重みで「たわむ」という意味だ・・
100m進むと1m上昇または
下降しているぐらいの坂道がサブ部(p42)
・バスの場合、現在行われている
ダンゴ運転の解消方法は、
車間距離が詰まってくればその間隔を
調整するためにわざと停止して、
クラスター化を避けることだ・・
利用客の評判は良くない(p141)
・信号機がたくさんある道・・
スルーバンド・・・グリーンウェーブ・・
違反速度で早く通り抜けてゆこうとする
車は赤信号でかならず引っかかるように
してしまうもの(p69)
・山全体に燃え広がらないための条件は
どういうものだろうか・・・
土地を正方形のセルで分割し、
その格子点に木を植えるとする・・
火は上下左右の木のみへ燃え移り、
1時間ステップ後に消える・・
植林の割合が何%以上になれば、
左端の火が右端に達するのか・・
この60%というのが、パーコレーションが
起きるかどうかの臨界値・・(p189)
・ちなみにエレベータも
日本は閉めるボタンがあるが、
ドイツでは閉めるボタンはない。(p177)
・一つの交差点に信号機を作るコストは
700万円ぐらいかかるそうだ・・(p74)
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【私の評価】★★★★☆(80点)
■目次
第1章 渋滞とは何か
第2章 車の渋滞はなぜ起きるのか
第3章 人の渋滞
第4章 アリの渋滞
第5章 世界は渋滞だらけ
第6章 渋滞学のこれから