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「数字・データ・統計的に正しい日本の針路」高橋 洋一

2016/12/05公開 更新
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数字・データ・統計的に正しい日本の針路 (講談社+α新書)


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

 大蔵省(現財務省)から内閣参事官を歴任した高橋さんの一冊。適度のインフレーションを目指す政策を推奨しています。確かに日本の公的債務は、インフレなくしてはどうにもならないのかもしれません。さらに、2%程度のインフレなら景気も良くなって、一石二鳥なのです。


 欧米では一定のインフレで給与も上昇しているのに、日本はデフレで給与が上昇していない。日本国政府の債務を考えれば、一定のインフレにしなければ、財政破綻を回避することは難しいのでしょう。


 なお、格差が拡大している、資本家が儲けていると主張するピケティさんの本についても解説しています。あくまでデータの根拠を確認することが大事であり、ピケティが根拠とする国別の格差のデータは、「The World Top Incomes Database」からのモノが多いという。


 「Japan」のページでは、日本のトップ1%の年収が1280万円と記載されていますが、この「トップ1%」は20歳以上の人口の中で所得が上位1%に相当する個人だであり、給料をもらっている人々の中での1%ではないといった根拠にまで遡ってチェックすることが大事だとしています。


・1945年の仏独はGDP比200%の公的債務を抱えていたが、50年には大幅に減った。もちろん債務を返済したわけではなく、物価上昇が要因だ。安倍政権と日銀が物価上昇を起こそうという姿勢は正しい。物価上昇なしに公的債務を減らすのは難しい(ピケティ)(p34)


 面白いところでは、集団的自衛権のところでしょう。世界で個別自衛権だけでやっているのはスイスとオーストリアくらいです。ほとんどすべての国が自国の安全のために集団的自衛権を採用しているのに、なぜか中国と韓国だけが内政干渉なのに集団自衛権に反対しているのです。


 以上のことから、"集団的自衛権で戦争になる"と言っている人は頭がおかしいか、中国の手先かもしれないとしています。もちろん頭のおかしい人は病院に入っているはずなので、わかっていて主張しているのでしょう。


・中国が反対で、世界の国が賛成ということは、日本の集団的自衛権の行使は間違っていないという何よりの証になるだろう(p137)


 数字・データで議論すると、こういう結論になるのだなぁ~と思いました。データも操作される可能性はありますが、感情で決めるよりはましでしょう。高橋さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・世界には先進国・途上国・日本・アルゼンチンの4種類の国しかない。先進国と途上国は固定メンバーだが、例外として日本は途上国から先進国に上がり、アルゼンチンは逆に先進国から途上国に下がった(経済学者のクズネッツ)(p12)


・金持ちを貧乏な人にしてみたところで、それで貧乏な人たちがお金持ちになるわけではない(サッチャー元英首相)(p24)


・欧米に「強行採決」という言葉はない(p120)


・2015年1月から7月までの中国の輸入は前年比14%も減少している・・リーマンショック後の2009年、アメリカのGDPは3%程度減少、輸入も15%程度減少した。今の中国経済減速は、リーマン・ショック後のアメリカと似ている状況だ(p157)


▼引用は下記の書籍からです。
数字・データ・統計的に正しい日本の針路 (講談社+α新書)
高橋 洋一
講談社
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【私の評価】★★★★☆(80点)


目次

1 「経済成長不要論」が不要な理由
2 野党が安倍自民党に絶対勝てないのはなぜか
3 自民圧勝。野党が生き残るためには何をすべきか
4 ピケティ『21世紀の資本』は、11枚の図で理解できる
5 円安効果で「中国から国内回帰」。大手メーカーの好ましい流れ
6 疫病神――財務省はまだ消費税を上げる気だ
7 「格差解説」TV番組に出たら、出演者がみんな「所得トップ1%に入る年収」で笑った
8 黒田日銀の異次元緩和を批判する前に、左派新聞、左派文化人はもっと勉強せよ
9 左派系識者の「格差拡大」「官製相場」批判は大間違い
10 韓国経済低迷を背景にシャープが持ち直すかもしれない理由
11 リスクとコストから考えれば集団的自衛権は正しい選択
12 あの中国に集団的自衛権ナシでどう立ち向かうというのか
13 欧州・ギリシャ経済危機を救う唯一の解決法
14 戦争を防ぐ最終理論、「平和の5要件」
15 日本の集団的自衛権行使に反対なのは中韓だけ
16 自殺者を増やしてしまった民主党に安保の議論をする資格はあるのか
17 真の平和を望むなら、まず「独裁国家」中国の民主化を求めよ!
18 中国経済はすでに「マイナス成長」に入っている
19 消費増税がもたらす深刻な「負のインパクト」をはっきりさせよう
20 データが示す、日本の学術研究の「暗い未来」
21 TPPをめぐる「3つのデマ」を斬る!



著者経歴

 高橋洋一(たかはしよういち)・・・1955年東京都生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員などを経て、2006年から内閣参事官。金融庁顧問、株式会社政策工房代表取締役会長、2010年より嘉悦大学教授。著書多数。


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