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「信長 秀吉 家康―勝者の条件敗者の条件」津本 陽、江坂 彰

2013/12/28公開 更新
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信長 秀吉 家康―勝者の条件敗者の条件


【私の評価】★★★☆☆(73点)


要約と感想レビュー

 信長 秀吉 家康について、小説家の津本 陽さんと、評論家の江坂 彰さんが好き勝手に放談している一冊。やはり信長は、人格はともかく、未来を予見できた傑出したリーダーでした。しかし、そうした人は、日本では最後まで生き残れないのです。


・日本のいやな面だが、絶対に傑出したリーダーは、やはり最後まで生き残れないのですね(p83)


 日本で生き残るのは、やはり配慮の人でしょう。いわゆる人たらし。組織の中で、人心を掌握し、神輿に乗って勢力を広げることのできる人です。人を動かす技術、これはこれで、たいへんな能力と言えるのでしょう。


・サラリーマンで偉くなりたい人にはやはり、秀吉・・・特にサラリーマンで、大組織で偉くなっていくために一番大事なのは、人間関係をうまくやること、いい上司と出会えることだから、それには秀吉がぴったりです(p233)


 能力のある人にも、それぞれ特徴があり、その組み合わせが歴史を作っていくのです。次の日本の歴史は、だれがつくっていくのでしょうか。あなたです!津本さん、江坂さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・リーダーとは、自らの進むべき方向にグランドデザインを持っていること。そしてそれを持続する意思があること。世界の流れをとらえる鋭い嗅覚があり、それに向って返り血を浴びるのを覚悟で進んでいく人である(p31)


・信長の戦法でまず挙げるべきは「情報」の重視である(p39)


・武田信玄の七分勝ち・・・百パーセント勝ってしまうと己に油断が生まれる、また百パーセント完勝すると相手に味方するものの恨みを買う。だから勝利は七割ぐらいがよろしい(p203)


・ある面では、美濃兵のように土に密着した侍というのは戦闘そのものが強い・・・信長の場合は、兵農分離させ、金で雇った兵隊だから、忠誠心もねばりもない・・・しかし、長期戦となればべつ。兵農分離しない限り、自らの領国以上に広がっていくには限界がある(p97)


・アメリカの自由でダイナミックな規制は、これだけはやったらいけないという規制である。日本の規制は、これだけをやりなさいという規制である。(p235)


信長 秀吉 家康―勝者の条件敗者の条件
信長 秀吉 家康―勝者の条件敗者の条件
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津本 陽 江坂 彰
講談社
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【私の評価】★★★☆☆(73点)


目次

1 信長が躍りでた乱世日本という国
2 信長は常識やぶりの発想で時代の殻を突き破った
3 信長は「戦さ」を「軍事衝突」に変えた
4 信長が引き起こした「経済革命」
5 出自や家系の枠を取り払う信長の人事戦略
6 天才信長のしたたかさと痛恨の過失
7 「生得の人望家」が秀吉最大の武器
8 秀吉は「天衣無縫」と「計算高さ」を併せもつ
9 秀吉は時の流れを引き込む名人
10 天下取り後に噴き出した秀吉の限界
11 家康は戦国一代目の凄まじさを集大成した
12 人間家康の功罪



著者経歴

 津本陽(つもと よう)・・・1929年、和歌山県生まれ。東北大学法学部卒。1978年に『深重の海で』で直木賞受賞。歴史・時代小説の分野で人気を博した。剣道3段、抜刀術5段。


 江坂 彰(えさか あきら)・・・1936年、京都府生まれ。京都大学文学部卒。東急エージェンシー関西支社長等を経て、1984年に独立し『冬の火花』で作家としてデビュー。


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