「上杉鷹山の経営学―危機を乗り切るリーダーの条件」童門 冬二
2013/06/08公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(81点)
要約と感想レビュー
ジョン・F・ケネディ大統領が、もっとも尊敬する日本人として名指しした上杉鷹山の生涯について分析した一冊です。上杉鷹山は17歳で山形の米沢藩主となりました。しかし、その米沢藩は、財政破綻状態だったのです。
財政破綻の理由は、収入が減っていたにもかかわらず、大量の家臣団を維持していたこと。さらに、凶作に飢饉。また、さらに、先代藩主までの放漫支出も大きいものでした。
・吉良上野介は米沢藩を食いものにした。自分の贅沢な生活費のほとんどを息子に言い付けて、上杉家から支出させたからである。(p35)
そうした米沢藩を再建した秘訣は次の三つ。人材の登用。徹底した倹約。そして、付加価値の高い商品開発です。人材としては、保守派から左遷されていた跳ねっ返りの気の強い人を登用しています。
倹約では、無駄な行事を一切止めるとともに、いっぱいいた家臣団に農地の開墾をさせたり、土木工事をさせています。産業育成のために、米だけではなく、価値のある商品開発を目指しているのです。
・米沢ではこれから、米作の他に漆、楮(こうぞ)・桑などを植えて、その原料から種々な品物をつくろうではないか。例えば漆からは塗料や蠟をとり、楮からは紙を漉き出し、桑からは生糸を織り出して・・(p121)
現在の財政赤字国家、日本にも通じるような内容でした。いつの世にも現状維持の反対派はいるし、足を引っ張る人はいるものです。改革者とはそうした普通の人とのゴタゴタに半分以上の苦労をするのが、宿命なのだと思いました。童門さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・新田開発に始まった藩士たちの労力奉仕は、橋の修復になり、材木の切り出しになり、それ以後、場内外の普譜(ふしん)や、本丸、二の丸、三の丸の堀の新設や・・(p147)
・一 国家は先祖より子孫に伝え候国家にして、我、私すべきものには之無く候
一 人民は、国家に属したる人民にして、我、私すべきものには之無く候
一 国家、人民のために樹てたる君にて、君のために樹てたる国家、人民には之無く候(p202)
・外国からみると、日本人は単なる"働きアリ"だ。が、日本人にいわせればちがう。「日本人は、ハート(心)のあるアリ」なのだ。他人のため、社会のためというモチベーション(働く動機)を持って働いている人が沢山いる(p2)
▼引用は下記の書籍からです。
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【私の評価】★★★★☆(81点)
目次
プロローグ なぜ、いま上杉鷹山か
第一章 名門・上杉家の崩壊-財政破綻はなぜ起こったか
第二章 名指導者への序曲/-実学感覚を修得せよ
第三章 変革への激情-「真摯さ」がなければ、何事も始まらない
第四章 大いなる不安-絶望感は自らの力で取りされ
第五章 断行-飽くなき執念と信念が奇跡を生む
第六章 最後の反抗-衆知を集めて悪弊を斬れ
第七章 英断-必要とあらば、非情であれ
第八章 巨いなる遺志-老兵・鷹山と若き後継者
エピローグ 愛と思いや乃の名経営者・鷹山
著者経歴
童門 冬二(どうもん ふゆじ)・・・1927年生まれ。東京都立大学事務長、東京都広報室課長、広報室長、企画調整局長、政策室長を歴任。1979年作家となる。
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