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「聖夜 ― School and Music」佐藤 多佳子

2011/09/05公開 更新
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聖夜 ― School and Music


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

 主人公の鳴海の父と母は、10歳のときに離婚した。母は、ピアノを弾いていた。高校三年の鳴海は、オルガン部に入り、文化祭でコンサートをすることになる。


 思いもせず、鳴海は母が弾いていたメシアンを弾くことにした。子どもの頃から聴いていたから、心の中に残っていたのでしょう。


・母が残していったメシアンのレコードは、全部聴いていた。譜面を見て、弾こうともしてみた。俺はメシアンという作曲家が好きなのか嫌いなのかすら、よくわからない。(p42)


 メシアンの曲は、非常に難しい。鳴海は母親のメシアンを思い出しながら、とりあえず弾けるのだが、何かがたりないと感じます。


 結局、鳴海は文化祭から、ロックの好きな友達と逃げ出してしまいます。コンサートから逃げただけでなく、すべてから逃げたかったのかもしれない。人の心はわからないおのです。


・俺のメシアン?俺の音?・・・結局、よくわからない。そもそも、"俺のメシアン"なんてものを弾きたいのかどうかすら。ただ、今の状態には納得できない。我慢できない。何度も何度も弾いていけば、何かが見えてくるのだろうか。(p91)


 まじめな牧師の父と、父を裏切った母。ピアノと同級生との恋。主人公の心がよく描かれていると思いました。牧師の父が、自分に似ているような気がするのが、ちょっと気になりましたが、よい本だと思います。


 佐藤さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・悪くはないんだ。俺なんか、こんなものんだとも思うし。でもなあ、もやもやする。イライラする。そして、思い出す。思い出そうとする。母の弾くメシアンを。(p78)


・「あの子は何十年と生きてきて、私に一度も叱られたことがないんだよ。悪さなんて考えつきもしないんだろうね。めったにいないよ、あんな子は。優しくて。正しくて。優しくて。優しくて」父のことだ。祖母は涙ぐんでいた。(p155)


・うらやましい。祖母のような母親のいる父がうらやましかった。俺は俺のために泣いてくれる母親はいない。俺の母は、自分のために泣く女だった。(p158)


・「なぜ怒らないのかとよく言われた。あなたは怒っているはずなのに、私を怒らない。神様が私を許すはずだから、自分も許さなければいけないと思っている。人間のくせに神様を気取っている」(p165)


聖夜 ― School and Music
佐藤 多佳子
文藝春秋
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【私の評価】★★★★☆(85点)



著者経歴

 佐藤 多佳子(さとう たかこ)・・・1962(昭和37)年、東京生れ。青山学院大学文学部卒業。1989(平成元)年「サマータイム」で月刊MOE童話大賞受賞。『イグアナくんのおじゃまな 毎日』で1998年度日本児童文学者協会賞、路傍の石文学賞を受賞。『一瞬の風になれ』で2007年に本屋大賞、吉川英治文学新人賞を受賞した。


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