【書評】「「残業ゼロ」の仕事力」吉越 浩一郎
2009/02/27公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(87点)
注:本書を改題、再編集した書籍「君はまだ残業しているのか」が販売されています。
要約と感想レビュー
一人当たりの売り上げ5倍
トリンプ・インターナショナル・ジャパンで、残業ゼロで19年連続の増収増益を達成した吉越さんの一冊です。一人当たりの売り上げは5倍になったそうです。
吉越さんは「残業ナシ」で有名なのですが、「残業ナシ」は効率化のための一つの手段にすぎません。吉越さんのすごさは、同じ従業員数で売り上げを5倍に上げたトヨタ生産方式にも負けない効率化の手法です。
吉越さんの効率化のために打った手は、たくさんあります。例えば、情報を共有して、締め切りを決める早朝会議。二千ものソフトウエア開発。頑張るタイムで集中して仕事。
会議を「デッドライン」を決める場にする(p81)
残業ゼロで仕事を終わらせる
こうした効率化の対策を推進するツールが、残業ゼロなのです。仕事の時間を減らすことにより、職場の問題を見える化し、その対策を進めていくわけです。
具体的には、仕事には必ずデッドラインを設定します。「明日の会議で全員承認が得られる企画書を準備してくること、ただし残業は認めない」というように指示するのです。
これはトヨタがカンバン(在庫)を減らして問題を顕在化させ、効率化を行っていくのと同じ手法だと思いました。つまり、困らせることで、考えさせるのです。
「時間内に終わらなければ残業すればいい」という考え方で対処していると、なぜ仕事が終わらないのかという理由がわからず、したがって抜本的な解決も図れない(p17)
ホワイトカラーの仕事を効率化
トヨタ生産方式は、カンバンなどの手法をマネしてもうまくいかないと言われています。吉越さんの効率化も、手法は導入できても実際に効果を出すことは難しいことでしょう。つまり、単に手法だけを導入しても、従業員の反対を押し切って、小さな改善を継続していくことは、非常に難しいのです。
この本の素晴らしい点は、難しいとはいえホワイトカラーの仕事を効率化できる可能性を示したことです。トヨタができるのだから私にもできるはず。トリンプにできるのだから私にもできるはず。そう思わせてくれることが大切だと思いました。本の評価としては、★4つとしました。
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この本で私が共感した名言
・デッドラインを決めるときも、「いつまでならここまでできる」という社員側の都合ではなく、「いつまでにこれを、なんとしても成し遂げることが必要だ」という会社側の都合から設定しなければならない(p56)
・残業はなくすべきという私の考え方を受け入れるか、それとも私が、残業はいいことなんだ、という社員の強固な思い込みの前に白旗を揚げるのか、根気比べの日々が半年以上続きました。(p103)
・社長になってからも、すべての部門の会議に出席し、また、ことあるごとに現場に足を運び、一緒に問題解決にあたる。・・「現場絶対主義」(p180)
【私の評価】★★★★☆(87点)
目次
第1章 御社の残業がなくならない理由
第2章 問題はとにかく「分けて」考える
第3章 次に「会議」を変えていこう
第4章 「残業ゼロ」の達成まで
第5章 「速くて強い」チームの作り方
第6章 「仕事の常識」はこれだけ変わった
第7章 本当のワークライフバランス
著者経歴
吉越 浩一郎(よしこし こういちろう)・・・1947年生まれ。大学卒業後、メリタジャパンなどを経て1983年にトリンプ・インターナショナル(香港)入社。プロダクトマネジャーなどを経て、86年よりマーケティング本部長。87年代表取締役副社長。92年代表取締役社長。毎朝八時半に開かれる「早朝会議」をはじめ、「ノー残業デー」「がんばるタイム」など、効率重視の経営で、19年連続の増収増益を達成。2006年、予定どおり60歳で社長を退任。吉越事務所を設立。
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