「将たるものの行動学―中国故事に学ぶ 」井原 隆一
2005/08/08公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(88点)
要約と感想レビュー
「覆水盆に返らず」「四面楚歌」「まず隗より始めよ」など中国故事を解説する本はいくらでもあります。ただ、その本の価値を決めるのは、著者がそれをどう解釈し、人生に活用したかでしょう。この本では、故事の解説部分はちょっと難しくてお勧めできません。しかし、実業家として多くの実績を残した井原 隆一さんの経験談による解説部分は秀逸です。
例えば、上司は自分より優れた部下を育成する必要があること、功績があったら自分が取るのではなく部下に取らせることなど、実践的なアドバイスが続くのです。そして出世していくと、技術や知識よりも人格を評価されるようになるというのです。
・先任者がおのれよりすぐれた人材を育てあげるところに、企業永遠の生命がある。ということは、管理者の最高の任務は、おのれよりすぐれた部下を育成するにあるといっても過言ではない。(p111)
他の本では1万円で売っているような内容ですので、井原 隆一さんの本で3000円以下なら即買です。やや故事の解説が難しいこと、本が入手しにくいことから★4つとしました。
この本で私が共感した名言
・実力主義、能力主義、実績主義などで人間が評価されるのは、だいたい下級者である。階級が上がるにつれて人格が重視されてくる。(p22)
・現代の組織においても、トップ、中間管理職を問わず、企業のため非を除き、是を貫く者は、往々孤立に陥ることも少なくない。(p27)
・将が城にいられるのは、石垣が城を支えているからである。経営者がデラックスな椅子にいられるのは、多くの社員が力強く支えているからである。一将功を望むなら、万兵に功を与えることである。その心がなければ、共に枯れるのである。(p177)
▼引用は下記の書籍からです。
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【私の評価】★★★★☆(88点)
目次
第1章 将器涵養
第2章 指揮心得
第3章 人材育成
第4章 経営姿勢
第5章 時勢洞察
第6章 出処進退
第7章 盛衰興亡
著者経歴
井原 隆一(いはら りゅういち)・・・1910年生まれ。14歳で埼玉銀行に入行。20歳で父親の莫大な借金を背負い、銀行から帰ると家業をこなし、寝る間も惜しんで借金完済。その間、並はずれた向学心から独学で法律、経済、経営、宗教、歴史を修めた。最年少で課長に抜擢される。証券課長時代にはスターリン暴落を予測し、直前に保有株式証券をすべて整理。 経理部長時代には日本で初めてコンピューターによるオンラインを導入する。各部長、常務、専務を歴任。1970年、大赤字と労働争議で危地に陥った日本光電工業に入り、独自の再建策を打ち出し短期間に大幅黒字無借金の超優良会社に甦らせる。その後も数々の企業再建に尽力。名経営者としての評判が高い。
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