【書評】「お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ」邱 永漢,糸井 重里
2005/07/15公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(88点)
要約と感想レビュー
お金に使われないこと
お金をテーマにした糸井重里さんと邱永漢さんの対談です。糸井重里さんはライターであり色々な経験をされているのでしょうが、邱永漢さんのように色々な国で色々な商売をやっている人と比べると、どうしても格の違いが目に付きました。
子どもとの付き合い方ということを一つ取ってみても、そこには、天と地ほどの差があるのです。
例えば、邱永漢さんの息子がアメリカに留学に行くとき、仕送りは、一年分のお金をまとめてあげたという。普通は、毎月お金を振り込むと思いますが、邱永漢さんは、子どもにお金の管理の経験を積ませたいのです。
子どものむだづかいをおそれて・・・お金であげるのではなく親の判断でものを買ってあげるというのは、たぶん、いちばんいけないことだと思います・・・自分で判断させて、何でも経験させないといけない(p36)
邱永漢さんの母親の教え
邱永漢さんの母親の教えも興味深いものです。「人間は、懐にお金がいくら入っているか、わかるような生活をするな」と、子どものときから母親にいわれて育ったという。
一般のサラリーマンのような給料日だから・・・という考え方とは違います。「きょうは給料日だから、ご馳走よ」などといった日には「俺は毎日働いているんだ!給料日だからといって変えないでね!」という感じでしょう。
月給をもらった途端に大酒を飲むような財布の底まで見える生活をするなとよくいわれました。(p102)
お金とは何なのか
邱永漢さんは、お金はどんなに持っていても、死ぬまで使わなかったら、お金を持っていなかったのと同じだという。人生においてお金との付き合いは避けられません。お金とは何なのか、お金で何をするのか、お金さえあればいいのか、など色々考えるために絶好の書だと思います。
この本の著者は邱永漢さんと糸井重里さんとなっていますが、あまりに知恵の格差がありすぎて、糸井重里さんを著者とするのは失礼ではないかと思いました。
ちなみに引用はすべて邱永漢さんのものです。邱永漢さんのお金の知恵に目からウロコということで★4つとしました。
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この本で私が共感した名言
・女の子には、あんまり不自由させるとダメなんです。・・・東南アジアの金持ちの華僑がいるでしょう? そういう家の息子が嫁さんもらうとき、お金に不自由しなかったうちからきたお嫁さんは、欲張らないからいい、というんです。(p30)
・お金が汚いという考え方は、中国人にはないんですよ・・・日本だけ割合に、お金を汚いと感じるのではないでしょうか。(p39)
・今日も本読んでたら、「株の公開をするほど落ちぶれてはいない」とあるドイツ人がいったという一節を読みました。「上場するというのは、会社の身売りをすることだから」。ぼくも・・・自分のしていることについていちいち人に釈明するのがイヤなんですね(p54)
・自分にとって面白い仕事は何かを発見することが第一ですね。ただ二十歳やそこらで発見できるわけがないのだから、いろんな経験を積む必要がありますね(p71)
・昔の文献からいい言葉を探すというのは、私は今でもやっていますよ。・・・中国の成語辞典を最初から最後まで読み直しまして、いい言葉を探しますものね・・・それをぜんぶ書き留めておきますし、・・・それを読むための時間も大切にしていますよ(p158)
・ぼくは、仕事をするときに、先入観のある人を使わないんです。絶対に素人でやろうというところがありまして・・・素人だったら、玄人の人と競争して勝つためには工夫をしなければならないから、結果としてそれが勝ちにつながるんだと思います。(p160)
【私の評価】★★★★☆(88点)
目次
第1章 お金について、どう考えはじめればいいのですか?
第2章 事業・株式上場・給料生活・インターネット
第3章 人間・邱永漢が知りたくなります
第4章 人生というゲームを生きるために
第5章 人の気持ちがわかれば、商売のヒントもわかります
第6章 自分のセンスと、お金を容れる器
第7章 未来のことを経験している人は、誰もいないけど
著者経歴
糸井重里(いとい しげさと)・・・1948年群馬県生まれ。法政大学文学部中退。コピーライターとして活躍しながら、ゲーム製作、作詞、文筆(詩・小説・エッセイ)などの創作活動を行う。1979年東京糸井重里事務所設立。1998年ホームページ「ほぼ日刊イトイ新聞」を開設
邱 永漢(きゅう えいかん)・・・実業家。1924年3月台湾台南市生まれ。1945年東京大学経済学部卒業。1946年~54年台湾・香港にて銀行員・貿易商など国際舞台の第一線で活躍。1954年より日本に住む。台湾より香港へ亡命し、1955年小説「香港」にて第34回直木賞を受賞。その後、株の神様、お金の神様といわれながら、事業活動を行い、現在も年間120回飛行機に乗っている。自分でも多数の会社を運営している。著作は約400冊。現在、webサイト「ハイQ」を主宰
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