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「孔子 人間、どこまで大きくなれるか」渋沢栄一・竹内均

2005/04/29公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー

 渋沢栄一とは、日本初の銀行を作った人、日本初の製紙会社を作った人、日本初の株式会社を作った人、日本初を並べると切りがありません。。渋沢栄一は欧米視察で世界を学び、明治初期の日本の骨格を作った人といえるでしょう。


 企業を作り国を富ませることが、明治維新後の日本の急務であることを知っている渋沢栄一は、安定した役人をやめ、実業会に身を投げます。論より実行というのが、渋沢のモットーなのです。


・すべて何事にも論より実行だ。実行の伴わない論は、どれほどの筋道の立った論でも役立たない。(p24)


 そして実際に実業界において、日本初の第一銀行をはじめ五百とも言われる数多くの企業を立ち上げていくことになるのです。


 そして欧米の発展は、紙幣をベースとした資本主義によるものであることを見抜き、銀行、株式市場、株式会社を作っていきました。多くの人から資本を集め、それを銀行という信用創造により、何倍にもして活用していったのです。


・広く民に施そうとすれば財産がなければならず、大衆を救おうとすればこれまた資本が必要だ。何事をするにも先立つものはやはり金銭である。(p106)


 この本は読んでいて「疲れる~」というのが率直な感想です。量もさることながら、一つひとつの項目が考えさせられますので、読みきるのに時間がかかりました。


 つまり、疲れるといっても「考えさせられる」という良い意味での疲れるのです。渋沢栄一は、欧米の資本主義の基本である、競争と市場という考え方も正しく理解していたようです。


・孟子は、「敵国外患なきものは国恒(つね)に亡ぶ」と言っている。まさにその通りである。国家が健全は発達を遂げるためには、農業でも商工業でも学術技能でも、外交上においても常に他の外国と競争して勝つという意気込みがなければならない。(p78)


 資本主義経済だけではなく、論語を通じて幅広い視点について、渋沢栄一の考え方を理解することのできる良書だと思います。


この本で私が共感した名言

・学問が優秀で働きが多い者はその所得は増加し、学問が低劣で労働が少ない者は、その収益が減少するのは当然だ。この自然の成り行きに逆らって万人一律としたら、人々は学問を怠り、仕事を怠って社会は退歩してしまう(p59)


・年の若い元気の充満している青年が、一にも円満、二にも争いを避けようというような精神で世に立つと、自然卑屈に流れてしまうであろう(p82)


・恩恵だけでは人がこれになれてダメになると同時に威圧だけでは人がこれを嫌って心服しないものである。(p120)


・私は倹約であると同時に、必要な事業には大いに積極的でありたいと思う。(p128)


▼引用は下記の書籍からです。


【私の評価】★★★★☆(86点)



目次

第1章 人生いちばんの楽しみをどこに求めるか
第2章 心に"北極星"を抱く人の日々の生き方
第3章 生まれもった資質にさらに磨きをかける
第4章 この心意気、この覚悟が人生の道を開く
第5章 "一時の恥"にこだわって自分を小さくしてはならない
第6章 孔子流の「先憂後楽」の生き方


著者経歴

 渋沢栄一(しぶさわ えいいち)・・・現在の埼玉県深谷市の豪農に生まれる。幕末の動乱期には尊皇攘夷論に傾倒、のちに一橋家に仕える。ヨーロッパ各国視察の経験をもとに、第一国立銀行(みずほ銀行の前身)をはじめ、500あまりの会社を設立。日本の資本主義的経営の確立に大いに貢献した。晩年は社会・教育・文化事業に力を注ぎ、東京高等商業学校(現一橋大学)等の設立を斡旋し、東京市養育院等の各種社会事業にも広く関係した


解説者紹介

 竹内均(たけうち ひとし)・・・大正9(1920)年、福井県大野市生まれ。東京帝国大学理学部地球物理学科卒。昭和38(1963)年、東京大学理学部教授。昭和56(1981)年、東大を定年退職後、東京大学名誉教授。同年、科学雑誌『ニュートン』編集長に就任。代々木ゼミナール札幌、仙台、大阪校校長、日本テレワーク株式会社顧問などを兼任。NHK放送文化賞受賞、勲三等旭日中綬章受章。平成16(2004)年4月20日、83歳にて永眠。


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