【書評】「全一冊 小説 上杉鷹山」童門 冬二
2003/09/16公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(89点)
要約と感想レビュー
米沢藩を立て直した上杉鷹山
この本は、破綻の危機にあった米沢藩を立て直した上杉鷹山の生涯を描いています。涙して読みました。
なぜ、涙がでてくるのか?自分の気持ちを分析てみると、日本人として、このような人間を持った喜び、そして、いまの日本の現状が上杉鷹山が藩主となったばかりの米沢藩にあまりにも酷似しているという悲しみ、その思いが混ざりあって涙が出てくるようでした。
いま、この時代だからこそ、この本を読むべきなのでしょう。
灯火は、藩主としての私が掲げなければならない。
抜擢される人には共通したものがある
また、会社員としての私の視点では、私の尊敬する上司と似ていると思いました。私は、十数年の会社勤めのあいだ、数多くの尊敬できる人に会ってきました。ですから、たくさんの優秀な人を知っているのですが、皆それぞれ持ち味が違います。
けれども、尊敬され抜擢されている人には、何か共通したものがあるように思います。それらの人は、ある種のスタイルをもっていたような気がするのです。
たとえば、わたしが一番苦労した職場の上司は、大部分の仕事は部下に任せながらも、大きな仕事もリードして完遂した人でしたが、「わたしは、職場を異動するたびに、そこでなにかを残そうと考えて仕事をしてきた」と言っていました。
そういう姿を見て、私もそれと同じ考え方でやってみようと思うようになり、実際にやってきたのですが、そういう仕事のスタイルと行動こそが、周囲の人の心を動かすのでしょう。
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この本で私が共感した名言
・おまえたちも、自分の信頼する者を多く集めよ。政治はすべて人である。それも沢山いればいるほどよい。
・おまえたちこそ、この火種ではないかと思ったのだ。おまえたちは火種になる。そして、多くの新しい炭に火をつける。
・大変だ。しかし、他人に何かやってもらうのには、まず、頼む人間が自分でやってみせなければ駄目だ。してみせて、いってきかせて、させてみる、ということばがある。私もそれで行く
【私の評価】★★★★☆(89点)
目次
1章 池の魚たち
2章 冷メシ派登用
3章 人形妻
4章 断行
5章 板谷峠
6章 灰の国で
7章 小町の湯
8章 鯉を飼おう
9章 神の土地
10章 さらに災厄が
11章 江戸
12章 重役の反乱
13章 処分
1章 新しい火を
2章 募金
3章 そんぴん
4章 なかま割れ
5章 普門院
6章 きあぴたれ餅
7章 原方のクソつかみ
8章 赤い襦袢
9章 暗い雲
10章 地割れ
11章 竹俣処断
12章 伝国の辞
13章 改革の再建
14章 鷹の人
著者経歴
童門 冬二(どうもん ふゆじ)・・・1927年生まれ。東京都立大学事務長、東京都広報室課長、広報室長、企画調整局長、政策室長を歴任。1979年作家となる。
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