「トヨタの上司は現場で何を伝えているのか」若松 義人

トヨタの上司は現場で何を伝えているのか (PHP新書 450)
【私の評価】★★★★★(90点)


■トヨタの社員が過労死した・・・という裁判のニュースを聞いて
 本書を手に取りました。

 過労死した人は、通常の仕事に加えて、弁論大会、組合活動、
 月1回の創意くふう提案・・・と様々な仕事をこなしていたようです。

 ・豊田佐吉氏はいつも「生涯改善」と言っていた。(p188)


■改善に改善を重ねるトヨタ式では、
 その業務は、人の能力の限界まで引き上げられているはずです。

 そして中には、その業務に耐えられない人が
 出てくるのでしょう。

 ・大野耐一氏も、厳しい環境に弱音を吐きそうになる若者に、
  よくこうハッパをかけていた。「最後までがんばるか、
  途中で音を上げるかで人間の値打ちが決まってくる」(p127)


■トヨタは自ら倒産しそうになった体験から、
 世界の自動車産業界で勝ち抜くことを目的に
 改善を続けてここまでやってきました。

 そして、生産台数世界一となった今、
 その志は達成されたのです。

 ・「技術者は実地が基本であらねばならぬ。その手が昼間はいつも
  油に汚れている技術者こそ、真に日本の工業の再建をなしうる人
  である」豊田喜一郎氏の言葉だ。(p108)


■しかし、これからは蓄積された歪みについても、
 改善していくことになるのでしょう。

 「なぜ、過労死が発生するのか。」
 これを五回繰り返さなくてはなりません。

 ・「『なぜ』を五回繰り返せ」
  「言いわけをする頭で実行することを考えよ」(p3)


■トヨタのすごさを感じながら、
 実際にトヨタで働いていたら、別の意味で
 そのすごさを感じるのだろうなと思いながら、
 ★5つとしました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・機械のカタログ(説明書)に「三人で使う」とあれば、
  改善を重ねて二人、やがて一人で操作できるようにする。(p22)


 ・なにか問題があったり、なにか思いついたりしたら、まず変えてみる。
  よくなれば改善だし、悪くなったらなら元に戻さず、また直して改善
  すればいい。なにも変えないのは後退と同じだ。気づく。変える。
  知恵を出す。また変える。変化から進歩が生まれてくる。(p85)


 ・トヨタ式改善は、たとえば次のように進んでいく。
  1 作業改善
  2 設備改善
  3 工程改善(p55)


 ・合理化は景気のいいときにやれ(p117)


 ・「ネジをしっかり締めなさい、では個人差が出る」
  これはベテラントヨタマンの言葉だ。・・・
  たとえば「カチッと音がするまで締める」と言えば、
  即座に、誤りなく、全員が理解できる。(p134)


 ・改革には時間がかかる。・・・大野耐一氏は、よくこう言っていた。
  「最初は人間を何人使おうとかまわない。とにかく在庫を持つことなく、
  品質もいいモノを少しずつつくりなさい。それからだんだんと人を
  減らし、多能工をやらせていけばいい」(p171)


 ・協力会社には、望む価格や品質などを「期待値」という形で提示し、
  順守を義務付けている。ただし、それができないからすぐほかの会社に
  切り替えるわけではない。・・・技術協力や資金援助などを徹底して
  行なう。それでも達成できない場合、発注をほかの会社に変えるのだ。
  (p203)


▼引用は、この本からです。

トヨタの上司は現場で何を伝えているのか (PHP新書 450)
若松 義人
PHP研究所 (2007/03/16)
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4 如何に人を育てていくのか
4 ついて行くにはそれなりの環境が必要かも

【私の評価】★★★★★(90点)


■著者紹介・・・若松 義人(わかまつ よしひと)

 1937年生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、
 大野耐一氏のもとトヨタ生産方式の実践、改善、普及に努める。
 84年以降は農業機械メーカーや住宅メーカーなどでもトヨタ方式の
 導入と実践にあたった。91年韓国大宇自動車顧問。
 92年カルマン株式会社設立、代表取締役社長。

─────────────────

■関連書評■
a. 「トヨタの上司」OJTソリューションズ、中経出版
【私の評価】★★★★★

b. CD「大野耐一のモノづくりの真髄」大野 耐一、日本経営合理化協会
【私の評価】★★★☆☆


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