「常識の壁をこえて...こころのフレームを変えるマーケティング哲学」ダン・ケネディ
2005/07/07公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(85点)
要約と感想レビュー
著者は、米国のマーケティング業界のカリスマ、そして成功哲学の講演者としても有名です。それだけに、ちょっと勉強している人にでも面白く読ませるコツを知っているのでしょう。例えば、著者はセミナーで普通のことは言いません。ちょっと毒舌というか、角度をつけて表現するのです。セミナーの後にクレームがあることがあるというくらいなのです。
・経験を積むにつれて、私はますます毒舌になっていった。・・・すると、セミナーのあとに決まって、不愉快だと文句を言いにくる人がいる。そのとき、私は思うのだ。今日のスピーチはうまくいったぞ、と。(p89)
私が特に注目したのは、100万円請求するという著者の広告の作り方です。その作り方はあくまでも過去の実績データから、著者が広告を作り出すのです。それまでに打った広告をチェックして、その効果をしらべ、いちばん有効なアイデアやテーマ、特典を再利用するのです。そこに、著者の想像力や奇抜なアイデアはそれほど重要ではないと断言しています。
常識を放り出してあなたのやり方でやってみよう!というテーマの本ですが、私が常識外れと思ったのは、著者が名刺を持たず、「本やビデオに連絡先を印刷してあるので、名刺がほしければ購入してください」と言っていることぐらいでした。つまり、ほとんどは常識的な内容なのですが、「No Rules」つまり常識外れを強調することで、「つかみ」はばっちりということです。マーケッティング系の著者が「常識外れの・・」という本を出す戦略と同じなのです。
内容的にはよくまとまっていて、いろいろとチャレンジしたくなる一冊に仕上がっているということで星4つとしました。
この本で私が共感した名言
・頭の切れるスタッフは、嘘をつき、上司をだまし、会社のばかげた規則の抜け道を探さなくてはならないのだ。・・・優れた仕事は例外なく、上司に逆らって成し遂げられる」(p198)
・私に言わせれば、素質をうんぬんするのは意味がない。「遺伝か環境か」という議論も全く無意味だ。・・・たとえ素質がなくても、その気になれば、努力で補える。(p47)
・ビジネスの世界では、自分のアイディアや情報や利益を守るために、そして自分の知識と専門技能に対して少しでも高い料金を得るために最大限の努力をしなければならない。(p65)
・一度やってうまくいかなければ、もう一度やってみよう。それでもうまくいかなければ、やめたほうがいい。ばかのひとつ覚えはなんの意味もない。(W・C・フィールズ)(p105)
・私はそうしたほうがいいと思えば、顧客を「クビ」にする。私は書籍や講演テープの通信販売で、無条件に商品の返品に応じている。・・・そういった顧客にはまったく価値はない。・・・そこで「ブラックリスト」に載せて、ダイレクトメールの送付リストからはずす。(p144)
・実は、重要なのは商品ではない。商品にまつわる「物語」なのだ。(p170)
・知りすぎることの弊害は、間違いなくある。・・・あまりに多くを知りすぎているために「あのときはああだった」という過去の経験をもとに勝手に結果を予測してしまうのだ。しかし、それが大間違いの場合もある。時代は変る。(p216)
【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
「ポジティブ思考」のウソ
「生まれつきの素質がないと」のウソ
「大学くらい出ていないと」のウソ
「謙譲は最大の美徳」のウソ
「礼儀正しくあれ」のウソ
「クリエーティブであるべし」のウソ
「継続は力なり」のウソ
「運なんて関係ない」のウソ
「急いては事をし損じる」のウソ
「仕事と遊びははっきりわけろ」のウソ
「ハイテク万能主義」のウソ
「お客様は神様です」のウソ
「リッチになるには時間がかかる」のウソ
「元手がないと話にならない」のウソ
「商品が良ければ売れる」のウソ
「マーケティングの常識」のウソ
「マネジメントの常識」のウソ
「無用の変革は禁物」のウソ
常識破りの成功者たち
著者経歴
ダン・ケネディ(Dan S. Kennedy)・・・米国のダイレクト・マーケティング界の有名人。ベンチャーから、2億ドル級の売上げの大企業まで約100の企業とコンサルタント契約を結んでいる。また、セールス、マーケティング、自己啓発を中心に年間10万人以上を対象とする講演をこなし、熱烈な支持を得ている。ウェブ・サイト「ダン・ケネディ・コム」は月10万を超えるアクセスを誇り、北米を中心とする数千人にニューズレターを配信中。
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