「生命保険営業大全: 売り込まずに自然と売れるトップセールスのメソッド」坂本正勝

【私の評価】★★★★☆（81点）

要約と感想レビュー

商品を売ろうとしてはいけない！

生命保険の営業マンは「100件契約したら家が建つ」と言われる世界です。それなのに著者は、「保険の営業は、商品を売ろうとしてはいけない！」と教育しているという。著者は営業のときに、いかに笑いを取るか？相手を楽しませるか？と考えているというのです。

著者の営業スタイルは、100人に提案するのではなく、100人と仲良くなろうというものです。保険を売ろうとすると、そういう空気をお客様は敏感に察知して去っていくのです。だから、商品を売るのではなく、おもしろい話をして、良い人間関係を作ることに注力するのです。

生保営業でやってはいけない５つのこと。１商品を売ろうとする、２おもしろくない話をする、３身近な人に営業する、４すぐ契約に結びつけようとする、５契約をゴールにする（ｐ５）

仕事を学びの機会として楽しむ

お客様と仲良くなる営業を続ける中で、著者が営業という仕事を勉強の場にしていることにびっくりしました。例えば、お客さんのところにおいてある花に興味を持ったら、植木屋さんを中心に営業するのです。もちろん保険の売り込みをするわけではなく、花や植木について教えてもらうのです。

飛び込み営業したときは、断られるたびに、失敗を分析して、営業技術を磨けると考えるようにしていたという。また、自分に保険の知識が乏しいときには、学んだら即、お客さんのところに言って、教えてあげるようにしていたという。つまり辛い営業の体験を、知識が身につく有益な体験と置き換えているのです。

失敗を分析しよう・・・飛び込み営業で断られても・・・学べて楽しい（ｐ91）

お客様に保険を選んでもらう

著者はスーパーのレジ付近に保険のお店を出店するなど、「保険の窓口」のように保険に詳しくない人をターゲットにしているようです。そして、お客様にはメリットもデメリットもはっきりと伝えましょうと言いながらも、営業トークの例では保険の本質にまでお客様に説明するわけでもないのです。その上で、保険を契約するかどうかはお客様に決めてもらうというスタイルです。

よく考えれば、職場にやってくる保険のおばさんと契約するくらいですから、保険に詳しくない人にアプローチしてよい人間関係を築ければ、契約を取れるのです。クロージングは不要で、お客様に保険を選んでもらったほうが契約は長続きするというのも事実なのでしょう。坂本さん、良い本をありがとうございました。

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この本で私が共感した名言

・「自分のことをちょっとだけしゃべる」・・お客様の話を引き出すのです（ｐ112）

・相づちは「そうなんですね」「そうなんですね」「はるほどね」を１セットにする（ｐ107）

・お客様との会話からヒントを見つけた後に、「私は〇〇のためにやってきました」と、さも元から考えていたかのように伝えます（ｐ33）

・血液型は何型ですか（短い質問）・・将来、どのように考えていますか？（長い質問）・・短い質問と長い質問を３：１の割合でしていきます（ｐ57）

▼引用は、この本からです

坂本正勝、合同フォレスト

【私の評価】★★★★☆（81点）

目次

はじめに　生保営業はなぜ「つらい仕事」だと思われるのか？
第１章　売らなくても提案しなくてもうまくいく！生保営業４つのポイント
第２章　新入社員が３カ月で一人前になる「アルム式メソッド」とは
第３章　"メソッド１"生保営業の基本となる成長マインドをつくる
第４章　"メソッド２"何でも話せる信頼関係を築くコミュニケーション術
第５章　"メソッド３"クロージングせずに契約が決まる営業スキル
第６章　これでマスター！お客様が自然と欲しくなるトークスクリプト１６
おわりに　生命保険に携わる人が幸せになるためには

著者経歴

坂本正勝（さかもと　まさかつ）・・・株式会社ＡＬＭ代表取締役。株式会社タッチ＆ゴー代表取締役。1967年生まれ、大阪府出身、大阪工業大学工学部中退。1986年、旧郵政省京都山崎郵便局入省。郵便配達から郵便貯金、簡易保険まで幅広い業務に携わる。その後、異動した東大阪の枚岡郵便局、布施郵便局で、1933年から1997年の約３年半の間、簡易保険の営業に携わり、最高優績者、国際優績者として年間表彰される。1997年、近畿郵政局保険事業部営業推進課に異動。営業推進、営業企画のほか営業教育を担当。2010年、店舗型生命保険販売を行う株式会社ＡＬＭ（保険相談ショップアルム）を設立し、代表取締役に就任。「売り込まない営業」でお客様に明るい未来を提供することをモットーに、自社社員の教育を行うほか、生命保険会社主催の講演会や、自社主催で全国の保険募集人に各種営業研修を通年実施している

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