「しあわせとお金の距離について」佐藤治彦
2024/02/09公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(85点)
要約と感想レビュー
もっと旅行すればよかった
老後のために貯蓄をしていくことも大切ですが、若い時にこそ楽しいことして、よい思い出を作りましょうと提案する一冊です。
実は著者の父親は、まったくお金を使わず、人付き合いもせず、田舎でひっそりと息を引き取ったというのです。その影響なのか、著者も寿司屋では特上にぎりを頼むことができません。そうした自分自身の反省もあり、苦労して手に入れた大切なお金を、自分のしあわせになるために使っているか、考えてみましょうと著者は問うのです。
著者の周りでも60代後半になって、身体の自由が効かなくなって、もっと旅行すればよかったと嘆く友人が多いというのです。
老後を笑顔で暮らすためにも、若い頃も中年の時もそれぞれの人生の時を彩る楽しいことを綴っていくことは必要ではないでしょうか(p62)
現物はお金に換えていきましょう
お金の使い方は、人それぞれです。著者が指摘する悪いお金の使い方は、次のようなものです。
- 定年になって投資でお金を大きく増やそうと、よくわならない金儲け話に手元の資産を投資してしまうこと。
- ストレスの発散や現実逃避のために暴飲暴食したり、ギャンブルに溺れたり、爆買いすること。
- 割ると怖いから使わない高級陶磁器。家の倉庫に眠っている骨董品。
著者のお勧めは、手持ちのお金を無理に増やすのではなく、好きなことにお金を使いつつ、シンプルな節約生活です。例えば、物は売って現金化し、定年後は自宅や自家用車の売却も考えましょうと提案しています。東京の人であることもあると思いますが、80代となった親の自宅をどうしようかと考えている人が多いので、自分が元気なうちに自宅をどうするのか、子どもに迷惑をかけないようにしようということだと理解しました。
思い出の品は画像に写し、現物はお金に換えていきましょう・・ゆっくりと断捨離を始めましょう(p123)
命の終わりは、いつ来るか分からない
著者は子どもの頃を振り返って、デパートの前にいた傷痍軍人の思い出を語っています。また、戦争を体験した人たちが、「どうせ拾った命だから」と言う人が大勢いたというのです。つまり、自分の命の終わりというのはいつ来るか分からない。だから、一日一日を大切に生きるのだ。自分の人生が、もしあと二年だとしたら、どうするのか考えてみようということです。
いずれ自分の人生も終わりのときが来ます。その時をイメージしながら、今を生きると後悔の少ない人生となる可能性が高まるのでしょう。佐藤さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・生きがい探しをするよりも・・特に男性に言えることですが、日々の生活力をつけることです。掃除洗濯、簡単な調理といった毎日生きていくのに必要最低限のこと(p163)
・近所に顔なじみの寿司屋とイタリアンの店を持つ(p201)
・自分はおすそわけでしあわせになった・・子どもの頃の食卓には、よくご近所からのおすそわけのおかずがのっていたものです(p67)
【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
1 不安とともに人生を過ごさない。その考え方と生活の技術
2 しあわせとお金の程よい距離を測る
3 終の棲家の考え方
4 保険と健康の健全な関係
5 終活をはじめる前に
6 50代からの賢い買い物指南
あとがき 10円玉の重み
著者経歴
佐藤治彦(さとう はるひこ)・・・経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行で銀行員としてデリヴァティブを担当。その後、短期の国連ボランティア、企業コンサルタント、放送作家を経て、テレビ、ラジオ、雑誌などで経済やマネーについての経済評論家、コメンテーターなどを務めている。
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