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「やる気の正体」執行 草舟, 田村 潤

2022/11/21公開 更新
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「やる気の正体」執行 草舟, 田村 潤


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

 「キリンビール高知支店の奇跡」の田村さんの本だ!と手にした一冊です。田村さんが実業での経験を話し、健康食品販売の執行さんが抽象化して説明するというパターンで対談は続きます。


 実は田村さんのキリンビール社内での評価は最低で、シェア最低の高知に支店長として左遷されたようなものでした。田村さんが高知支店長として赴任したとき、現場で見たものは、本社からの指示を形だけやっておけばいい、という社員たちだったという。そこには、上司から評価されることしかなく、「お客様のために」といった発想はなかったのです。


 田村さんが支店長としてやったことは、お客さまである飲食店の声を聞くことです。現場の営業マンには普通の3倍、飲食店を回るように指示したという。そして飲食店の要望を聞いて、対応していく。そうしたドブ板営業を進めていったのです。


 もちろん3倍外回りをしてお客様の要望に対応しようとすれば、時間が足りません。そこで、現場に合わない本社の指示は無視することにしたというのです。サラリーマンとしては自殺行為です。


・使命に向かって行動すれば、相手は変化し、数字も上がってきます。とはいえ実際には行動しない人が大半です(田村)(p40)


 アサヒのドライに押されていたキリンは、ラガーの味を苦味を減らしたキレがあるタイプに変更しました。しかし、高知の現場では、「元のラガーがいい」という人が多かった。田村さんは社長にラガーの味を戻すように直談判して、ラガーの味を戻させました。


 また、お客様が「いい人材がいないか」「いい物件がないか」と営業マンに相談することが多かったので、ゼネコン、内装会社、企画会社、人材派遣会社などを紹介したという。「ビール会社がそこまでやるのか!」飲食店のオーナーが感激して、キリンビールを置いてくれることが増えていったという。


 飲食店にキリンビールが置かれるようになると、お客さんが家で飲むビールもキリンが増えていくようになっていったのです。とにかく「キリンは高知の人を大切にしています」というメッセージを行動に落とし込んでいった結果、キリンのシェアは拡大していったのです。


・全国平均の三倍は訪問してました。すると見えてきたのが、「いい人材がいないか」「いい物件がないか」・・・ゼネコン、内装会社、企画会社、人材派遣会社など社外の知恵のネットワークをつくり・・・飲食店とつないでいきました(田村)(p46)


 なぜサラリーマンである田村さんが、本社の指示を無視することができたのか。なぜ上司を飛ばして、社長にラガーの味を元に戻すように直談判できたのか。執行さんの分析は、田村さんは自分の幸せよりも、他人(お客様)の幸せのために行動したのだということです。ただそれは勇気のいることです。そしてその勇気は、会社の理念に素直に向き合う品格があったからではないかというのです。


 反対にキリンの本社の人間は、変な自信を持っていたのだろうということです。人間は自信を持ったらダメになるという。豊臣秀吉が天下を統一したら、ただのバカなじいさんになったのと同じなのです。


 二人の話の噛み合わないところもありましたが、日本的な精神論も大事なのだなと思いました。人は心で動くものであり、理論で動くものではないからです。田村さん、執行さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・「過去のことは議論しない」・・・今どうなっていて、これからどうするかだけを議論し、決めることにしました(田村)(p49)


・本当の挑戦としてやるのはとても勇気の要ることです。そしてその勇気は、自然に出てくるものではありません(執行)(p64)


・「自分が幸せになろう」という考えが間違っています。国家の幸福、他人の幸福、愛する人の幸福に、いかに自分が貢献できるかを悩むのが文学です(執行)(p126)


・幸福とは、「相手が幸福になってほしい」と祈ることなのだ(執行)(p230)


・振り込め詐欺をやる若い人は、くらだらないやる気はあるのだと思います。何の教養もないと、ああなるのです(執行)(p125)


・僕は読書家で、読書だけを価値観にしてきました。それは自分が足りないので「優れた人の意見を知りたい」・・と思うからです(執行)(p156)


・アメリカ人は寄付をして偉いと言いますが、偉くも何ともありません・・・もともと日本の商道そのものが武士道から生まれたもので、近所や人々のためという発想があります(執行)(p182)


・昔は上司は先輩からしごかれ、訓練する中で本当の自由を得ていった・・・今は落ちこぼれを出さないために、社員を鍛えなくなった。逆説的ではあるが、だからこそ、仕事に自由を感じられない社員がいなくなったのだ(執行)(p243)


▼引用は、この本からです
「やる気の正体」執行 草舟, 田村 潤
執行 草舟, 田村 潤、ビジネス社


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

第1章 幸せと業績向上を両立する仕事術
第2章 真のやる気とは何か
第3章 自信について
第4章 よく生きるとは何か



著者紹介

 執行 草舟(しぎょう そうしゅう)・・・1950年、東京生まれ。立教大学法学部卒業。著述家、健康食品販売。独自の生命論に基づく生き方を提唱・実践。また美術事業も展開し、執行草舟コレクション主宰、戸嶋靖昌記念館館長を務める。


 田村 潤(たむら じゅん)・・・1950年、東京生まれ。元キリンビール株式会社代表取締役副社長。成城大学経済学部卒。1995年に支店長として高知に赴任したのち、四国地区本部長、東海地区本部長を経て、2007年に代表取締役副社長兼営業本部長に就任。2009年、キリンビールのシェアの首位奪回を実現した。2011年より100年プランニング代表。


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