「悲願へ 松下幸之助と現代」執行草舟

|

悲願へ 松下幸之助と現代

【私の評価】★★★★☆(87点)


■執行草舟(しぎょう・そうしゅう)さんとは
 謎の実業家。菌食・ミネラルの酵素食品を
 販売しているという。


 世界の万巻の書を読んだという執行さんは、
 松下幸之助の人生は不幸であっただろうと
 言っています。


 つまり、崇高な理想を掲げ、
 リーダーとして自らを律し、
 組織を牽引していく。


 そこには自分の幸せなどというものは
 超越しており、崇高な理想のために
 自分の人生、生活というものを
 すべて賭けている。


 そのための社員の教育、指導という
 ものは、鬼になることが必要であれば鬼となり、
 仏でなければならなければ仏となる。
 著者のいう野蛮性と高貴性とが
 同居しているというのです。


・平和も幸福もすべて人に与えるもので、
 繁栄と平和と幸福を他人に与えようと思う人は、
 自分は不幸を顧みないということになるのです。
 その結果、不幸の中に活路と未来を見出していく。
 ここに松下幸之助の真実がある(p65)


■そして、戦後生まれたPHP活動
 (繁栄を通しての平和と幸福:
 (Peace and Happiness through Prosperity)
 は、80年間という時間を経て、
 変わらざるをえないとしています。


 つまり、当時は戦後の焼け野原で
 敗戦というショックから日本精神が
 悪ということになっていた。


 必然的に平和と幸福の達成は
 物資の充足からはじめなければ
 ならなかったのです。


 そして、物があふれる今の時代は
 物ではなく心の時代になったという。
 つまり、人とのふれあいを大切にする、
 寄り添うことが繁栄するというのです。


・少しでも愛国的なことを言ったりしたら、
 先生からすぐに殴られた・・・
 「お前のような野郎が戦争を起こすんだ。
 この軍国主義者が」と、親孝行の話を
 しただけでも殴られたのです。
 日本の「精神」はすべて悪いということだった・・
 だから、松下幸之助がPHP理念を唱えたときには
 もう物質だけしかなかったのです(p76)


■言葉の使い方が極端で、読み解くには
 松下幸之助の本を読み込んでいないと
 難しいところがあるかもしれません。


 ただ、執行さんの言う
 新しい理想が求められることもわかるし、
 そのために自分を捨ててでも理想を
 目指す人が必要であることもわかります。


 よく考えれば、頭の良い人は
 いくらでもいますが、
 馬鹿になって理想を目指す人は
 少ないのも事実なのでしょう。


 執行さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・歳をとって、楽をしたい、長生きしたい、
 美味いものを食いたい、
 好きなことだけしたいと言っている。
 これらは全部、我利我利亡者です。
 自分の存在を慎んで、他のために生きるのが人生です。
 自分のためだったら全員、我利我利亡者です(p62)


・不幸になってもいいと思うと、
 反骨精神も出てくるし、
 色々なものに挑戦する気概も出てくる・・
 他人を愛することも出来るようになってくる(p66)


・私も不幸を受け容れる覚悟で頑張っているのです。
 不幸になりたくなかったら、もともと
 頑張ろうとは思わないのです・・・
 やはり人間として先人の後を追い、
 自分もそのような真の人間として生きるには、
 人類の祖先たちの苦労を背負うという
 人生を送りたい(p43)


・松下幸之助の精神というものは、悲哀が
 群を抜いて強いという特徴があります・・・
 それが、若き日には不良性を生み出したのでしょう・・
 不良性と言うと、少し言葉が悪いかもしれませんが、
 「反骨心」や「反抗」そして「反骨精神」というか、
 そういうものです(p41)


・はずれれば、ただの馬鹿となってしまう。
 でも、当たったら魔法使いなのです・・
 未来の日本がそうなるわけがないだろうと
 思うことや、絶対にならないと考えることを、
 新しいPHP理念として打ち立てなければ
 ならないのです(p50)


・私が膨大な本を読めたのは、
 喧嘩が強かったからなのです・・・
 本など読んでいたら悪いのが皆来て、
 「この野郎、生意気だ、ちょっとこっちに来い」
 ということになってしまう・・
 とても喧嘩が強かったから、
 誰も何も言えなかっただけだったのです(p63)


・本を読めとは言いませんが、
 本を全く置いていないというのは、
 馬鹿の証明だったのです。以前は。
 それを平気で「はい、私たちは馬鹿でございます」
 なんていう家庭を作っているのが、
 今の日本人だということなのです(p91)


・幕末の佐賀は・・本当に日本で一番文明が
 発達していたのです。しかし、ただそれだけでは
 日本を覆す力にはなり得なかった。
 ではなぜ出来なかったのか。それは一言で言えば、
 佐賀人というのが頭が良すぎたからなのです・・・
 薩摩人というのはもともと
 学問的に言うと馬鹿ばかりです、あそこは・・
 しかし、そこが薩摩の偉大なところなのです・・・
 総合的な人格力と肚を重んじたのです。
 肚のすわった人間になろうとしていた(p259)


・あまりにクリーンにクリーンにと言っていると、
 外国との戦いにおいても、外交交渉なんか
 全部負けてしまう。外交交渉で勝ち抜く人は
 悪人に決まっています・・
 人の弱みを握っては脅迫したり・・
 そういう人間が国民のためになる人なのです。
 だから悪いとは言えない・・
 善人は何も出来ないのです(p210)


・善人というのは、もともと自分のことを
 善い人間だと思っている「馬鹿者」のことを
 言っていた言葉なのです。だから、今の
 日本人はほどんどがその類型に当てはまって
 しまいました(p34)


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
blogranking.png


人気ブログランキングへ


悲願へ 松下幸之助と現代
執行草舟
PHP研究所
売り上げランキング: 30,863

【私の評価】★★★★☆(87点)

[読書のすすめで購入する]

[楽天ブックスで購入する]



■目次

第1部 「PHP理念」と現代(講演講演後の質疑応答)
第2部 「新しい人間観の提唱」と現代(講演講演後の質疑応答)
「執行草舟×佐藤悌二郎公開対談」



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ第3位
にほんブログ村



この続きは無料メールマガジン 「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』:1ヶ月30冊を超える情報をe-Mailで」でお読みいただけます。

無料メルマガ購読

>月別(2002年7月~)