「フィンランドの知恵―中立国家の歩みと現実」マックス ヤコブソン

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フィンランドの知恵―中立国家の歩みと現実

【私の評価】★★☆☆☆(65点)


■30年前に書かれたフィンランドの
 歴史についての本です。


 フィンランドはソ連(ロシア)に隣接し、
 歴史的にもドイツがフィンランドを
 経由してソ連を攻めることがあった。


 逆に言えば、ドイツをソ連がフィンランド
 経由で攻撃することもありえるわけで
 フィンランドは緩衝地域と見られていたのです。


■フィンランドは人口400万人の
 小さな農業・林業国でした。


 そしてソ連に協力的な姿勢を示しながら
 中立という立場で独立を維持しようとし、
 なんとか今まで生き延びたのです。


 「フィンランド化」とは、だんだんと
 ソ連化していくという意味でもあり、
 逆に良い関係を維持しながら独立を
 維持するという見方もあるのでしょう。


 ヤコブソンさん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・歴史を勝者が記すように、世界政治の筋書きは大国が書く(p1)


・フィンランドは1939~40年に赤軍に抵抗したことで偶像視され、1941~44年に対ソ戦を継続したことで排斥され、第二次大戦終了時に西ヨーロッパの助言に従ってモスクワを信用しなかったことで酷評され、1948年にソ連と条約を締結したことで無駄なことをしたといわれた。そして最後に、現在(1989)ではソ連支配への無気力な服従を意味する"フィンランド化"なる言葉を使っての中傷に甘んじなければならなくなっている(p4)


・小国の第一の務めは、ポーランド国家の第一節「ポーランドは不滅である」という文句をいつもポーランド人が思い出すようにして、生き残ることである(p16)


・一方にとり二枚舌と裏切りの、他方にとり安全と安定の象徴である「ヤルタ」の意義については、いまもなお論争が続けられている・・その合意内容とは、「友好的政府」により運営される周辺諸国を確保する権限がソ連に与えられるというものだ・・(p57)


・チェコ共産党は有権者の40%の支持を得ているのに、フィンランドのそれは23%にすぎない。チェコでは共産主義者が官庁と軍で重要なポストを占めていたが、フィンランドでは政府の中枢でほとんど影響力を持っていなかった(p90)


・国際関係の歴史はじつのところ、各国が他国の内政に干渉する、限りない手段のカタログである。そこには暴力、威嚇、経済的圧力、贈収賄、あるいは無数の微妙な説得の手段がある(p136)


・"フィンランド化"は、全体主義をとる軍事大国の陰で生きている民主主義国がその政治支配への服従を余儀なくされ、やがて国内の自由を失うプロセスとして規定されている。これは、もちろん、フィンランドで起こったことと正反対である。フィンランドは、40年前だれも想像できなかったほど大きな行動の自由を今日(1989)、享受している(p156)


・フィンランドには70万の訓練を受けた予備役兵がおり、そのうち約4万4千人が毎年新たな訓練コースに参加する。これら予備役兵の20万以上が、正規兵とともに、「緊急展開部隊」を構成、48時間以内に動員可能な態勢となっている(p169)


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【私の評価】★★☆☆☆(65点)


■目次

生き残りから成功へ―プロローグ
1 嵐の時代―ロシア・コネクション(隣国ロシアの圧迫
2 外圧と内圧―民主国家への試練(共産主義者の挑戦
3 小国の中立戦略―国益をどう守るか



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