「北朝鮮は「悪」じゃない 」鈴木 衛士
2018/12/29公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(67点)
要約と感想レビュー
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北朝鮮は、アメリカが言うほど、悪の枢軸ではないという一冊です。確かに北朝鮮は核兵器と弾道ミサイルを開発しているだけで、時々テロ事件を起こしたり、覚せい剤は偽札作りをしているだけなのです。北朝鮮と韓国は戦争状態であり、実際に北朝鮮は「韓国哨戒艦沈没事件」「延坪島砲撃事件」を起こしています。
北朝鮮はやられたら必ずやり返すという行動をとっており、北朝鮮はNLLの無効化を企図してこの海域で挑発行為を繰り返し過去に3回南北間で艦艇による軍事衝突があり、「韓国哨戒艦沈没事件」と「延坪島砲撃事件」もその延長なのです。北朝鮮は、制裁による締め付けが厳しくなってきたため覚せい剤や金の密貿易に加えて、コンピュータによるハッキング犯罪によって国家ぐるみで不法に外貨を獲得するようになってきているのです。
北朝鮮も悪いが、中国だって尖閣諸島の領海内に中国艦船を侵入させ、EEZ内で実弾演習、海洋調査活動を行っている。北朝鮮の挑発を批判するのと、中国の挑発を批判するのと大分レベルが違うじゃないかということを著者は言いたいらしいのです。
つまり日本は、中国艦船が尖閣諸島の領海内に侵入しても、EEZ内で実弾演習を実施しても、EEZ内で経済活動の一環である海洋調査活動を行っても、「挑発行動」として敵視するような報道を控えているじゃないかという理論です。両方、日本を貶めようとしているのは同じに見えますが、中国は報復してくるから反撃しにくいということはありますね。
タイトルで読ませようとする一冊でした。鈴木さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・日韓併合はあくまで当時の国際法に則って合法的に行われたものであり、大韓帝国が実質的な保護国となった根拠とされる「第二次日韓協約」に至っては、大韓帝国の皇帝であった高宗(ゴジョン)の意図に沿って行われたものであったことが県立広島大学の平田環教授の研究によって判明しています(p15)
・「中朝友好協力相互援助条約」・・米国が北朝鮮を攻撃すれば、中国が介入するのは当然ということになるのです。「北朝鮮のせいでこんなことになるのはまっぴら御免こうむりたい」というのが、中国の本音でしょう(p114)
・軍情報組織の人間が友好国と情報交換を行う場合には、対象国に関する情報のやり取り以外に、「お互いの国の戦略や運用に関わる情報を収集したり聞いたりしてはならない」という暗黙のルールが存在します(p117)
・米国は「北朝鮮の核兵器は許容することはできても、中東の某国が核兵器を保有することは死活的に許容できない」ということなのです(p118)
・米国は、仮にこの合意から離脱したとしてもイランが核開発を再開することがないように、(核開発を行っている)北朝鮮への軍事攻撃を示威することで、「イランが核兵器保有の道を選択すれば軍事的行動をとる」と暗示しているように感じます(p129)
・イランは、最近シリアやレバノンに勢力の覇権を拡大してきており、(レバノンのシーア派組織ヒズボラと敵対関係にある)イスラエルとの間で衝突寸前であるとの見方も伝えられております。敵対するイスラエルが核保有国であることを考えると、イランが核保有を目指すのは当然の欲求だと思われます(p131)
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【私の評価】★★☆☆☆(67点)
目次
第1章 朝鮮半島の問題とは何か
第2章 北朝鮮とはどのような国か
第3章 2代目金正日と3代目金正恩の違い
第4章 北朝鮮情勢のゆくえ
第5章 今後の展開予想とわが国の戦略について
著者経歴
鈴木 衛士(すずき えいじ)・・・1960(昭和35)年京都府京都市生まれ。1983(昭和58)年に大学を卒業後、陸上自衛隊に2等陸士として入隊。2年後に離隊するも1985(昭和60)年に幹部候補生として航空自衛隊に再入隊し、3等空尉に任官後は約30年にわたり情報幹部として航空自衛隊の各部隊や防衛省航空幕僚監部、防衛省情報本部などで勤務。2015(平成27)年に空将補で退官。
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