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「定年後 50歳からの生き方、終わり方」楠木 新

本のソムリエ 2022/07/22メルマガ登録
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「定年後 50歳からの生き方、終わり方」楠木 新


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー

 40年間会社員として働いてきた人が、定年後に何がおきるのか、著者の経験と20人以上へのインタビューなどによって解き明かした一冊です。


 著者は60歳で定年退職し、執筆業に取り組みはじめました。65歳まで同じ仕事、同じ通勤、同じ同僚、同じ昼食を続けるのはまっぴら御免と辞めたのですが、実際に辞めてみると、同僚との無駄話や仕事後の一杯がないことに淋しさを感じたという。


 会社組織というものはよくてきていて、出張は旅行だし、接待は夜の遊び。歓迎会もあるし、ゴルフもある。規則正しい生活と暇にならないように仕事も与えてくれる。叱ってくれるだけでなく、給料を払ってくれるのです。こうしてみると会社とは天国なのかもしれません。


・会社員は自分で工夫しなくても、会社が自然とオンとオフのスイッチを切り替えてくれる。始業、昼休み、終業・・(p38)


 定年後は女性は比較的楽しく過ごしている一方で、男性は一人寂しくしている人が多いというのが著者の分析です。男性は「それなりに忙しくしているよ」と強がりを言う人が多いのですが、つっこんで取材していると淋しさを感じている人が多いというのです。


 著者は街に出て、定年後と思われる男性を観察、取材してみました。例えば、朝一から図書館に入り浸る人、スポーツクラブに入り浸る人。安いハンバーガーショップや、喫茶店のモーニングでゆっくり時間を潰す人。人それぞれ時間の潰し方はちがうのですが、男性は誰もが「独りぼっち」であったのです。


 確かに女性のように友達とワイワイ遊びに行ってランチを食べながら情報交換するという習性と人脈を持っている男性は、少ないのではないでしょうか。


・女性は現役時代から、仕事だけでなく、家事も、子育ても、食べ歩きやショッピングなど好きなことも手放さない・・退職後も男性に比べて元気で楽しく過ごしている(p27)


 著者の主張は、定年後の人生は、会社での役職と必ずしもリンクしないということです。65歳くらいになれば、出世した人も会社組織を卒業しなくてはなりません。そうした時に、いきいきと生きていけるのか、それとも寂しさの中に沈んでしまうのか、そこが勝負となるのです。


 現在は定年後のお金が問題となっていますが、お金が十分あっても行き場所がなくて困っている人もいるのです。ある程度のお金があって、自分の心安らぐ居場所や自分の能力を発揮できる場所があれば、いきいきと生きられるのではないでしょうか。


 定年後の居場所を、現役時代から考えておく必要があるのでしょう。そのヒントは女性にあるのかもしれない、と私には感じました。


 多くの定年をテーマとした本を読んできましたが、この本が最も「定年後のリアル」をまとめた一冊でした。★5とします。楠木さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・米国においても「雇用における年齢差別禁止法」によって、年齢を理由とした雇用差別は禁じられている・・・定年は当たり前の制度ではない(p4)


・自分の親は60代後半で亡くなった。それを考えると残りはあと10年・・・残りの人生はそんなに短いのか・・(p14)


・定年退職になっても家で管理職のようにふるまう男性もいる(p82)


・会社での役職と定年後は必ずしも相関しない・・・定年後に輝けば過去の景色は一変する。やはり、終わりよければすべてよしだ(p99)


・60歳から70歳は、本当は自分の能力が一番発揮される時期・・・大切なのは退職後の一日一日を気持ちよく「いい顔」で過ごせることだ(p111)


・専業主婦と定年退職者は似ている・・・男性は地域に溶け込む努力が足りない(p157)


▼引用は、この本からです
「定年後 50歳からの生き方、終わり方」楠木 新
楠木 新 、中央公論新社


【私の評価】★★★★★(90点)


目次

プロローグ 人生は後半戦が勝負
第1章 全員が合格点
第2章 イキイキした人は2割未満?
第3章 亭主元気で留守がいい
第4章 「黄金の15年」を輝かせるために
第5章 社会とどうつながるか
第6章 居場所を探す
第7章 「死」から逆算してみる



著者紹介

 楠木新(くすのき あらた)・・・1954年(昭和29年)、神戸市に生まれる。京都大学法学部卒業。大手生命保険会社に入社し、人事・労務関係を中心に、経営企画、支社長等を経験。勤務と並行して、大阪府立大学大学院でMBAを取得。関西大学商学部非常勤講師を務め、「働く意味」をテーマに取材・執筆・講演に取り組む。2015年、定年退職。現在、楠木ライフ&キャリア研究所代表、神戸松蔭女子学院大学非常勤講師


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