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「定年準備 - 人生後半戦の助走と実践」楠木 新

2022/09/15公開 更新
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「定年準備 - 人生後半戦の助走と実践」楠木 新


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

 著者は生命保険会社で支社長を務めるなど順調に出世していましたが47歳のときに体調を崩して休職することになりました。50歳で復帰したときには役職を失い、平社員となった著者はどうすればよいのかわからなくなってしまったのです。そこで著者は会社員の生き方を考えるため、会社員から蕎麦打ち職人になった人や、大道芸人になった人、提灯職人になった人、翻訳家になった人などの話を聞き始めました。2,3年調査をした後で独立し、会社員の働き方をテーマにしたライターになりたいと考えていたのです。


 すると取材の中で、市役所職員から大道芸人に転身した人から、「会社員の働き方を書くなら、定年まで働いて、会社員の体験をネタにすべき」と諭され、さらに「平社員の立場から逃げたいだけではないのか」と叱られたというのです。結果的に著者はアドバイスどおり会社員の立場を維持したまま、ライターという仕事をすることができました。在職中には12冊の本を書き、講演やテレビ出演することができ、無事定年退職することができたという。


・再就職や起業・・・冷やかしでもいいからまず初めの第一歩を踏み出すことが大切だ(p99)


 著者が言いたいのは、何の準備もなく定年退職すると「図書館で小競り合い」「名前が呼ばれるのは病院だけ」「半年経つと立ち上がれない」ということになってしまうということです。会社員であれば、上司の指示命令に従って従順な社員を演じていれば、失敗さえしなければ、それなりに評価されるでしょう。


 ところが定年退職してしまうと、上司も指示命令もなくなり、自分がすべて考えて、決断し、行動しなくてはならないのです。定年後、自分は何をすればいいのか、自分の居場所はどこなのか、この暇な時間をどう潰すのか、わからなくなってテレビばかり見て過ごす人が多いのだという。


・「定年退職を境に、日がなテレビを見て過ごしている」・・『不安な個人、立ちすくむ国家』・・経済産業省若手プロジェクト(p6)


 著者のオススメは、会社員でいるうちから別の名前を持って活動すること。いわゆるペンネーム、芸名を持って二足のわらじを履くことです。とにかくやってみれば、自分の実力もわかるし、業界の厳しさもわかる。うまくいけば最高だし、うまくいかなくても、新しい道が見えてきたりして、自分の居場所を見つけることができるのです。


 副業禁止の会社であれば、ボランティアで無料で趣味の範囲でやってみるのもよいのでしょう。定年後を見据えて、今、やれることを一歩踏み出すことが面白いのではないでしょうか。楠木さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・会社に代わる自分の居場所を見つけられず、多くの自由時間を前に立ち往生している人が少なくないのである(p47)


・50代に役職定年になってラインの仕事から外れると、もう自分には先がないと意気消沈する人は少なくない(p23)


・お笑い芸人でありながら芥川賞を受賞したピースの又吉直樹・・日本勧業銀行の銀行マンを努めながらシンガーソングライター、作詞・作曲家であった小椋佳・・作家の遠藤周作氏は、文学をやっている遠藤周作という本名のほかに、狐狸庵という別名で芝居やダンスやコーラスなどを仲間と一緒に取り組んだ(p64)


・志村眞人さんは、通信会社の会社員から約1年間の修業期間を経て提灯職人として独立、開業した(p152)


▼引用は、この本からです
「定年準備 - 人生後半戦の助走と実践」楠木 新
楠木 新、中央公論新社


【私の評価】★★★★☆(80点)


目次

第1章  人生は二度ある?
第2章  「もう一人の自分」を発見
第3章  60歳からのハローワーク
第4章  最後に戻るのは地域と家族
第5章  童心に戻る
第6章  魅力的な先達に学ぶ
第7章  逆境がチャンスに
エピローグ  定年準備のための行動六か条



著者紹介

 楠木新(くすのき あらた)・・・1954年(昭和29年)、神戸市に生まれる。京都大学法学部卒業。生命保険会社に入社し、人事・労務関係を中心に、経営企画、支社長等を経験。勤務と並行して、大阪府立大学大学院でMBAを取得。「働く意味」をテーマに取材・執筆・講演に取り組む。2015年、定年退職。神戸松蔭女子学院大学教授。楠木ライフ&キャリア研究所代表


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