「鋼の自己肯定感 「最先端の研究結果×シリコンバレーの習慣」から開発された"二度と下がらない"方法」宮崎 直子
2022/05/11公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(88点)
要約と感想レビュー
ありのままの自分を受け入れる
シリコンバレーで22年働いてきた著者が感じるのは、アメリカ人は自分にイエスと言える人が多いということです。例えば、レイオフ(解雇)されたとしても、「今までできなかったことができるちょうどいい機会だ!」と考えられる人が多いというのです。
実際、著者も夫と同時期にレイオフされたので、二人でソフトウェア会社を立ち上げ、経営者となりました。仕事はどうにでもなる、必要なら自分で起業すればよい、くらいに考えているわけです。
そうしたシリコンバレー仕込みの「鋼の自己肯定感」とは、どのようなものなのでしょうか。それは、ありのままの自分を「無条件で」受け入れて、満たされた心の状態です。つまり、会社の部長だから偉いとか、起業に失敗したから駄目なのだとか、自分の能力や状態に左右されない状態です。お金を持っているから幸せなのではなく、お金がなくても素の自分が存在しているだけで丸儲けという考え方なのです。
「自分は価値のある人間だと思う」という問いに84%のアメリカの高校生がイエスと答えたのに対し、イエスと答えた日本の高校生は45%にとどまった(p9)
ビジョンと合っているからやる
もし無条件の自己肯定感が確立されていないと、どうなるのでしょうか。職場で課長になれなかったから落胆する、レイオフされたから落ち込む、試験に落ちて絶望する、貧乏な自分がみじめに感じる、ということになってしまいます。自己肯定感が確立されていないと、人から評価されたいために、やりたくない仕事を引き受け、うまくいっているうちは良いのですが、仕事がうまくいかなくなると落ち込んでしまうのです。
「鋼の自己肯定感」を持った人は、評価されたいからやるのではなく、その仕事が自分のビジョンと合っているからやるのです。仮に仕事を通じて社会をよくするというビジョンを持っていたら、残業してでも仕事をすればいいのです。家庭との時間を重視するなら、断れる仕事は断って、定時に帰宅して家族との時間を増やせばいいのです。その結果、出世できなかったとしてもそれは自分の選択の結果であり、あなた自身は何も変わっていないのです。
本当は自分もやりたくない仕事を、「ありがとう」と言ってもらいたいがゆえにどんどん引き受けてしまう・・・自己犠牲に走ってしまう(p63)
プラスの言葉を毎日唱える
仮にあなたが起業したものの、倒産してしまったとしましょう。確かに起業に失敗したことは残念なことですが、それは苦い薬として自分を成長させることになるでしょう。そして、自分のビジョンに従って挑戦したからこそ、事業立ち上げの体験を得ることができたのです。
自己肯定感を下げないためには、著者がお勧めするのは、あなたにマイナスの言葉をかけてくる人と離れることです。それが上司や先生であった場合には、職場や学校を変える必要があるかもしれません。
逆に自己肯定感を高めるために著者がお勧めするのは、アファーメーションです。アファーメーションとは、自分に肯定的な言葉を語りかけること。具体的には、「私は自分が大好きです」「私は健康です」といったプラスの言葉を朝と寝る前に毎日唱えるのです。暗示に似ていますが、本来の自分を取り戻すための作業がアファーメーションなのです。
そしてアファーメーションのワークで一番ハードルが高く、効果が大きいのが「自分を赦(ゆる)す」ワークでしょう。無理をして頑張ってきた自分をゆるす。成果ばかりを求めていた自分をゆるす。他人と比較してばかりいた自分をゆるすのです。
私は他人を赦します・・・自分を赦せなければ、他人も赦せない(p131)
自己中はかわいそうな人
世の中には、自己中心的な人が存在します。自己中はあなたを不当に批判するかもしれません。しかし、自己中な人は、ありのままの自分を肯定できていない人なのです。心の奥底には恐れの気持ちが溢れ、余裕のない人なのです。自分に自信がないから、常に人に対して自分が優れていることを証明しないと気が済まないのです。
著者は人が傷つくようなことを言っている人は、かわいそうな人だとしています。自分に自信がなく、傷ついているから、人を攻撃するというのです。ただ、かわいそうな人と一緒にいるとかわいそうな人の仲間になってしまいます。そうしたかわいそうな人とは、離れましょう。
あなたが傷つくようなことを言ったりしたりする人に出会ったら、・・・その相手が単に傷ついているからだという気持ちで相手を見てほしい。かわいそうなのはあなたではなく、相手のほうなのだ(p155)
生きているだけで自分は十分尊い
著者は盛和塾シリコンバレーで8年間塾生として広報を担当したり、アラン・コーエン氏やアンソニー・ロビンズ氏にコーチングを学ぶ、アドラー心理学、マインドセットを学ぶなど、幅広く学んでいることがわかります。そして最終的には生きているだけで自分は十分尊いのだ、ということに行き着いたということなのでしょう。人間は無限の可能性を持っています。そうした能力を解き放つのが、「鋼の自己肯定感」なのだと思いました。
自分で自分を否定していては、誰が自分を肯定してくれるというのでしょうか。まず、自分で自分を肯定し、自分の素晴らしさに気づくことが大事なのでしょう。ワークとしては一般的でしたので、★4つとしました。宮崎 さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・自分にやりたいことをする「許可」を与え、人と違う自分をありのまま受け入れ愛するという作業をすることも欠かせない(p174)
・「人生は立てた問いで決まる」(p7)
・いろいろな文献を読んだ上で「自分はどう思うのか、自分はどう解釈するのか」それが一番大事(p37)
・描いたビジョンに達するために・・・失敗しようがないほど小さなゴールを設定しよう(p203)
・欠点ばかり指摘する自分と長時間一緒にいるのは極めて苦痛なはずだ(p83)
【私の評価】★★★★☆(88点)
目次
プロローグ 鋼の自己肯定感は誰でもいつからでも育てられる
第1章 シリコンバレーのエリートたちはなぜ自己肯定感が高いのか
第2章 99%の人が自己肯定感のことを勘違いしている
第3章 自己肯定感を上げ下げする4大要因
第4章 鋼の自己肯定感を手に入れるためのプラン
第5章 鋼の自己肯定感を育てるための「言葉」のワーク
第6章 鋼の自己肯定感を育てるための「思考」のワーク
第7章 鋼の自己肯定感を育てるための「行動」のワーク
第8章 誰でも自己肯定感は上げられる。そして二度と下がらない!
著者経歴
宮崎直子(みやざき なおこ)・・・シリコンバレー在住&勤務歴22年。アラン・コーエン氏のもとでホリスティックライフコーチのトレーニングを受けた認定ライフコーチ。三重県生まれ。津田塾大学英文学科卒業後、イリノイ大学で日本語教授法や言語学を学んで修士号を取得。日本で外資系企業に勤めた後、再び渡米。IT企業でマーケティング職に携わる。ソフトウエア、アパレル会社などを起業。法律事務所勤務、通訳、翻訳者としての経験も持つ。稲盛和夫氏の盛和塾シリコンバレーに8年間塾生として所属し、広報を務める。その後、アラン・コーエン氏から指導を受け、アンソニー・ロビンズ氏のコーチングプログラム開発者からメンタリングを受ける
自己肯定感関係書籍
「鋼の自己肯定感 「最先端の研究結果×シリコンバレーの習慣」から開発された"二度と下がらない"方法」宮崎 直子
「何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書」中島輝
「ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか」キューリング恵美子
「自分の気持ちがわからない沼から抜け出したい 仕事・恋愛・人間関係の悩みがなくなる自己肯定感の高め方」田中 よしこ
「誰にも言えない「さみしさ」がすっきり消える本」石原加受子
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