「日産で学んだ 世界で活躍するためのデータ分析の教科書」柏木 吉基
2021/10/19公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★★★☆(80点)
要約と感想レビュー
データで結果を評価する
日産のマーケティング、セールス部門でデータ分析・評価・改善を行ってきた著者が、その手法を教えてくれます。最近はデータに基づき方針を決め、データに基づいてその結果を評価することが求められています。
特に最近はデータを簡単に取ることができるようになってきたので、データによって試行錯誤することが求められているのでしょう。では、質問です。会社の商品の売上が悪化してきました。あなたなら、どういった分析を行って経営者に説明するでしょうか?
周囲に論理的に伝えるべき「課題」「仮説」「分析結果」「結論」(p21)
まず仮説を立てる
説明資料の目次は、課題、仮説、分析結果、結論という構成となります。課題は売上減少ですから、まずやるべきは仮説を立てることです。
その仮説は具体的には、サービス悪化、商品の評価悪化、広告の減少など、考えられる仮説を立てます。漏れ、抜けがないのが理想ですが、すべてが測定可能というわけでもないので、ある程度の説得力を持てるものとします。そしてその仮説を検証するためにどういったデータを収集するのか決めます。具体的には、仮説が「サービス悪化」なら「担当者別売上データ」や「担当者別アンケート結果」を集めてみることが考えられます。
仮説の妥当性を検証するための手段とそれに必要なデータを決める(p20)
測定できないデータもある
実務では測定できないデータ、測定のために多額の資金が必要となるデータもあるため、本質をつかむのは難しいかもしれません。それでも、ロジックを組み立てて、測定してみれば、気づかなかった本質が見えてきて、それに対して対策を取って検証するのは、ひとつの未知の冒険のようなものだと思いました。
笑ったのは、日産の中でデータ分析を否定するような上司に、著者が困っていたということです。やっちゃいましたね、日産。説得力のあるデータ分析のイメージが伝わってきましたので★4とします。柏木さん、良い本をありがとうございました。
メルマガ[1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』] 3万人が読んでいる定番書評メルマガです。 >>バックナンバー |
|
この本で私が共感した名言
・ゼロベースで取り組むべきかという正論と、時間や気持ちとのせめぎ合いの結果、そのバランスを見つけることが求められる(p32)
・「この道30年の大部長」のような人に「○○に決まっているんだ!」と言い切られると、より本質的な問題に行き着くための次の一歩を踏み込むのに、心が折れそうになることもあった(p28)
【私の評価】★★★★☆(80点)
目次
【序章】 日産時代の経験から言えること
【第1章】 課題解決の「プロセス」を知ろう!
[課題解決ストーリー1] 新車販売が悪化、さあどうする? まずは計画と現実の差を明確に
【第2章】 分解して「課題ポイント」を探ろう!
[課題解決ストーリー2] データを"分解"して 課題ポイントを特定
【第3章】 2軸の視点で「要因」を探ろう!
[課題解決ストーリー3] WHY型の仮説を立てる ロイヤルティー率との関連要因に注目
【第4章】 2軸の関係を「数式化」しよう!
[課題解決ストーリー4] 単回帰分析を実行してみる 車種Bと車種Cに個別の課題発見
【第5章】 「課題解決ストーリー」の振り返り
著者経歴
柏木吉基(かしわぎ よしき)・・・データ&ストーリー代表。多摩大学大学院ビジネススクール客員教授。横浜国立大学、亜細亜大学非常勤講師。元・日産自動車ビジネス改革チームマネージャ。慶応義塾大学理工学部卒業後、日立製作所入社。米ゴイズエタ・ビジネススクールでMBA(経営学修士)取得。2004年に日産自動車に入社。海外マーケティング&セールス部門、組織開発部ビジネス改革チームマネージャなどを歴任。データを駆使し、「新規ビジネス戦略策定」や「グローバルでの業務プロセスの分析・評価・改善」など多数のプロジェクトをリードした。
データ分析関連書籍
「FACTFULNESS」ハンス・ロスリング
「日産で学んだ 世界で活躍するためのデータ分析の教科書」柏木 吉基
「データ分析の力 因果関係に迫る思考法」伊藤 公一朗
「「原因と結果」の経済学―データから真実を見抜く思考法」中室牧子
この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
人気ブログランキングへ
メルマガ[1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』] 3万人が読んでいる定番書評メルマガです。 >>バックナンバー |
|
この記事が気に入ったらいいね!
コメントする