【書評】「「原因と結果」の経済学―データから真実を見抜く思考法」中室牧子 津川友介
2017/03/03公開 更新
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
データから真実を見抜く
人は正しいと思うことを実行しますが、"それは本当に正しいのですか?"と再考を促す一冊です。
例えば、医療費を下げるために医療費の自己負担割合を上げると、健康に影響があるのでしょうか?実際には、医療費の自己負担割合と健康状態はまったく関係がない、ということがわかっています。
ランド医療保険実験が明らかにしたことは・・医療費の自己負担割合と人々の健康状態のあいだには因果関係がないことを明らかにした(p72)
データから健康を見抜く
興味深かったのは、健康とデータの関係です。
デンマークで、日本のメタボ健診と同様に、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の診断および保険指導が行われていますが、10年間の結果は保険指導群と保険指導しなかった群の死亡率の差は統計的に優位ではなかったという。
一方、禁煙による体への影響では、アルゼンチンでは、公共の場を完全禁煙にした結果、心筋梗塞が減ることがわかっています。ちょうど日本でも、たばこの受動喫煙を防止する法整備を検討しているので、成立するのでしょう。
アルゼンチン北部に位置するサンタフェ州は、2006年8月から公共の場所では完全に禁煙とする厳しい規制を導入した・・心筋梗塞による入院患者がブエノスアイレス市よりも13%も低くなった(図表3-3)(p90)
データから偶然を見抜く
著者は、「地球温暖化が進むと、海賊の数が減る」と不思議な問いかけをします。実際、地球温暖化が進むのに合わせて、海賊の数が減っているというのです。なぜなら、「まったくの偶然」だからです。
つまり、本当に地球は温暖化ガスによって温暖化しているのだろうか?ということです。安易な判断は大きな間違いを生む可能性があるのです。
本当に健康診断は役立っているのだろうか?とも考えさせてくれる一冊でした。中室さん、津川さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・自己負担割合が低下し、受診や入院の頻度が高くなっても、死亡率は変わらない(p141)
・女性医師が担当した患者のほうが0.4%も30日死亡率が低い(p82)
・ノルウェーでは、女性取締役比率が2008年までに40%に満たない企業を解散させるという衝撃的な法律が議会を通過した・・女性取締役を10%増加させた場合、企業価値は12.4%低下することが明らかになった(p127)
▼引用は、この本からです。
ダイヤモンド社
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【私の評価】★★★★★(90点)
目次
第1章 根拠のない通説にだまされないために
第2章 メタボ健診を受けていれば長生きできるのか
第3章 男性医師は女性医師より優れているのか
第4章 認可保育所を増やせば母親は就業するのか
第5章 テレビを見せると子どもの学力は下がるのか
第6章 勉強ができる友人と付き合うと学力は上がるのか
第7章 偏差値の高い大学に行けば収入は上がるのか
第8章 ありもののデータを分析しやすい「回帰分析」
著者経歴
中室牧子(なかむろ まきこ)・・・慶應義塾大学 総合政策学部 准教授。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、日本銀行、世界銀行、東北大学を経て現職。コロンビア大学公共政策大学院にてMPA(公共政策学修士号)、コロンビア大学で教育経済学のPh.D.取得。専門は教育経済学。著書にビジネス書大賞2016準大賞を受賞し、発行部数30万部を突破した『「学力」の経済学』
津川友介(つがわ ゆうすけ)・・・ハーバード公衆衛生大学院 リサーチアソシエイト。東北大学医学部卒業後、聖路加国際病院、ベス・イスラエル・ディーコネス・メディカル・センター(ハーバード大学医学部付属病院)、世界銀行を経て現職。ハーバード公衆衛生大学院にてMPH(公衆衛生学修士号)、ハーバード大学で医療政策学のPh.D.取得。専門は医療政策学、医療経済学。ブログ「医療政策学×医療経済学」で医療に関するエビデンスを発信している。
データ分析関連書籍
「FACTFULNESS」ハンス・ロスリング
「日産で学んだ 世界で活躍するためのデータ分析の教科書」柏木 吉基
「データ分析の力 因果関係に迫る思考法」伊藤 公一朗
「「原因と結果」の経済学―データから真実を見抜く思考法」中室牧子
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