人生を変えるような良い本の要約を紹介します
本ナビ > 書評一覧 >

「FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」ハンス・ロスリング

2019/12/10本のソムリエ メルマガ登録
このエントリーをはてなブックマークに追加


【私の評価】★★★★★(94点)


要約と感想レビュー

 著者は根っからの合理主義者です。感情ではなく数値で考える。報道ではなく統計で判断するのです。


 著者が若いころ、世界で最も貧しいといわれていたモザンビーク共和国で医師をしていたときのことです。下痢で衰弱した赤ちゃんが病院に運び込まれました。著者は口から補水液を流すよう指示しました。一緒にいた友人は「点滴すべきだ。なんで適当な処置をするのだ」と怒ったという。その友人は何時間もかけて赤ちゃんの小さな血管に点滴の針を刺してあげた。


 一方で著者は、仕事を早めに切り上げて、地域の医療施設の建設に取り組んでいたのです。


・31人が豚インフルエンザで亡くなった・・・同じ2週間のあいだに、結核で亡くなった人・・は約6万3066人・・豚インフルエンザによる死は、同じくらい悲惨な結核による死に比べて、8万2000倍の注目を浴びていた(p174)


 著者がバカバカしいと感じているのは、偏向した知識を持っていることによって多くの人が判断を間違うことです。


 豚インフルエンザで31人が死亡したことをメディアが大きく報道しているとき、結核で6万人が死亡している事実。
 福島原発事故では数千人が死亡したが、被ばくして死亡した人は実質0で被ばくを避けるために避難することで体調を崩して亡くなっている人がいる。
 飛行機の死亡率は自動車より圧倒的に低いにもかかわらず911同時多発テロの後に多くの人が自動車で移動して交通死亡事故が増えてしまう。


 そんなことが現実に起こっているのです。


・多くの人が恐れているもの・・・全死亡者数の0.1%を占める自然災害、0.001%を占める飛行機事故、0.7%を占める殺人、0%を占める放射線被ばく、0.05%を占めるテロなどだ・・・メディアは大々的に取り上げる(p158)


 西欧人でさえこうなのですが、日本人こそ、こうした偏向に気をつけないといけないと思いました。特に日本では事実・現実よりも精神的・形式的なものが優先される傾向があるからです。


 仕事では現場・現物・現実を意識していますが、さらに注意したいですね。ロスリングさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・リベリアやシエラレオネで発生したエボラ出血熱が、車で100時間もかかる大陸の反対側のケニアの観光に影響するといった、バカバカしいことが起きてしまう。その距離はロンドンからイランのテヘランよりも遠いのに(p206)


・いまだに世界中で、中絶を弾劾する宗教の犠牲になっているのは、女性であり少女たちだ。中絶を違法にしても中絶がなくなるわけではなく、中絶がより危険になり、女性が命を落とすリスクが高まるだけだ(p278)


・2011年3月11日・・原発の近くに住んでいた人は避難したが、そのうちの約1600人は避難後に亡くなった・・・多くは高齢者で、避難の影響で体調が悪化したり、ストレスが積み重なったりして死亡した。人々の命が奪われた原因は被ばくではなく、被ばくを恐れての避難だった(p148)


・戦場から担架で運ばれてくる兵士の中で、あおむけよりうつぶせのほうが生存確率が高いことに、医師や看護婦は気づいた。あおむけに寝ていると、自分の吐しゃ物で窒息することが多かったのだ・・・赤ちゃんはうつぶせに寝かせたほうがいい、とされるようになった・・・赤ちゃんの突然死は減るどころか増えていることをデータが示して・・10年以上ものあいだ、わたしはこの手で、たくさんの赤ちゃんをあおむけからうつぶせに寝かせ替えてしまった・・・何万人という赤ちゃんが命を落とした(p212)


・2016年には、4000万機の旅客機が、死者をひとりも出さずに目的地に到着した。死亡事故が起きたのはたったの10機・・・安全なフライトがニュースの見出しを飾ることはない(p144)


・乳幼児死亡率が上がった国はない。世界は基本的に良くなっている(p30)


・女性ひとりあたりの子供の数も減った。極度の貧困から抜け出した数十億人の人々は、子供をたくさんつくる必要がなくなった。もう、家庭の小さな農場で、たくさんの子供を働かせなくてもいい。もう、病気で亡くなる子供の分だけ、多めに子供をつくらなくていい(p109)


・1990年以降、アメリカの犯罪発生率は減り続けている。1990年には1450万件の犯罪が起きたが、2016年には950万件に減った。しかし、どれだけ犯罪件数が減ろうと、ショッキングな事件は毎年のように起こり、メディアはそれを大々的に報道する(p86)



【私の評価】★★★★★(94点)



目次

第1章 分断本能 「世界は分断されている」という思い込み
第2章 ネガティブ本能 「世界がどんどん悪くなっている」という思い込み
第3章 直線本能 「世界の人口はひたすら増える」という思い込み
第4章 恐怖本能 「実は危険でないことを恐ろしい」と考えてしまう思い込み
第5章 過大視本能 「目の前の数字がいちばん重要」という思い込み
第6章 パターン化本能 「ひとつの例にすべてがあてはまる」という思い込み
第7章 宿命本能 「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
第8章 単純化本能 「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
第9章 犯人捜し本能 「だれかを責めれば物事は解決する」という思い込み
第10章 焦り本能 「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
第11章 ファクトフルネスを実践しよう


著者紹介

 ハンス・ロスリング・・・1948年にスウェーデンで生まれた。ウプサラ大学で統計学と医学を学び、インドのバンガロールにある聖ヨハネ医科大学で公衆衛生を学んだあと、1976年に医師になった。1974年から1984年までの間に合計で18カ月仕事を休み、3人の子供の子育てに100%の時間を注いだ。1979年から1981年まではモザンビークのナカラで地域担当の医師として働き、それまで知られていなかった神経が麻痺する病気を発見した。それがコンゾだ。この病気の調査と研究によって1986年にウプサラ大学から博士号を取得した。1997年からはストックホルムにあるカロリンスカ医科大学でグローバルヘルスの教授を務めた。専門は、経済発展と農業と貧困と健康のつながりについての研究だった。カロリンスカ医科大学で新しい授業科目を開講し、提携研究を立ち上げ、グローバルヘルスについての教科書を共著した。2005年には、息子のオーラとその妻のアンナと共にギャップマインダー財団を設立。スウェーデン科学学会の国際分科会メンバーであり、スイスの世界経済フォーラムのグローバル・アジェンダ・ネットワークにも所属していた。2009年にはフォーリン・ポリシー誌からグローバル思想家100人のひとりに選ばれ、2011年にはファスト・カンパニー誌から世界で最もクリエイティブな100人のひとりに選ばれた。また2012にはタイム誌が選ぶ世界で最も影響力の大きな100人のひとりになった。2017年2月7日に他界した。


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 


人気ブログランキングへ


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村



この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本 : , ,



同じカテゴリーの書籍: