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【書評】「DX経営はじめの一歩」熊谷美威

2025/12/11公開 更新
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「DX経営はじめの一歩」熊谷美威


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー


ITツールは手段である

CMでおなじみのサイボウズ社「kintone(キントーン)」導入を支援して「サイボウズAWARDコンサルティング賞」を受賞しているコンサルタントの一冊です。優秀なITコンサルタントは、企業に対し何をアドバイスしているのでしょうか。


まず最初にDX(IT導入)は、会社を伸ばしていく「手段」であると定義しています。したがって、DX経営にあたっては,本当に求めるものを明確にして、手段(IT導入)が目的になってはならないとしているのです。


収益アップを狙うのであれば,商品価格を上げるのが現実的な場合も多いのです。ITツールを導入することで、何を求めているのかを明確にするよう求めています。ITツールは手段であり、ITツール導入だけでの効率化には限界があるとはっきり言っています。


弊社のクライアントには,kintoneを導入して収益が5倍になった会社もあります。売上が倍になる,残業がゼロになるなどは当たり前に実現可能です(p187)

行動と結果を見える化する

では、ITツールを使って何をすることで収益アップを実現できるのでしょうか。


企業が収益アップのためにコントロールできるのは、自社従業員の行動だけです。例えば営業なら、訪問数,オンライン面談数、電話数、提案数,セールストークの質,断られてからの再提案,紹介数などです。


それらを集計して、日付別,月別,担当者別,商品別,頻度,質など,様々な角度から比較・分析します。業績がいい営業と,業績が芳しくない営業の違いを比較してみてもよいでしょう。


こうして行動と結果を見える化し、仮説・検証・改善を行うことで効果的なことに人,モノ,金,情報を集中させるのです。こうした改善活動を仕組みとして習慣化し,小さなことの業務改善をやり続けることで収益アップが実現されるというのです。


ITツールは、こうした改善活動を効率化して支援する手段でしかないわけです。


仕事そのものを分析することによって,効果的か効果的でないかがわかり,経営資本,即ち,人,モノ,金,情報をどこに集中させるのかの取捨選択ができるようになります(p98)

現場の抵抗は想定内

しかしながら、ITツールの導入は,現場スタッフにとって入力そのものがストレスであり、手間が増えるだけで短期的なメリットはなく、抵抗があるのが当然です。現場のスタッフからは、「こんなのやっても意味がない」と言われることでしょう。


しかし、経営者がやろうとしているのは、情報を集めて仮説を立てて、仮説が正しいのか、意味がないのか確認していくことなのです。


したがって、最初の段階ではざっくりと把握することで受け入れられやすいという。また、日報の仕組みがある企業ならば、日報をITツールに置き換えて、全体を集計し,俯瞰してみることができるようにするとよいという。もちろん、顧客情報,対応履歴などはITシステムに入力して共有します。


「忙しいからできない」と言われるかもしれませんが、忙しいからこそ、情報入力、分析、改善が大切なのです。


システムを導入した場合,入力そのものが非常にストレスになります・・現場のスタッフにおいては,短期的なメリットはほとんどありません(p26)

勉強会・業務改善を習慣化

1日5分の勉強会、1日5分の業務改善といった小さな習慣化を提案しています。こうした業務改善は,一気に大きな改善は期待できませんが、小さな改善をコツコツ積み重ねて続けることで,大きな成果となるのです。


ITツールを活用してお客様の声を社内で共有し,工場で作業している社員に見えるようにしてもよいでしょう。部門ごとの収益を見える化して、問題点や課題,何をすればいいのか考えてもらうのもいいでしょう。 


ITコンサルタントといいながら、実はITツールを活用した業務改善コンサルタントなのだと思いました。つまり、ITツールを使ったとしても同じ仕事をしていては業績が変わるはずがないのです。熊谷さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・物事を測ることができなければ,コントロールはそもそもできません(p90)


・初期段階では,何のためにどのような情報を収集するかを明確にしてください・・昔からの日報などで情報収集していたのは・・従業員がサボってないかどうか把握したいなどが目的でした(p81)


・成果が上がらないとき・・答えは簡単です。「やめる」か「もっと単価の安い手段に切り替える」かのどちらかです(p30)


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「DX経営はじめの一歩」熊谷美威
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熊谷美威 (著)、セルバ出版


【私の評価】★★★★☆(82点)


目次


第1章 DX経営とは
第2章 すべては情報収集と集約
第3章 習慣化の力で圧倒的な成果を上げよう!
第4章 共有で企業文化を変える
第5章 成果を出して効率化しよう


著者経歴


熊谷美威(くまがい みのる)・・・スマイルアップ(合)代表。ITコンサルタント。1994年より業務システムの導入や開発を3,000社以上手掛ける。2012年にサイボウズ社「kintone(キントーン)」を自社および顧客への導入開始。全国1万社以上の導入企業の中から、顧客が「kintone AWARD」2年連続優勝。自身も「サイボウズ AWARD 2019 コンサルティング賞」を受賞。2021年からコンサルティング企業は300社を超える。IT導入成功率は98%。


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